日本人の“E”の発音:外国人には「YEN」(円)”になる理由

 

上の写真は、カンボジアにある「イオン」。
AEONとはラテン語で「永遠」を意味する。
このショッピングモールについて、知人のイギリス人がなぜかラテン語で「アイオーン」と発音していたから、最初はさっぱり分からなかった。
英語なら普通は「イオーン」と言う。
日本人はこれを「イオン」と呼んで、英会話スクールの「AEON」は同じスペルなのになぜか「イーオン」と言う。
同じローマ字でも、発音はいくつかあるらしい。

 

さて、まえにSNSを見ていたら、こんな思い出を語る日本人がいた。

まだネットがなかった時代、彼が外国人に東京を案内することになり、どこに行きたいか聞くと、外国人は「イード・ビレッジに行ってみたい」と言う。
日本人はそれを聞いて、「やっぱりそこか。でイード・ビレッジってなに?」と疑問に思い、さらにくわしく話を聞くと、そこれは「江戸村」のことだった。
その外国人は「Edo」をイードと言っていたから、日本人には理解できなかったというオチ。
「E」の発音は少しややこしい。
「economy」はエコノミーと発音するが、うなぎは「eel」はエールじゃなくてイールと言う。
イスラム教の祭り「イード」について、英語で「Eid」と書いてあったから、つい「エイド」と読んでしまって、話をしていたイスラム教徒を一時停止させたこともある。

 

東京のあるJR恵比寿駅には、ローマ字表記で「EBISU」となっているけど、ヱ(エ)ビスビールの表記は「YEBISU」だ。
同じ「恵比寿」なのに、なんで表記が違うのか?
そんな疑問を持つ日本人は多いらしく、サッポロビールがホームページで説明している。

恵比寿駅のローマ字はEBISUなのに、ヱビスビールはなぜ「YEBISU」と書くの?

これによると、まず16世紀ごろの日本人は、「エ」の発音が現代とは違っていて、それを聞いたポルトガルの宣教師は「YE」と表記した。
*当時の「E」は「イ」に近い発音だったらしい。
その後、江戸時代の間に「E」の発音が変化していき、現代のような「エ」となった。
でも、幕末や明治時代、外国人の日本語表示は16世紀と変わらず、「E」とするところを「YE」と書いていた。
そのため、当時の日本人は「エ」のローマ字表記は「YE」だと誤解し、外国人向けの表示で「エ」を「YE」と書いていた。
それには例えば、「Yedo」(江戸)や「Yen」(円)がある。
明治時代に販売が始まったヱビスビールもその“伝統”を守り、いまでも「YEBISU」と表記しているという。

 

ただ、この説明は『日本銀行』のホームページにあるものとは少し違っているようだ。

円のローマ字表記が「YEN」となっているのはなぜですか?

ここでは、通貨の「円」がローマ字表記で「EN」ではなく、「YEN」になった理由として、幕末に日本を訪れた外国人が日本人の「EN」の発音を聞き、「エン」よりは「イン」に近いと感じたから、という説が紹介されている。
それで、当時の外国人の記録には「江戸」を「YEDO」と表現したものがあるという。
サッポロビールのHPにある説明では、江戸時代の間に、日本人の発音が「イ」から「エ」に変化したと書いてあったけど、日銀のHPの説明によると、幕末の日本人も「E」を「イ」と発音していたようだ。

 

どっちにしても、昔の日本人が「E」を「エ」ではなく、外国人には「イ」と聞こえるように発音していたことは間違いない。
だから、もし現代の日本人が江戸時代にタイムスリップして、当時の発音を聞いたら、「江戸」はエドではなく、「イド」のように聞こえると思う。
ということは、「Edo」をイードと読んだ外国人は、一周回って、江戸時代の日本人の発音をしたことになる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。