【ハマス襲撃】現地にいるイスラエル人の思いは?

 

20年ほど前にイスラエルを旅行した時、宿で「ビックリ体験をしました!」と言う日本人と出会った。
彼がバスで街まで移動して、宿を探すために地図を見ていたら、「おい、そこのオマエ」とでっかい銃を背負った数人の軍人に声をかけられた。と思った時には囲まれて、そのまま詰所(?)に連れていかれた。
どうやら、「スパイ活動」の疑いをかけられたらしい。
詰所では、軍人が彼のパスポートを手に取りながらいろいろな質問をおこない、バッグの中身をすべて取り出して一つ一つチェックする。
さらに、日本の実家に電話して確認した後、やっと旅行者だと判断された。
お詫びのつもりなのか、彼を車で宿まで運んでくれたらしい。
だがしかし、貴重な旅行期間のほぼ1日をムダにされたから、彼の不満は収まらない。

パレスチナとの対立が続いていて、イスラエルではいつもテンションが高いことはボクも聞いていた。
でも、地図を広げただけで、こんなフルコースを体験するというのは想像を超えていた。

 

先日、イスラエルがイスラム武装勢力『ハマス』の襲撃を受けて、現時点で1200人以上の人が亡くなっている。
数年前に京都を旅行中、エルサレム出身のイスラエル人と知り合って、それからたまに連絡をとっていた。
彼女の安否や現地の状況が気になってメールを出すと、こんな返事が返ってくる。

Unfortunately, the situation here is not easy at all!
They just murdered and murdered anyone they saw!
Old people, babies, kids, adults…
And they also attack us from the north
We are fighting hard…

残念なことに、現状は非常に困難です!
お年寄り、赤ん坊、子ども、大人…、彼らは目にした人すべてを殺した!
それに、北側からの攻撃もある。
我々はいま全力で戦っている…。

 

ハマスの武装集団がある集落を襲ったときの様子を、監視カメラがとらえていた。
左側の青い車の中には複数の遺体があり、テロリストは遺体を引きずり出し、路上に放置して車を盗んでいった。

銃やロケットランチャー(おそらく)を背負ったテロリストがバイクに乗って、住民を探しまわっている。生きている人間を見つけたら殺害するか、誘拐していく。
日本では『北斗の拳』でこういうシーンを見たけど、イスラエルでは現実だ。

 

ハマスの襲撃に関するニュースでは、「キブツ」という言葉がよく出てくる。
「qibus」とはヘブライ語で「集団」を意味していて、イスラエルにある独特な農業共同体をキブツと呼ぶ。
日本のニュースでは「集落」と訳されることが多い。
現地メディアの報道によると、下のクファール・アザというキブツでは、100人以上の住民が殺害され、その中には約40人の乳幼児が含まれていた。

 

両親と赤ん坊がベッドルームやシェルターで殺害されていた。
動画の中でイスラエルの軍人が、「こんな光景は見たことがない。これは戦争ではなく、虐殺だ」と激怒している。
一家族全員が銃殺されたり、赤ちゃんが頭部を切断されたりしたという。
日本の感覚や常識からすると、アニメやドラマでもここまで残酷なシーンはNGだ。

 

「They just murdered and murdered anyone they saw! Old people, babies, kids, adults…」

この言葉にウソはなく、「We are fighting hard」はいまの全イスラエル人の思いだ。
こういう現実があれば、地図を広げただけで連行されても仕方ない。
でも、後で文句ぐらいは言っていい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。