ニューヨークはすさまじく有名な都市だから、「NY」の大文字2つで世界中に通じる。
友人にNYで生まれ育った生粋のニューヨーカーがいて、彼女は以前、浜松市に住んで英語を教えていた。
「NYは世界で一番、飲食店の競争が激しいところなの」と言う彼女は、物価は高くても、世界中のレベルの高いグルメを味わえるから、NYをすごく愛している。
そんな事情をよく知っている彼女でも、約2年ぶりに帰ったら、お気に入りのお店が何件もつぶれていてショックを受けた。だから、新しいお気に入りを見つけて、その傷を癒やしたという。
レストランがニューヨークで厳しい生存競争を勝ち抜くためには、ほかの店と違う独自性を確立して、客の心をワシづかみにしないといけない。
そんなことはオーナーなら誰でも知っていて、みんなそのための努力をしているけれど、NYで“オンリーワン”の存在になることは、ほとんどの店にとっては無理ゲーで終わる。
そんな状況でも、日本の寿司職人が2018年にアッパーイーストサイドではじめた「Sushi Noz」には客足は絶えず、最近では世界的なガイドブック「ミシュランガイド」で二つ星を獲得した。
この寿司店が、世界でいちばん“ワガママ”な消費者をファンにした理由は「和」へのこだわりにあった。
店内はNYでよくある店と違って、客を驚かせるような演出や飾りはなく、「わびさび」を感じさせるシンプルで清潔な雰囲気に包まれている。
店は「数寄屋」を思わせる造りで、釘を使わず、竹と杉を材料にして作られていて、客がのれんをくぐると、着物を着た女性が迎えてくれる。
そして、最も重要な“味”については、「Sushi Noz」のシェフは数百年前から日本に伝わる伝統的な調理法を採用したと、朝鮮日報の記事にある。(2023/11/18)
冷蔵庫のなかった江戸時代には、東京湾で獲れた海産物を長い間保存できるよう塩漬けにしたり、煮たり焼いたりして加工していた
「ミシュランガイドNY2023」71軒のうち11軒は韓国料理レストラン、日本食は18軒
「Sushi Noz」は21世紀のニューヨークで、江戸時代の手法を取り入れたことで、食通たちの舌をうならせて、有象無象の寿司屋とは別のステージに立った。
ちなみに、上の記事では「ミシュラン」に載ったNYのレストランのうち、日本料理店が25%を占めたと日本食の躍進を伝えている。
もちろん、和風へのこだわりは「One of them」で、この寿司店では、ほかにもいろいろなアイデアや創意工夫があるはずだ。
でも、日本の伝統を活かして客に新しい魅力を提供し、ニューヨークで「勝ち組」になったことは、日本にいる日本人にも刺激を与えるし、いろいろなことの参考にもなる。
彼女もここをお気に入りにしたら、しばらくはショックを受けずにすみそう。
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