日本人と韓国人のお互いの印象・関係を左右する最大要因

「秋深き隣は何をする人ぞ」

秋も深まってきた。さて、隣に住む人は何をしているのだろう。

松尾芭蕉が人生最後に詠んだのはそんな句だ。

さて、永遠の隣人である日本と韓国の人たちは、いまお互いをどう見ているのか？
最新の世論調査の結果によると、両国民が関係改善を実感していることが判明した。

まず韓国では、現在の日韓関係が「悪い」と答えた人の割合は42.0％で、昨年の64.6％に比べるとかなり下がった。
日本製品の不買運動がはじまった翌年（2020年）の調査では、88.4％だったから、現在は激減したと言ってヨシ。
また、日韓関係が「良い」と答えた人は12.7％で、昨年の4.9％から２倍以上も上がった。

日本でも、日韓関係が「悪い」と答えた人の割合は21.2％で、昨年の39.8％から大幅ダウン。
関係が「良い」と答えた人は29.0％で、昨年の13.7％から２倍以上もアップ。

2013年に調査がはじまってから、両国とも「（関係が）良い」と感じる人は今年が過去最高で、「悪い」も過去最低を記録した。
日韓関係が前進していることは明らかだ。

ただ、好感度については話は別。
日本に「良い印象」を持つ韓国人の割合は、昨年の30.6％から、今年は28.9％とわずかに減少し、「良くない」は52.8％から53.3％へ上がった。
0.5％なんて誤差の範囲内だろうけど、全体的には、日本に対する韓国人の好感度はじゃっかん低下している。

日本の結果は反対だ。
韓国に「良い印象」を持つ人は30.4％から37.4％へ上昇し、「良くない」は40.3％から32.8％に低下した。
全体的に、韓国に対する日本人の好感度は上昇傾向にある。

でも、これから日韓関係が発展するかどうかは、神のみぞ知る。
両国関係に最も大きな影響を与える要因はなにか？
日本人と韓国人が共通して挙げたのは「歴史問題」で、この認識の違いは埋められそうにない。

ソウル聯合ニュースの記事（2023/10/12）

韓国人は「日本の歴史教科書の歪曲（わいきょく）」、日本人は「韓国の反日教育」を解決すべき課題としている。

韓日関係「良い」が両国で過去最高　対日好感度はやや低下＝共同世論調査

良い雰囲気を保っていても、歴史問題がからむと状況は一変するーー。
そのことは、SNS上の日韓友好グループを見ているとよくわかる。

先ほどのアンケート調査では、日本人が韓国に良い印象を持つ理由として、「ポップカルチャーに関心があるから」が最多の47・1%で、次に「食文化や買い物が魅力的だから」が34・2%と続いた。
ボクがたまに見る仲良しグループでも、ふだんは日韓のメンバーがお互いの文化に関する投稿をしている。
誰かが流行やおすすめの食べ物や観光名所なんかを紹介すると、「参考になります」「いえいえ」とフレンドリーな雰囲気になるのだけど、歴史に関する投稿があると、嵐になる。

ボクの経験では、この問題については韓国人の方が圧倒的に関心が高い。
日韓関係が悪化している時は、歴史に関する投稿はほぼないけど、関係が良くなってくると、韓国人のメンバーから「歴史問題を無視してはいけない」とか、「この問題を解決しないと本当の関係は築けない」といった投稿がでてくる。
日本人はこういう投稿をしない。
でもまぁ、この程度なら波乱は起きないが、慰安婦や徴用工問題といったピンポイントの歴史問題についての投稿をすると、「日本は歴史歪曲をするな」、「韓国は反日教育をやめろ」といった争いに発展する。
この日韓戦の際、韓国側に同調する日本人はいても、日本の見方を支持する韓国人は見たことない。
で、最終的には、グループの管理者が投稿を削除して終わり。
そして、また「ありがとー」「どーもー」の声が響く、元の仲良しグループに戻る。

歴史問題への意識は、日本人よりも韓国人の方がダンゼン敏感。
たとえば、ある日本人が「20世紀のはじめに日本人がハワイへ移民として渡り、現地では慣れない農作業にとても苦労した」という投稿をすると、「その時代、韓国は日帝の植民地でした。韓国人は日本へ強制連行され、重労働をさせられました」とコメントをする韓国人がいた。
「いえ、そのことは関係ありません」と戸惑う日本人に、その韓国人は「韓国人にとっては大事な歴史なのです」と返信する。
このへんは論点がまるで違っていて、意見がかみ合っていなかったから、特に荒れることもなかった。
1910年から45年までの日本による統治時代を、韓国では「日帝強占期」と呼ぶ。
日本が好きな韓国人でも、この時代についてはとても敏感に、激しく反応する。
でも、その認識は日本とは違うから、ケンカになるしかない。

日韓関係が過去最高レベルで良くなったとしても、歴史問題は、最大の爆発力を持つ地雷であることには変わらない。
もちろん、歴史認識が一致することもあるが、そんなことは本当に激レアだ。