日米の恐怖伝説:ブラッディメアリー&トイレの花子さん

 

男性が外国を訪れ、見知らぬ女性と出会ってホテルで一夜を過ごす。
翌朝、男性が目を覚ますと、女性はすでにいなくなっていて、ふと鏡を見ると、こんな赤いメッセージが書かれていた。

「Welcome to the world of AIDS」(エイズの世界へようこそ)」

それは、昨晩の女性が口紅で書いたものだったーー。

一昔前、そんな都市伝説があった。

実在した“エイズばらまき男”/都市伝説のエイズ・メアリー

この「エイズ・メアリー」の元ネタはメアリー・マローンという、アメリカに実在していた女性で、前回書いたイングランドの女王・メアリー1世とは関係ない。

【日英の暴君】ブラッディ・メアリー&大悪天皇

この「血まみれの女王」に関連する都市伝説はほかにある。

 

20世紀はじめのハロウィンのグリーティングカード
女性が暗い部屋で、火のついたろうそくを持って鏡を見つめている。
彼女の左には、後ろに立つ魔女の影がある。

 

アメリカでは、真夜中に鏡の前に立って名前を何回か呼ぶと、女性の幽霊「メアリー」が姿を現すという言い伝えがある。
メアリーの姿には、死体、魔女、悪霊、友好的な幽霊などさまざまあり、血まみれの姿で現れることもあるから、それが名前の由来になった。
アメリカでは、真夜中に鏡の前に立って、自分の名前を何回か呼ぶと幽霊が姿を現すという言い伝えがある。

「メアリー」を呼び出す方法は、真夜中に一人で鏡の前に立ち、名前を3回繰り返すというのが基本形で、ほかにも、その場で3回まわる、ろうそくを灯すなどのバージョンがある。
で、みごと「メアリー」の召喚に成功したら、どんなことが起こるのか?
鏡の中のメアリーが大声で叫ぶ、自分を呼び出した人を呪う、その人の首を絞める、魂を盗む、血を飲むなど、これにも複数のパターンがある。
メアリーを呼んでも、ケガをしたり死亡したり、基本的には不幸なことしか起こらない。
アメリカでは肝試しみたいな、恐怖を楽しむゲーム感覚でこの儀式をするらしい。
現在では、どのぐらい行われているかは知らないけれど。

この都市伝説にも元ネタはある。
アメリカ(かヨーロッパ)では、若い女性が暗い家の中で、火のついたろうそくを鏡に近づけると、背後に将来の夫の顔を見えるという話があった。
(上の絵では、女性の横に未来のダンナさまが映っている。)
しかし、もし鏡にドクロ(か死神)が映ると、結婚する前に女性が死ぬことを示しているという。

「メアリー」という女性の名前の由来については、イングランドの「血まみれのメアリー」が候補の一人にいる。

日本にも、このアメリカの都市伝説とソックリな話があるのだけど、それは何か分かるだろうか?

英語版ウィキペディアの説明を見ると、「ブラッディ・メアリー」とよく似た話として、日本の「トイレの花子さん」が紹介されている。

The modern legend of Hanako-san in Japan strongly parallels the Bloody Mary mythology.

Bloody Mary (folklore)

 

誰もいないはずの学校のトイレで、扉を3回ノックして、「花子さん、いらっしゃいますか?」と聞くと、個室から「はい…」と返事が返ってくる。
扉を開けると、赤いスカートの女の子「花子さん」がいて、トイレに引きずり込まれて恐ろしいことが起こる。

アメリカの「ブラッディ・メアリー」では、名前を呼んで鏡にメアリーを召喚するという設定だ。
日本の「トイレの花子さん」の場合、花子さんは呼び出されたのか、もともとトイレにいたのかは分からない。
でも、「いないはずの人が存在する」という現象は人間にとって根源的な恐怖だから、そんな都市伝説はいろんな国にあるのでは?

 

 

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日本とソ連の「食人飢餓の地獄」天明の飢饉とホロドモール

アイルランドの基本情報と日本との関係(日の丸・怪談・銀座)

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。