オタク、ツナミ、コスプレ、スシ、マンガ、カワイイ…。
日本語が由来になった英語はいくつもある。
このまえアメリカ人と話をしていて、「センセイ」も一般的な言葉になっているということを初めて知った。
でも、やっぱり現地化していて、日本語の「先生」とはちょっと違う。
ケンブリッジ英英辞典を見てみると、英語の「sensei」はこんな意味だ。
「a teacher of karate or other martial art (= a traditional Japanese or Chinese form of fighting or defending yourself)」
空手や合気道、柔道といった日本の武道のほか、カンフーなどの中国武術の指導者も「センセイ」と呼ぶ。
日本では武道の道場で、指導者レベルの人は「師範」と呼ばれることが多く、「先生」は使わない。
*一番上の人間が師範で次が師範代とか、3段を先輩、4段を先生、6段を師範と呼ぶとか、武道の種類や流派によって呼び方はいろいろある。
アメリカでは学校の児童生徒が男の先生には「ミスター○○」、女の先生には「ミス○○」と呼ぶ。
日本では学校、アメリカでは道場で使うから、「先生」と「Sensei」はもう別の言葉になっているといってよし。
では、なんでこの日本語は海を渡って、アメリカ社会で有名になったのか?
その理由を知り合いのアメリカ人に聞くと、「ハッキリした理由は知らない。でも、大した理由じゃないことはわかる」と言い切る。
ケンブリッジ英英辞典に「a teacher of karate」とあったように、センセイという言葉はいろんな武術の中で、特に空手と深く結びついている。
知人の推測では、数十年前、アメリカで空手が人気になって、あちこちで道場ができた時に「センセイ」という言葉が使われたから、Karateと Senseiはセットになってアメリカ社会で知られるようになった。
英語ならマスター(?)というところで、あえて日本語を使ったワケは、そのほうが日本っぽい雰囲気がでて、指導を受けるアメリカ人がよろこぶから。
アメリカ人は単純で、「Sensei」が広がった理由もきっと程度だという。
“アメリカンな雰囲気”を出すために、意味をよく考えずに、テキトーな英語を使うことは日本でもありそう。
別のアメリカ人に聞いても同じだ。
むかしアメリカで空手道場がポコポコできた時に、そこに通っている生徒(大人)が友人に、子供なら親に「Sensei」と言っていたから、それを聞いた人も自然とおぼえて「センセイ」は一般的にも普及していった。
そのアメリカ人の考えでは、いちばんのポイントはアメリカで空手ブームをおこした映画「The Karate Kid(ベスト・キッド)」。
主人公に空手を教える「ミヤギ センセイ」は有名なキャラクターだから、その影響で Senseiを知ったアメリカ人はたくさんいる。
空手道場を開くなら、当然、できるだけ多くの客(生徒)を集めないといけない。
そのためにはアメリカっぽさを消して、オリエンタルな雰囲気を生徒に感じさせることが効果的だ。
師範の呼び方を日本語にしたほうが、アメリカ人には魅力的だから各道場が「Sensei」を採用した。
これは知人の想像だから、「Sensei」がアメリカ社会に広がった確実な理由かはわからない。
でも、カラテは日本で生まれた格闘技だから、日本文化に敬意を払ったというリッパな理由じゃなさそう。
それぞれの人が利益を最優先に考えた時、「センセイ」はアメリカ人にとてもキャッチャーな言葉だったという、その程度の理由だったと思う。
動画の「0:45」のところに、「Go to your sensei」という字幕がでてくる。
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