きょねんの12月、バイエルン州にいるドイツ人とスカイプで話をしたとき、「そろそろクリスマスの準備をしないとな~」てなことを言ってた。
具体的にはクリスマスツリーを買って飾り付けをして、家族・親せきへのプレゼントを用意し、クリスマスの日に食べる料理をきめて食材を準備しておかないといけない。
ドイツでは一般的に、12月に入るとみんなそんなことをボチボチ考え始めるらしい。
「クリスマスにはケンタッキー」の文化のない国ではいろいろと面倒くさそうだけど、それはそれで楽しいんでしょ。
さて、いま日本にいるドイツ人Tobiさんがしたツイートが話題、というか笑いになっている。
現在は日本語ペラペラのTobiさんが来日したころ、12月になってクリスマスと故郷を思い出し、心がちょっとしんみりしたという。
ドイツにいる人たちにクリスマスカードを贈ろうと考えていたところ、たまたま入ったコンビニで『最適』と思われる封筒を発見。
そのツイートがこちら。
ドイツはクリスマスが家族で過ごす行事やから、初めて日本行った時にこの時期くらいに少しホームシックになって親戚に手紙送ろう!として、コンビニでばり格好いい封筒売ってるやん!何か付いとるし読めんけど漢字も書かれて絶対喜ぶ!と親戚全員に御霊前と書かれた黒い水引付き不祝儀袋を送った事ある
— Dr. Tobi (@tobi_jpn) December 5, 2020
日本の葬式で、死者の霊前に供えるお金を香典という。
「香」(かおり)の字があるのは、線香代わりに供えるという意味。
香典はむかしは香奠と書き、「奠」とは霊前に供える金品を表した。
日本では死に直結するこのアイテムを、クリスマスカードに選んだドイツ人のセンスに日本のネット民はほろこんだ。
・ドイツで「かっこいい革の肩掛けカバンがある!」と思って買って使ってたら、日本でいう『小学生のランドセル』だった。
・イエスキリストの霊に供えると思えば良いのでは?
・メリークルシミマ~ス
・お前はもう死んでいる
・確かに、中世っぽい雰囲気もあるな
・くそわろたwww
スカイプで話をしたドイツ人のある日の昼食。
日よけのすだれをテーブルマットとして使っていた。
文化の違いとはいえ、結果的にはクリスマスに死を暗示させたようなもの。
相手が日本人だったら、嫌がらせにもほどがある。
この話を知って、さっそくドイツ人に香典袋の画像を送って感想を聞いてみたところ、「これが何の封筒か分からないな~。でも品があってキレイだね」とやや好意的にみる。
ワケを話して、クリスマスカードにこれを贈りたいか聞いたら「シンプル過ぎる。クリスマスならもっと派手な色やデザインのものがいい。ボクならパス」と言う。
日本で赤と白は結婚式などの祝いの場、白と黒には死や葬式のイメージがあるけど、彼に言わせるとドイツで死のイメージは黒で白はおめでたい。
香典袋は白が多いから、見ても不吉な予感はしないらしい。
*別のドイツ人で、仏壇を見て「ワイン収納に良さそう」と言った人がいたらしい。
ベトナム人に香典袋の画像を見せたら「なんか嫌な印象を受けますね」と言い、日本ではお葬式で使うと話すと、「そうですね。たしかにそんなイメージです」と納得する。
これは東アジアの伝統的な見方かもしれない。
「これならクリスマスプレゼントにいいと思う」と言ってドイツ人が見せたのがこんな感じのお札
日本人と外国人では文化や価値観が違うのは当たり前。
まえに日本人の結婚式に参加した知人のアメリカ人が「アメイジング・グレイス」を聞いて、「あの歌はアメリカではお葬式の歌なのに!」と驚いていた。
ドイツ人がクリスマスカードに香典袋をチョイスしたとしても、まぁ笑い話ですむ。
でも戦争中、アメリカ人やオーストラリア人の捕虜に「善意」でごぼうを食べさせたところ、戦後それが「虐待」となって裁判で有罪判決をくらった日本人もいるのだ。
「自分がされて嬉しいことはきっと相手も嬉しい」なんて話も、文化圏が違うと真逆の結果になることもある。
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あー、この香典袋をカッコイイ封筒と間違える外国人の話、なんか日本で暮らし始めた外国人あるあるらしいですよ。同じ話を色々な方面から2~3回は聞いたことがあります。
結婚式のご祝儀袋なんて、もっと派手だから喜ばれるかも。(ご祝儀袋であれば、まあ、失礼にはならないだろうし。)
だけど、表面に水引の装飾なんかくっついていても、普通の封筒と同じように郵便で送れるのでしょうか?