日本へきた外国人に、わりと人気の高いのが居酒屋の暖簾をくぐること。
日本で英語を教えていて、いまは母国にいる知人のアメリカ人も居酒屋にハマった外国人のひとり。
でも、そんな彼女も「お通し」には不快感を感じた。
話を聞くと、アイデア自体は悪くない。
そのアメリカ人が日本にいたある日、友人2人と飲みにでかけた。
居酒屋には何度も来たことがあるから、メニューは大体わかるし、いつものように飲んで食って楽しいひと時を過ごしてお開きになる。
それで伝票をチェックする友人を見て、「日本ならボッタクリなんてないのに」と思っていると、「あれ、ナニコレ?」と友人が声を上げる。
伝票を見ると、誰も頼んだおぼえのない品が3人分請求されている。
最初に出てきたあの一品では? となって、店の人に確認するとイグザクトリー。
そのとき初めて知人は「お通し」というシステムがあることを知って、いままで行った居酒屋でも請求されて、払っていたという事実に気づいて衝撃を受けた。
客が注文をしてから、料理を出すまでの間を埋めるのが「お通し」。
すきっ腹に酒を注ぐよりも、ちょっと食べ物を入れたほうが胃にやさしいという気配りでもある。
「お通し」は関東で使われる言葉で、関西では「突き出し」と呼ばれるけど、役割はどっちも基本的には同じはず。
そういうお通しの背景や文化はスバラシイし、変わったお通しなら会話のネタにもなるからいいのだけど、そのアメリカ人としては、そういうことは事前に伝えてほしかった。
アメリカにも客の注文とは関係なく、パンやバターなんかが無料で出てくる店があったから、てっきりそれと同じサービスと思ったら、実はそうじゃなくて、後でしっかり料金を回収するスタイルはハッキリいって不快。
日本人の友人がアメリカを旅行したとき、どこで何をしたら、どのぐらいのチップを渡すべきかけっこう悩んだという話を聞いた。
文化や習慣は国によって違うから、外国人が現地で戸惑うことは当然のようにある。
でも、知人からすると「お通し」は日本の文化というより、日本人の不親切だ。
彼女はアメリカでも今回と似たケースで、もっとムカつく経験をしたことがある。
スーパーで予算内に買い物をしようと商品の値段に注意して、ベストな買い物をしたと思ってレジへ持っていって清算してもらったら、想定をはるかに上回る合計金額にドギモを抜かれた。
それで初めて、店内の商品はすべて税抜き価格で表示されていたことを知る。
計画も計算も全部ムダもなって、腹立つこと山のごとし。
日本のスーパーなら、消費税抜きと込みの2つの金額が表示されているのがふつうだから、最後に「ヤラレタ」となる経験はなかったけど、アメリカには税抜き価格だけしか表示していない不親切な店もある。
「お通し」というシステムは日本独自のモノでも、知らない間に値段が上乗せされていて、支払い時にビックリすることは外国でもある。
居酒屋の「お通し」は取られても気づかなかったほどの額だし、空腹を感じさせないためにすぐに食べ物を出すというアイデアもいい。おいしいモノもあるから、知人はそれをボッタクリとは思わない。
でも、そういう説明をしないで、「最初の一品は有料です」という英語の案内をテーブルに置くこともしないで、当然のように料金を請求し、何か言われると「あれは日本の文化です」と言うやり方には腹が立つ。
日本人はキホン親切でいろんなことを手伝ってくれるけど、日本のルールや常識を教えてくれなかったり、自分の日本語の間違いに気づいてもスルーすることがよくある。
アメリカ人に比べて日本人は他人に説明したり、注意することが少ない。
そう感じていた知人にとって、「お通し」は日本人の不親切さを象徴する一品になってしまった。
外国人(アメリカ人とヨーロッパ人)との会話がで盛り上がる話題
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