ほんじつ7月7日は七夕の日。
短冊に願いごとを書いて、笹竹に結び付けるこのイベントの由来は中国にある。
『たなばたさま』の歌詞にある「五色の短冊」の5つの色とは、青、赤、黄、白、黒のことで、これは古代中国の陰陽五行説の考え方にもとづいている。
短冊を笹竹に吊るす理由については、笹には強い生命力があり、神事や魔除けに使われたといった説もあるが、個人的には、笹竹は神が宿る依り代ではないかと思う。
以前、日本に住む中国人と話をしていて、七夕の違いについて聞いてみた。
彼の話によると、中国で七夕は恋人どうしが愛を深めるロマンティックな日で、感覚としてはバレンタインデーに近い。
子どもが願いごとをするというのは、日本で魔改造された七夕だ。
それに、中国の七夕は旧暦でおこなわれるから(2024年8月10日)、日本とは1か月ほどの時差がある。
彼は七夕の話を切り上げて、
「7月7日といえば、中国と日本にとって、七夕よりももっと重要なことがあります。何かわかりますか?」
と聞いてきた。
もちろんボクは知っているけれど、それを言う名誉は彼に譲ることにした。
すると、彼は「7月7日はですね、1937年に盧溝橋事件が起きた日なんです」と言う。
そんなことは初耳で、この答えは予想していなかったからビックリした。
盧溝橋は北京市の南西部にある。
この日、現地にいた日本軍が夜間演習をしていると、何者かに実弾を撃ち込まれた。さらに、1人の兵士が行方不明になったため、日本軍はこれを中国軍のしわざと考え、戦闘がはじまった。
盧溝橋事件は日中戦争のはじまりとされているから、中国人は7月7日には敏感で「反日感情」が高まりやすくなる。
2021年に、ソニーが中国で7月7日に商品発表会を行うと予告すると、「無神経すぎる!」といった批判が殺到した。
中国の日本大使館のホームページには、新しく中国に来た日本人にむけて「安全の手引き」が公開されていて、そこにはこんなワンポイントアドバイスがある。
「7月7日は盧溝橋事件、9月18日は柳条湖事件(満州事変)が起きた日等、中国では日本との関係で歴史問題に焦点が当たりやすい(関係各地で記念の行事が行われる)日があることにも注意をしてください。」
知人の中国人は、
「だから、中国にいる日本人は7月7日に外を歩けないんですよ、ってことはないですね。街中で大声で日本語を話すといった目立つことを避けて、普通に行動していたら問題はありませんよ」
と言う。
中国人と付き合いのある日本人なら、7月7日は七夕だけじゃなく、中国人にとってはとても重要な意味をもつ日ということを知っておいた方がいい。
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