外国人に「あなたの国の自慢ってなんですか?」と質問をすると、インド人と中国人の場合、「歴史の長さ」と答える人がよくいる。
確かに、この2つにエジプトとメソポタミアを加えた世界4大文明は有名で、インドと中国にはそれぞれ4〜5千年の歴史がある。
しかし、「現在まで続く国」という観点では、日本の歴史は中国やインドよりも長いのだ。
北畠親房(1293~1354)
後醍醐天皇に仕えた重臣で、歴史家の北畠親房(ちかふさ)は、『神皇正統記(じんのうしょうとうき)』という書の中で、日本についてこう述べている。
日神すなわち天照大神がながくその伝統を伝えて君臨している。わが国だけにこのことであって他国にはこのような例はない。それゆえわが国を神国というのである
「慈円 北畠親房 日本の名著9 (中央公論社)」
この説は日本神話に基づいている。
はるか昔、天照大神(アマテラス)の孫であるニニギノミコトが、天の高天原(たかまがはら)から九州の高千穂峰へ降りてきた。
その子孫の神武天皇が紀元前660年2月11日、初代天皇として即位したことで日本国が成立した。
日本書紀にはそんな建国の物話があって、きょう2月11日が建国記念の日に制定された。
北畠親房は『神皇正統記』の中で、日本と天竺(てんじく=インド)の違いをこう指摘する。
わが国は天祖以来皇位の継承に乱れはなく皇統が一筋であって、この点は天竺とちがうところである。
インドの歴史をみると、マウリヤ朝やグプタ朝などの王朝が誕生しては滅亡し、19世紀にインドはイギリスの植民地となった。
中国の歴史も似ていて、革命が起きるたびに隋唐宋元明清…と王朝が何度も変わった。
現在のインドの建国記念日は8月15日(1947年)で、中国のそれは10月1日(1949年)。
一方、日本はいつ成立したかハッキリ分からないから、「の」が付いている。
「神国」かどうかは別として、皇位の継承に乱れはなく、皇統が一筋であるという点は確かに世界で日本だけにある。
日本は建国されてから、一度も滅んでいないから、北畠親房の主張は21世紀の現代でも有効だ。
だから、世界の歴史の中で、日本だけが変わらずに続いている。
日本には、世界4大文明ほどの歴史はなくても、「世界最古の国」という大きな特徴がある。
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