韓国の新幹線といわれる「KTX」。
その時間厳守の運行は、人類の中でも別次元にあった(っぽい)。
朝鮮日報のコラム(2023/04/16)
韓国高速鉄道KTX、99.8%は定時到着だなんて
電車がたった 0.2%しか遅れないということで、KORAIL(韓国鉄道公社)は「世界最高レベルの定時到着率」と自画自賛だ。
でも、ふだん「KTX」を利用している国民からすると、この数字はとても信じられない。
乗客が感じる「体感定時到着率」とかけ離れているのでは? と指摘されたKORAIL側はこう説明した。
「終着駅に15分59秒以内に到着した列車は全て定時に到着したと見なしている」
つまり、KORAILは 16分未満の遅れなら「定時到着」とカウントしたから、定時到着率がほぼ100%というミラクルな数字が誕生したわけだ。
そんなずっこい基準を抜きにして、朝鮮日報の記者がKORAILの資料を確認したら、「5本に1本は遅れて運行している」ことが判明。
でも、毎週KTXでソウルと釜山を往復しているこの記者には、定時到着率 80%というも実感として信じられなかった。
それで過去1年間の自分のKTX利用記録を確認したところ、遅延率は 47.3%で「全体のほぼ半分だ」という、KORAILの発表とかけ離れて数字がでてきた。
99.8%は定時到着だなんて信じられないが、2本に1本は遅れるというのはこの記者の感覚からして合っている。
韓国で発表される数字には、ウラがあることもある。
この調査結果もボクの「体感」とはかなり違う。
共同通信の記事(2023/04/01)
韓国世論、日本に好感なし70% 歴史や処理水で懸念・不信根強く
韓国人を対象に世論調査をした結果、70%が日本に好感を持っていないことが判明。
福島原発の処理水や歴史問題について不満があるのはわかるとしても、韓国ではすこし前に映画『スラムダンク』が大ブームになって、いまは『すずめの戸締まり』が空前のヒットを記録している。
ことし1月に日本を訪れた外国人のなかで韓国人は56万5200人と、2位の台湾(25万9300人)の約2倍で断トツのトップだった。
しかも韓国人観光客には「リピート率が高い」という特徴もある。
朝鮮日報の記事によると、5月出発の海外旅行で日本は行きたい国の2位という人気っぷり。(2023/04/19)
韓国人の「リベンジ海外旅行」急増…人気2位は日本、1位は
温泉とUSJをセットにした「大阪+京都+奈良+温泉ホテル2泊」といったパッケージ商品が韓国人に大人気らしい。
日本旅行へ行った、日本のビールを飲んだ、日本車を運転したという理由で怒られた「ノージャパン運動」もいまではマボロシだ。
中央日報のコラム(2023.03.01)
「ノージャパン」という名の亡霊
つい先日も、朝鮮日報にこんな記事があった。(2023/04/15)
日本酒コリア、スパークリング日本酒「澪」を韓国コンビニで販売
韓国企業の「日本酒コリア」がスパークリング日本酒の「澪」に注目して、韓国で大々的に売り出したという。
SNSを見ても、
「4월 초에 교토에 가서 먹은 창작쿠시카츠입니다. 한국에서는 쿠시카츠가 고급요리로 분류되는거같아요. 맛있었고 마스터상이 친절하셨습니다.」
(4月に京都へ行ってた食べた串カツです。韓国で串カツは高級料理に分類されると思います。おいしかったし、店のマスターも親切でしたという内容らしい。)
こんな感じに、日本旅行を満喫する韓国人は山ほどいる。
日本に好感がないという韓国人が70%もいるのは、どうも「体感」としておかしい。
そのへんのギャップについて知人の韓国人(20代・男性)に聞いてみると、彼はこんなことを言う。
日本についてどう思うか調査で聞かれたら、「国民」として答えるから印象は悪いですよ。
やっぱり、日本にヒドイことをされたという教育を受けてきましたから、公的に聞かれると「日本が嫌い」と言わないといけないような気分があります。
でも、他人の目を気にしないで、個人の立場で答えるなら別です。
日本の食べ物やアニメ、映画が好きな人は多いし、旅行で日本人の親切さに感動した人もたくさんいますから、きっと「好き」と答える人が多くなりますよ。
日本人が韓国を旅行しても、冷たくされることはまず無くて、きっと親切にしてもらえますよ。
韓国人が日本について聞かれた場合、答える立場が国民か個人かによって、イメージする日本が違うから回答も変わってくる。
そんな感覚はソウルの「西大門刑務所」へ行ったことを考えると何となくわかる。
ここは1908年にできた近代的刑務所で、日本の統治時代には、政治犯(韓国では独立運動家)が収容されていて死刑場も兼ねていた。
韓国人にとっては歴史を学ぶ“聖地”で、教員や修学旅行の児童生徒が訪れてこんな展示を見ることになる。
これは日本が設置した拷問器具を再現したもの。
独立運動家がここに入られて、2~3日も立ちっぱなしにされたという。
ここを訪れた人がその苦痛を経験できるように再現された。
上の説明の続きが下になる。
ただ、西大門刑務所で伝えている内容や意図については、国の内外で疑問の声がでている。
たとえば日本通として知られる朴 裕河(パク・ユハ)教授はこう批判した。
「解放後50年間の歴史はきれいさっぱり消し去られたまま、日本に対する憎悪と恐怖を育てる場所としてのみ存在している」
でも韓国社会では、こんな意見はほとんど聞こえない。
日本に抵抗して死んでいった先人のことを思うと、韓国国民として、日本という国を「好き」と他人に言いづらくなる気持ちはわからなくもない。
だから、日本を国家としてみれば「好感なし70%」は正しいけど、個人の立場で考えるとそうでもない。
旅行で感じる日本は「串カツはおいしかったし、マスターも親切でした」といった好印象。
韓国の生活でよく接するのは食べ物やアニメなどの文化だから、そんな日本については「好感度70%」でもおかしくないと思う。
韓国の数字にはワケやウラがあるから、正しく理解するのはむずかしい。
日本人の考えでは理解しにくいだろうが、そして韓国人の私も理解しにくいのは同じだが、韓国人の「行動」と「考え」は違うように動作します。非常に珍しい現象ですね。
たとえば、日本の甲子園球場に行ってきた20代の女性の話をします。 彼女のブログで見た話です。彼女が甲子園球場を訪れた時は、オ·スンファンという韓国選手が阪神で活躍していた時期でした。彼女は甲子園球場の名物と呼ばれる食べ物を一つずつ食べ、風船飛ばしイベントに熱狂し、古色蒼然とした甲子園球場の魅力を精一杯自慢しました。しかし、、、、
翌日、甲子園歴史館で日帝時代に甲子園大会に参加した朝鮮の学校を記念する野球ボールを見て、このように言います。
「(朝鮮の)民族魂を抹殺し、朝鮮青年たちを戦場に追い込み殺し、慰安婦たちを性奴隷にしてむやみに踏みにじった日本人とは決して一緒に暮らすことはできない。」
「個人」として情報を発信して、次の日は「国民」として文章を書いたのでしょう。
日本人には分かりにくい二面性ですけど、彼女にはどっちも本当の気持ちですね。