5年ほど前、日本に住んでいたバングラデシュ人と話をしていて、母国との違いについて尋ねると、
「日本ではコンビニで買い物をすると、レジで無料でビニール袋をくれること。あの袋はいろいろと便利だよね。」
と意外なことを言う。
*日本で言うレジ袋やビニール袋を英語では「プラスチック・バッグ」という。外国人に「ビニール・バッグ」と言っても通じない。
ヨーロッパの国では環境保護の動きが進んでいて、レジ袋を有料にしたり、禁止にした国もある。が、そのころの日本の店ではまだ無料で提供されていた。
正直、バングラデシュ人が日本人よりも環境に対する意識が高く、日本より先に有料化を採用していたというのは想像外。
しかも、話を聞くと、バングラデシュは2002年に世界で初めて、国としてレジ袋を禁止したという。
まさか、バングラデシュがヨーロッパよりも進んだ環境保護の先進国だったとは! 勝手な偏見を持っていて申し訳ない。
そんな感想を話すと、
「いえいえ、逆ですよ。バングラデシュ人は環境や人命への意識が低いからですよ」
と彼は笑って否定した。
どゆこと?
インドを流れる大河、ガンジス川の終着地はバングラデシュにあって、そこから海に到達する。最も下流に位置しているから、水量も多くなる。
ほかにも国内には、ブラマプトラ川という大きな川が流れていて、さらにそれらの支流もあり、バングラデシュは大量の水が流れ込む地形になっている。
また、バングラデシュでは6月〜9月に雨が集中的に降るため、この時期は洪水が発生しやすくなる。
バングラデシュは人口密度の高い国で、人口1000万人以上の国で見ると、この国が世界ナンバーワンだ(954人/km²)。
2位は韓国 (472人/km)で3位はオラ ンダ (388人/km)、そして4位は日本(340人/km²)となる。(日本統計地図)
バングラデシュ社会は発展が遅れているから、大きな洪水が起こると大量の犠牲者が出てしまう。1970年にサイクロンが発生した際には、最大で50万人が亡くなったとされている。
バングラデシュでビニール袋が使われていた時、人びとはそれをポイポイ捨てていた。そんな状態で洪水が発生すると、大量のビニール袋が排水管をふさいでしまい、水が流れなくなって多くの人が犠牲になったことから、2002年に政府はビニール袋の使用を禁止した。
それは世界で初めてのことだったと、英BBCの記事に書いてある。(14 September 2013)
In 2002, Bangladesh became the first country in the world to ban thinner plastic bags
Plastic bag backlash gains momentum
市民のモラルに期待できなかったから、政府がビニール袋を「強制バン」するしかなかった。
そしたら、結果的に「世界初」の名誉をゲットした。
話を聞くと、とてもバングラデシュらしい展開だった。
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