20年ぐらい前、当時は「東南アジアの秘境」なんて言われたラオスを旅行した。
その目的のひとつが、世界遺産にもなっているこのヒンドィー寺院「ワット・プー」。
この寺院がある山は、ヒンドゥー教のシヴァ神を象徴するリンガをイメージしている。
ワットプーを観光したあとレストランで1人でご飯を食べていたら、従業員が近づいてきて、そのままテーブルの向かいに座りやがりました。
それでフレンドリーに「それはおいしいか?」と聞くから、「お、おお」と答えると、「オレは欧米人より日本人のほうが好きなんだ」と言う。
今度は「ほ~」と思ってそのわけを聞いたら、彼が話すには、欧米人はマナーが悪くてラオス人に不快感を与えるから。
「彼らは身体的な接触がとても多いんだ。人前で手をつなぐのはいい。でも、キスをするのはここではマナー違反。でも欧米人はそんなことを気にしない。だから腹が立つ」
日本人はこんな行為をしないから、彼からみるとラオス人と価値観や考え方が近い。
なるほどなるほど。
たしかに日本の社会でも街中でのキスはマナー違反で、海外に行って開放的になったとしても、そんなことは普通はしない。
戦前の日本の思想家・岡倉天心が言った「アジアは一つ(Asia is one)」とはこれのことかと納得して、思わず彼に「ビール飲む?」と言いそうになった。
きょう6月14日は韓国で「キスデー(키스데이)」でウィキペディアには、「6月14日までにカップルとなった恋人同士がおおっぴらにキスをしてもいい日とされている」とある。
ちなみに日本の「キスの日」は5月23日だ。
1946年のこの日、初めてキスシーンの登場する日本映画『はたちの青春』が上映されたから。
これは、人前でキスをしよう!という日ではなくて、ただ日本初のキスシーンを記念するだけの日。
韓国人は、欧米人とは理由は違うのだろうけど、スキンシップが大好きで、女性同士なら腕を組んだり手をつないだりして街をふつうに歩いている。
カップルだと平気でその上をいくから、ネットを見ると、韓国人で生活している日本人女性がその感覚の違いに戸惑ったという声がよくある。
「なので街中ではキスしてはイチャイチャしてを繰り返してるカップルが多いのです>ㅇ<」
「韓国人カップルは人前でキスは当たり前」
「韓国人彼氏は、「キスしたい!」と思ったタイミングで、所構わずキスしてきます。」
この点、日本人の価値観や感覚は東南アジアの人たちに近い。
「キス」に関しては日本人はかなり保守的なのだ。
1970年(昭和45年)ごろに「今後10年で日本の社会はどう変わるか?」というアンケートを行ったところ、こんな結果がでた。
「経口避妊薬が(公認され)常用されるか」、「される」が六四%、「されない」が三二%、(中略)「恋人が街頭でキスをするようになるか」は「なる」が五六%「ならない」が四四%、
「一九九〇年代の日本 山本 七平 (PHP文庫)」
1980年になるまでには、経口避妊薬(ピル)が公認され常用されていると多くの日本人が予測した。が避妊を目的とした低用量のピルが認可されたのは、1999(平成11)年のこと。
令和のいまでも常用されているとは言えないだろうし、この未来予想は大はずれ。
恋人が人前でキスをするようになるという予測も過半数を超えていたけれど、2021年になっても一般的になっていない。だからこれも的はずれ。
このへんは静岡県民のいなか感覚だから、渋谷とか新宿とかの魔界は知らない。
1980年の時点で、恋人たちが街中でキスをするのが普通になっていれば、いま韓国でビックリする日本人女性はきっといなかった。
このへんの価値観や感覚は、日本人はラオスをはじめ東南アジアの人たちに近い。
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その割には、世界最小の出生率なんですね。2020年の合計特殊出生率は0.84だとか。
昔お世話になった演劇の演出家の先生曰く「不細工なカップル程人前でいちゃついてキスする」
渋谷や池袋には今も終結構いるので。