「反日」暴動もあったけど、今は90％が日本好きのインドネシア

浜松市内にも何店舗かあって、モーニングでたまにお世話になってるコメダ珈琲。
愛知から始まったこのコーヒーチェーン店はすでに中国や台湾にも店舗があって、2023年の１月にはインドネシアのバリ島で第一号店をオープンさせた。
メニューは日本と同じで、現地の飲食店ではレアな飲み水の無料サービスもあるという。

バリ島なのに、浜松の店とマジで変わらないというこの安定感。

ではここで、インドネシアの基本を確認しておこう。

面積：約189万平方キロメｰトル（日本の約５倍）
人口：約2.55億人（2015年）
首都：ジャカルタ（人口1,017万人：2015年）
民族：大半がマレー系（ジャワ，スンダ等約300種族）
言語：インドネシア語
宗教：イスラム教　87.21％，キリスト教　9.87％（プロテスタント　6.96％，カトリック　2.91％），ヒンズー教　1.69％，仏教　0.72％，儒教　0.05％，その他　0.50％（2016年）

以上の数字はインドネシア共和国（Republic of Indonesia）基礎データから。

こんなインドネシアは、実はかなりの親日国だということをご存知だろうか？
アウンコンサルティング株式会社が発表したデータ「【世界12カ国の親日度調査】日本への好感度、訪日意欲について」を見てみよう。（2022年6月14日）

これによると、日本を「大好き」と答えたインドネシア人は23.5％で「好き」が64.2％、この２つを合わせると好印象が87.7％になって、「嫌い」（12.3％）を例外にさせている。
台湾人の「大好き」（62.0％）と「好き」（36.0％）の計98％ほどじゃないけど、インドネシア人の日本好きも尋常じゃないレベルだ。
コメダが東南アジア初の店舗として、インドネシアを選んだ理由にもこの親日っぷりがあるはずだ。
ちなみにインドネシアの人たちは日本について、四季の風景や自然、マンガやアニメ、日本食に関心があるらしい。

こんな感じに、いまのインドネシアは東南アジアでも有数の親日国となっている。
でも、これは自然にそうなったわけではなく、国民の約90％が日本好きになることにはそれなりのワケやきっかけがあるのだ。

インドネシア人による暴動

1974年１月、田中角栄首相がインドネシアを訪問すると、首都ジャカルタで暴動が発生する。
これによって11名が死亡し、800台以上の車両が燃やされたり破壊され、約800人が逮捕された。
この出来事はインドネシア語の「Malapetaka Limabelas Januari（1月15日の災難）」を略してマターリではなく、マラリ事件といわれている。

これについてネットを検索すると、

「反日」の嵐が吹いた日があった

といった記事がヒットする。
たしかにこの背景には反日感情があったが、原因はそれだけではない。
日本企業が政府や中国系の企業と組んで、インドネシア経済を支配すると民衆が思い込んだことが暴動のきっかけになったし、さらに政権内部での権力闘争もからんでいた。
当時のインドネシア政府や、中国系の人たちに対するマレー系住民の反感もあったのに、日本語のサイトを見ると、反日感情をやたら強調する記事があって引っかかる。

この後、日本は自分を見つめて生まれ変わった。
この「反日」暴動に大きなショックを受けた日本は、まず自身のインドネシアや発展途上国への見方を変える。
経済的なやり取りだけではなく、日本について紹介すると同時に、日本も相手国の文化や考え方を理解しようと努めるようになり、文化交流が発展していった。
カネとカネの関係が、ハートとハートの関係になったような感じ。
こうした長年にわたる交流が土台となって、現在のインドネシアは国民の約90％が日本好きという親日国となる。

ところで、いまのインドネシア人はマラリ事件を知っているのだろうか？
30代前半のインドネシア人にメールで聞くとこんな返事がくる。

「I have heard about it. But not really know as it happened before I born.」

聞いたことはあるけど、自分が生まれる前のことだからよく分からない。
もうこの「反日」暴動は過去のものだけど、相手を知り、自分を伝える努力はこれからも続けていく必要がある。
日本について正確な情報が伝わらないと、また悲劇が再現されるかもしれない。
その意味でもコメダのインドネシア進出はよかった。