アップル社はこれから、皮の素材を使わないことを発表した。
レザーの生産や廃棄では大量の二酸化炭素が排出されるから、環境を大切にするアップルの理念と合わないということで。
それで今後は、「Apple Watch」のバンドや「iPhone」ケースなどの製品からレザーが無くなるという。
ここで、皮と革の違いを確認しておこう。
どっちも「かわ」と読むけど、意味は微妙に違う。
動物の体をおおっているものや、それをはぎ取ったものが皮で、これには通常、毛が付いている。
「革」は、この皮から毛を取り除いて、腐敗を防ぐために薬品で処理する「なめし加工」をしたものになる。
英語の「Leather(レザー)」は革を指す。
アップルが革を使用しない理由は、地球環境を守るため。
牛や豚などの動物を育てるために排出される温室効果ガスは、年間でCO2換算で7.1ギガトンにも達し、これは世界の温室効果ガスの約14%を占めている。
理由はまったく違うけど、インドのジャイナ教でも、はるか昔から皮や革が厳禁されている。
その点ではアップルよりも先進的だ。
日本では、「違う。そうじゃない」と否定から入る「じゃない教」の信者がよくいる。特にネット界隈で。
数で言えばかなり少ないが、ジャイナ教の信者も一定数いて、神戸にはジャイナ教のバグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院がある。
レビューを見るとわりと、この寺院の評価はわりと高い。
・どんな宗教かよくわかりませんが、建物は素敵です。
・象牙色の美しい建物。
凝った彫り方がしてあって興味深い。
・中の照明や机の足以外すべて大理石。門のつくりも細かく、きれいだった
・私たちはこの寺院の宗教については何も知りませんでしたが、祭壇、門、大理石の細部の彫刻の美しさに感銘を受けました。
・素敵で落ち着いた雰囲気。訪れる価値は十分にあります。
トップ画像はインドで見たジャイナ教寺院(名前は忘れた)。
すべて大理石でできていて、緻密な彫刻に感動した。
インドでは紀元前5~6世紀ごろ、バラモン教からジャイナ教が誕生した。
仏教とジャイナ教は同じ時代に、同じ起源から生まれた宗教だから、多くの共通点がある。
ジャイナ教の開祖ヴァルダマーナは12年の苦行を経験した後、真理を悟り、「ジナ(勝利者)」となった。
ジャイナ教とは「ジナの教え」ってこと。
これは、真理を悟ったシャカが「ブッダ(目覚めた人)」と呼ばれたことと似ている。
実際、ヴァルダマーナ(尊称:マハーヴィーラ)もブッダと呼ばれたことがあった。
ジャイナ教の重要な教えは、生き物を傷つけない、ウソを言わない、他人のものを盗まないといったもので、これらは仏教とまったく同じ。
地面を掘ると、誤って生き物を傷つけてしまうかもしれないから、ジャイナ教の信者で農業をしている人は超例外だ。
彼らは教義をしっかり守り、ウソをつかず正直だから、ほとんどが商人をしている。特に信用が重視される宝石業で、ジャイナ教の信者が多い。
また、ジャイナ教はバラモン教のカースト制度を否定し、平等を強調した点も仏教と共通している。
もっとも、知り合いのインド人に言わせると、ジャイナ教の集団も1つのカーストだ。
ジャイナ教にはいくつかのグループがあり、生き物の殺生について特に厳格な宗派では、空気中の小さな虫を吸い込まないように、信者は白い布で口をおおっている。
昔、イエズス会の宣教師がジャイナ教徒に、顕微鏡でいつも彼らが飲んでいる水を見せた。
すると、その水には微生物がたくさんいることが分かり、ジャイナ教徒はその水を飲むことをやめ、衰弱死したという報告がある。
話は変わって、インドを旅行中、車とドライバーを雇って地方をめぐっていた時、こんなことがあった。
ハンドルを握っていたドライバーが突然、「この近くに有名なジャイナ教の寺院がある。そこはとてもすばらしい寺院だから、おまえはそこへ行くべきだ。オレは喜んでおまえをそこへ連れて行く。ただしチップをよこせ」と言い出し、強引にそこへ車を走らせた。
その寺院は、柱や天井に緻密な彫刻がほどこされていて、確かに圧巻だった。
(トップ画像もこの寺院のもの)
この寺院に入る前、インド人のドライバーから何度もこんな注意を受けた。
「ジャイナ教では、生き物を殺すことは厳禁されている。だから、この寺院入る際には、革製品を身に着けていてはいけない。おまえは皮のサイフやベルトを持っていないだろうな? もし、そんなそんな人間を連れて行ったら、オレも大変なことになるんだよ。」
この時、ボクは革製品を持っていなかったから、この問題はすでにクリアされていて、生まれて初めてジャイナ教の寺院に入ることができた。
ドライバーの話によると、過去には、厳重注意を受けたにもかかわらず、革製のサイフをポケットに忍ばせた外国人旅行者がいて、寺院の中でそれが見つかった。
殺気立った人たちに囲まれ、その迷惑外人と彼を案内したインド人は外へ連れて出される。
インドでこの状況なら、集団リンチを受け、瀕死の重傷を負ってもおかしくない。
でも、死や血を嫌うジャイナ教の集団だったから、それは避けられた。
でも、寺院全体を隅々まで清掃し、僧を呼んで特別な儀式を行って浄化しないといけないから、その外国人とインド人は合計100万円ほどの寄付金の支払いを強制され、何とか許しもてらったという。
神戸のジャイナ教寺院を訪問する際は要注意だ。
コメントを残す