日本では春が終わり、今は夏に入りつつある。
そうなると、もうすぐ風鈴の音が聞こえてくる。
でも、この納涼文化は外国人には通じないらしい。
知人のアメリカ人、ベトナム人、ドイツ人、リトアニア人はあの「チリーン」という音を聞いても、まったく涼しさを感じないという。
風鈴は日本文化のひとつで、日本人と外国人では育った環境が違うから、同じ音を聞いても感じ方が違うのは仕方ない。
最近、ある人がSNSに投稿した内容に注目が集まった。
「近隣住民」を名乗る人物が、カエルの鳴き声がうるさく苦痛を感じるため、騒音対策をしてほしいと紙に書き、それを田んぼに置いて所有者に訴えたという。
カエルの大合唱はうるさいが、個人的にはまったく気にならない。
しかし、感性は人それぞれ異なるため、カエルの声に「苦痛」を感じる人がいれば、その反応に「理解できない」と驚く人もいる。
ニューヨーク出身の知人のアメリカ人は「静かな夜」を嫌がった。

ニューヨークシティで生まれ育ったそのアメリカ人は、大学を卒業するまでずっと実家で暮らしていて、日本で英語を教えるために初めて別の場所で住むことになった。
20代の生粋のニューヨーカーが、浜松市という日本の地方都市へ来て何を思ったか?
大通りから離れた閑静な住宅街にあるアパートで暮らし始めると、彼女は夜がくると不安になった。
NYCは眠らない。
夜遅くまで車が通り過ぎる音やクラクション、通りを歩く人の声や音楽が聞こえてきて、彼女は子どものころからそれを聞きながら眠りについていた。
でも、その住宅街は夜8時ごろには暗くなって、音もほとんどしなくなる。
日本へ来たらいきなり「音」が消えて、夜は死んだように静かだから、そのニューヨーカーは違和感や不安を感じて心が落ち着かず、なかなか眠れなかったという。
ニューヨークの夜なんて映画やアニメで見るものだからピンとこないが、日本の地方都市の住宅街とはまったくの別世界なのは分かる。
カエルの声に怒る人もいれば、静かな夜を嫌がる人もいるのだ。
ただこのアメリカ人は「近隣住民」とは違って、「夜の静けさに悩まされています。とても苦痛です。対応をお願いします」と自治会長に文句を言うことはなかった。
つい先日、ニューヨーク出身で浜松に住んでいる別のアメリカ人と会ったから、彼の意見も聞いてみた。
まずそのとき一緒にいたイギリス人は、
「自分はイギリスの田舎の出身で、夜は浜松みたいに静かだったから、音がしなくてもまったく気にならない。そのアメリカ人とは感じ方が違う」
と言うと、アメリカ人のほうは、
「その人の気持ちは分かる。NYCの環境に慣れると、まったく音がしなくなるという状態はなんか不安で落ち着かない。ボクはもう日本のいまの環境に慣れたから、何も思わないけどね」
と話す。
このアメリカ人は東京に住んでいたことがあって、その時も深夜まで何かしらの音が聞こえてきたから、NYCとあまり変わらなかったという。
彼の感覚だとノイズ(音)でも、ホワイトノイズなら気にならない。
*周波数によってノイズはホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズといくつかの種類に分かれている。たとえば「シャー」と聞こえる音がホワイトノイズで、「ザー」ならピンクノイズらしい。
でも2人にとって、深夜まで音が聞こえる環境や無音状態よりも違和感を感じたのは、カエルの鳴き声に苦痛を感じるという日本人だった。

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