LGBT法案で変わる日本 ペリーが驚いた社会に戻るべき?

 

時代は変わった。
男と女だけでじゃなくて、いろんな性を認めるべきだ。

そんな世界的な流れを受けて日本でも「LGBT理解増進法」が国会で成立した。
といっても初めて法的に決められたことだから、これから社会や人々の意識がどう変化していくか見えず、不安や困惑も広がっている。

読売新聞(2023/06/17)

女子トイレ巡るトラブルに不安、商業施設「差別と主張されるのでは」…LGBT法に銭湯も困惑

性的少数者への差別や偏見を無くし、生きやすい世の中にしよう! との理念には賛成でも、女子トイレや銭湯に関わる人たちとしては先を見通せないから不安はある。
今回のLGBT法案では当初の「性自認」が「ジェンダーアイデンティティー」へ修正された。
漢字がカタカナになって、何がどう変わったかよくワカランけど、とにかく他人の承認を必要とすることなく、自分の性は自分で決められるということだ。
となると、男なのに女とウソをつくのは犯罪者だから論外として、男性器もあって外見は男に見えても、自分では女性と考えているトランスジェンダーの女性が女性用トイレを使うことも当然あり得る。
そうなった場合、ほかの女性はどう思うのか。
そうした事態を想定し、ある百貨店の担当者は「法律を盾に女子トイレに入れないのは差別だと主張されるのではないか」と困惑している。

トイレよりも、全裸になる銭湯のほうが問題としては大きい。
東京で銭湯を営む経営者は「客が自認する性別の湯を利用したいとの申し出を断った場合、問題になるのではないか」と不安そうに話す。
「より弱い立場に置かれている女性全体の利益や権利が擁護されるという視点が大切だ」という自民党議員の意見とLGBT法の理想を、現実社会で合わせていく作業がこれからの日本で進められていくはずだ。
そこで温故知新、昔の日本にその答えを探してはどうか。

 

幕末の日本へ、開国を求めてアメリカからこの男がやってきた。

 

 

1854年に日米和親条約を結んだことで、日本の鎖国政策を終わらせた漢(おとこ)として知られるペリー。
でもそれは日本での話。
知人のアメリカ人に言わせるとヤツの本国での知名度はとても低く、ゲームの影響から織田信長のほうが有名だ。

さて来日したペリーは、

「彼らは外国人によってもたらされた改良を観察するのが極めて早く、それをすぐに会得し、非常な巧みさと精確さで模倣するのである」
「下水もあって清潔で健康的でアメリカより遙かに進んでいる」

と日本人の技術力の高さや衛生観念を称賛した。
だがしかし、こんな男女混浴の銭湯を見てペリーは驚がくする。

 

 

男女が全裸で同じ風呂に入るなんて、キリスト教徒にとってはあまりに淫(みだら)で不道徳。
ペリーの記録にあった上の絵はアメリカで評判を呼んだが、衝撃的で「卑猥な絵」という理由で後に削除された。
ペリーの後にやってきて日米修好通商条約を結んだハリスも、男女が同じ浴室で全裸になっていることについて、日本人は正しい行いをする国民なのに、どうしてこのように品の悪いことをするのか? と理解に苦しむ。

現代の日本人も男女で一緒の風呂に入れるぐらい、互いの裸や性が気にならなくなればいいのだ。
150年ほど前の日本人がそうだったように。
そうすればトイレや銭湯に関係する人たちの不安や困惑も無くなる。
つまり絶望的だ。
でも、もう法律は成立したから、それに違反すればきっと処罰を受けることになる。
混浴は非現実的だとしてもこれからの日本では、いろんな場所をいろんな人とシェアする場面が増えてくるだろうから、男女を明確に区別する意識を少しずつ薄めていく必要があると思う。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。