ドイツ人が感じた日本の夏の暑さ、ドイツの住居との違い

 

夏がくれば思い出すもの。
名曲『夏の思い出』なら「はるかな尾瀬」と「遠い空」になるのだけど、個人的にはヘタレなドイツ人を思い出す。
8月に彼と一緒に京都旅行をしていた時のこと。
祇園神社から清水寺まで歩いている途中、あまりの暑さと湿度に耐えられなかった彼は「もう歩けない」とギブアップ宣言をして、「清水寺はユーチューブで見るよ」と言い残してカキ氷屋へ消えていった。

そんなヘタレなドイツ人は母国に戻って、いまはブレーメンで生活している。
先日、彼と話をしたから、今回はその内容を紹介しようと思う。

 

ーー日本はすっかり夏になって、本当に暑くなってきた。
ドイツはどない?

ドイツも夏になって暑くなってきたけど、日本みたいにジメジメしてないから過ごしやすい。
それに比べて、日本の夏は暑いね。特に京都の暑さは危険だ。
清水寺のことはもちろん覚えている。
あの時のボクの最善の選択は、カキ氷屋だったといまでも確信している。
それまでにいろんなお寺や神社に行っただろ?
それで、実はちょっと気持ち悪くなっていたから、あのまま清水寺へ行ったらボクはきっと死んでた。

 

ーーなるほど。
清水寺は遅くまで開いているから、最後に行くことにしたんだ。
それに、祇園四条駅で降りて祇園神社に行って、それから二年・三年坂を通って清水寺へ向かう予定だった。
炎天下でその距離を歩くのはかなりきついと思ったから、清水寺は後回しにしたんだけど、結果的には大失敗だったみたいだ。
まあ、冷房の効いた所で、カキ氷を食べることが「命を守る行動」なら仕方ないけど。
それはいいとして、最近は何かあった?

前々から日本で就職したら、古い家を買ってそこに住みたいと思っていたんだ。
それで、このまえネットで調べてみたら、日本の家はドイツの家よりもかなり安くて驚いたよ。
でも、外国人が日本で古い家を買うことはできる?

ーーできるでしょ。
家を購入するのに国籍の制限はないと思う。
外国人が古民家に住んでいる話も聞いたことがあるし、お金があればきっと大丈夫。
にしても、日本の古民家の魅力ってなに?

自然だよ。
京都の旅館に泊まったときの部屋は、柱は木、ドアは紙でできていて床は畳だった。
ドイツの伝統的な家は石やレンガで造られているから、雰囲気がまったく違う。
日本の伝統的な家は、中にいても自然を感じられるからすごく良かった。
畳の感触やにおいもいい。

ーーそれはよかった。
日本の家は伝統的に夏の暑さを考えて、高い気温や湿度の中でも、できるだけ快適に過ごせるように設計されている。
だから、風通りの良いつくりになっていて、木や紙は湿気を吸収して室内の湿度を調整してくれる。

ドイツは反対だ。
ここでは夏はわりと過ごしやすいけど、冬はかなり寒くなる。
だから、伝統的な家はそんな気候に合わせて建てられる。
壁は断熱材を使って厚く作られていて、二重窓や暖炉がある。
日本の伝統的な家は壁が薄いし、現代的な家でも二重窓を見たことがない。
ドイツの昔の家だと暖炉の煙突もよくあるけど、日本では無いよね?

ーー日本の一般的な家なら、暖炉や二重窓は必要ないからね。
煙突も無いけど、縁側ならある。
ドイツの家では日本みたいに、風を感じて涼をとるための縁側なんてないでしょ。
風鈴の音が聞こえる縁側で、浴衣を着た子供がスイカを食べる様子は完璧な日本の夏だよ。

なるほど。
そう言えば、京都旅行では貴船の川床がすごく良かった(トップ画像)。
流れる川の上で流しそうめんを食べるなんて、目や耳でも涼を感じることができて最高の体験だったよ。

 

ブレーメンの街並み

 

冬の寒さは何とかなるとしても、夏の蒸し暑さはどうしようもない。
だから、家を建てるときは、夏でも過ごしやすくようなるように考えるべき。
鎌倉時代、吉田兼好が『徒然草』でそんなことを書いている。

「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり」

日本と比べると、ドイツの気候は全体的に涼しく湿度も低い。
夏でも基本的には扇風機だけで十分だから、一般的な家にはエアコンがない。
(地球温暖化の影響で、最近は暑くなっているらしい。)
ドイツの住居は冬を”むね”としているから、日本の家とは根本的に発想が違うのだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。