【日中戦争の原因】日本はどうして中国を“侵略”したのか?

 

最近、中国のポータルサイト・百度に「日本はかつて、どうして中国を侵略したのか」という記事が載ったらしい。
*ここでは中国人視点で「侵略」と表現する。

Record Chinaの記事(2020年9月11日)

日本はなぜ中国を侵略したのか、自国の資源が乏しいからだけだったのか―中国メディア

この記事によると、日本は唐の文化を最も完全な形で残している国で、古代から近代に入る前までは中国に崇拝や憧れの気持ちを持っていた。
たしかに日本に対してこんなイメージを持つ中国人は多い。

 

そんな日本が近代になると明治維新の成功で近代国家となり、帝国主義陣営の道を進み始めると状況が変化した。

でも、弱い国は強い国に侵略されて植民地になる「弱肉強食」の帝国主義のルールを定めたのは当時の欧米列強で、日本もそれにしたがうしかなかった。
当時はそういう国際社会だったから。
21世紀の常識をそのまま19世紀に当てはめて理解するのは誤解のもとで、いまでは植民地支配なんて超絶NGだけど、このときはこれが正しかったのだ。

さて、さらなる経済発展を目指していた日本には、「資源が乏しい」という致命的な弱点があった。
だから、海外から資源を手に入れようと考える人がでてくるのは必然で、これが中国を「侵略」した理由となったと百度は指摘。

日本にとって中国は豊かな資源と膨大な労働力、広大な土地を持つ天国のような場所であり、中国大陸への進出を目指すようになったとしている。

 

ここで百度が言う「侵略」とは日中戦争(1937年~1945年)のことで、この記事は他にも、当時の日本が世界恐慌の影響を受けて不景気だったこと、軍国主義勢力の台頭によって軍部が政治を動かすようになったことにも触れている。

では日中戦争の原因を日本人はどう考えているか、ネットの声を見てみよう。

・日本は人口増えて移民させたり戦争して領土増やすしか対策なかったんだよ(^_^;)
・日本国内に失業者が多かったからでは?
・まあ天狗に乗ってたとこもあるだろな
・目先のことしか見れない国民だから
・満洲まではわかるが、そっからなんで中国との全面戦争になっちまったかなー
とは思うわ

 

日本が日中戦争に突入した原因はいろいろあるけど、中国の豊かな資源がほしかったことや軍国主義の台頭があったことは間違いない。
その他にも、「満洲まではわかるが、そっからなんで中国との全面戦争になっちまったかなー」の主要な原因に「陸軍の暴走」がある。

日中戦争のきっかけとなった満州事変は、国民・海軍・政府(近衛内閣)・昭和天皇を無視して陸軍(関東軍)が独断でおこない、日本全体を戦争に巻き込まんだという見方がある。

この時代に生きて、旧日本軍兵士(陸軍)だった評論家の山本七平氏がそのときの日本のようすをこう書く。

言うまでもないことだが日華事変の発端そのものそのものは、海軍も、国民同様につんぼさじきにおかれていた。
従って海軍は、陸軍の中国における〝 苦闘〟を、おおむね、一般国民よりも冷たい目で眺めていた。

「日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条  山本 七平 (角川oneテーマ21) 」

*日華事変は日中戦争のこと。
「つんぼさじき」とは、関係者であるにもかかわらず情報を知らされないこと。「つんぼさじき」の表現はいまでは差別語だからNG。

 

 

何の相談もなく中国との戦争をはじめた陸軍に、海軍は激怒して深く嫌悪していたから、中国軍の攻撃を受けて苦しむ陸軍を「ざまあみろ」という思いで見ていたという。
この陸軍と海軍の対立は、太平洋戦争の敗戦原因のひとつといわれる。
でも日中・太平洋戦争では一応の協力関係は築いていたから、陸軍と海軍を「仲の悪い夫婦」と呼ぶ兵士もいたという。
これは、昼間はケンカばかりしていても、子作りだけはしっかりやるという意味だとか。

日中・太平洋戦争の大きな原因が陸軍の暴走だったことから、「あの戦争は陸軍がすべて悪い」といった主張が一時期主流になった。
でも最近はその主張の修正が図られているので、興味のある人はここをどうぞ。

歴史研究や理解の進んだ現在においては、陸軍の再評価ならびに海軍善玉論の見直しがされている

陸軍悪玉論

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。