【お疲れ様】台湾人と英国人が、“丁寧すぎる日本人”に違和感

 

日本の飲食店で働く人たちにとって最悪の敵、それがカスハラ客。
最近、アメリカの小さなカフェで、女性の店員(オーナーかも)がカスハラにぶっ飛んだ反撃をしてニュースになった。

コーヒーと水を注文した男性客がドライブスルーで、「値段が高すぎる!」と抗議したところ、女性店員から、こちらに非はないと一蹴された。すると客は怒り狂い、水とコーヒーをカウンターのガラス窓にぶちまけ、カップを投げつけた。それに対し、店員はハンマーをつかみ、客の車のフロントガラスを叩き割った。

その映像がこちら。

この後、男性が、ではなくて、女性が暴行容疑で男性を警察に告訴した。

 

「お客様は神様です」の日本では、こんな対応はありえない。
まぁ、アメリカでもこれが日常風景ではないけれど。
外国人が日本へ来ると、店員の対応が丁寧すぎて違和感を感じることがある。
今回はそんな事例を二つ紹介しよう。

 

最近、台湾のメディアが日本人と台湾人の文化や価値観の違いについて報じた。

ある台湾人の女性が日本の服屋で気に入った服を見つけ、それを試着室へ持っていって着てみた。
そこまでは台湾でもある。
でも、試着室を出る時に店員から、「ご試着、お疲れさまでした」と言われたから、女性はビックリしてしまった。店員はそう言うように教育されているかもしれないが、客にそこまでへりくだる必要があるとは思えない。だから、その台湾人は心が痛み、この言葉はちょっと受け入れられないと感じた。

台湾のメディアがこの一件を報じると、ネット上では「試着して疲れるか?」「これは日本流の礼儀だ」「いや、何着も着ると疲れる」といった議論が巻き起こったという。

台湾と日本はすぐ近くにあり、お互いに漢字を使っていて、1945年まで日本が統治していたこともあって文化的に共通する部分も多い。
ボクが台湾人と交流してきた経験から言わせてもらうと、感覚的にも日本人と近く、「義理と人情」が通じる。大きな違いは丁寧さや礼儀正しさで、これを指摘する台湾人はよくいる。
台湾の人たちはわりと大ざっぱだから、試着した客に対して店員が言葉をかけなくても、きっと誰も気にしない。
しかし、おもてなし国・日本では、客を“無視”することは失礼になるから、「お疲れさまでした」が必要になる。

 

日本に住んでいた知人のイギリス人女性も、日本人のそのひと言に強烈な違和感を感じた。
彼女はマッサージが好きで、誕生日や何か良いことがあると、自分へのご褒美として市内にあるタイ式マッサージの店へ行っていた。
そこにいる日本人のマッサージ師のテクは、控えめに言って極上。
施術が終わると体がよみがえった感覚を感じて、そのイギリス人は完全に満足していたが、一つだけ、いつまでたっても慣れないことがあった。

それは、マッサージが終わった後に、「お疲れさまでした」と言われること。
彼女からすると、「疲れを取るためにここに来て、実際あなたのおかげでリラックスできたから、そのセリフはおかしい。むしろ、それは私があなに言うべき言葉では?」という気がして、この言葉を言われるといつも違和感を感じた。

イギリスのマッサージ店なら、こういう場合、どんな言葉をかけるのか?
それを聞くと、特に決まったセリフは無く、その人の「キャラ」にまかせられているらしい。
だから、「はい、終わり〜」と簡単に言う人もいれば、「気持ち良かった?」と笑顔で聞く人もいる。
彼女的には、「あなたのここの筋肉が硬かったから、こんなストレッチをするといいですよ」とアドバイスをしてくれるマッサージ師が好き。
日本で体験したマッサージ店では、どこも同じで最後に「お疲れさまでした」と言われる。そう言われても、イギリス人の彼女の感覚では、場に合っているとは思えないし、正直うれしいとも感じない。(これはボクも少し引っかかる。)

 

日本人にとって「お疲れさま」は、「こんにちは」「じゃあね」「ありがと」といったあいさつと同じで、あまり深い意味はない。
しかし、ここに出てきた台湾人と英国人は日本の文化をよく知らなかったから、これを誤解した。もし、「お疲れさま」をそのまま「Thank you for your hard work」の意味だと受け取れば、まったく状況に合ってなく、違和感を感じるのは当然。
言葉は理解できても、“空気”が読めなかったから、過剰に反応したと思われる。

 

 

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2 件のコメント

  • 接客業経験のある自分としては
    お客さんと言葉の壁があったら気まずい間を埋めるために
    尚更「お疲れ様でした」使ってしまうと思います
    たしかに直訳したら可笑しいですね

  • わかります。
    たぶん海外の店なら店員が無言でいるところが、日本人には耐えられなくて、何か言わないと思ってしまうと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。