帰化選手多すぎ オランダの350年にわたるインドネシア支配

 

サッカー・ワールドカップのアジア最終予選で、初戦の中国を7−0で粉砕した日本。
無双状態のわれらが代表は今朝、これまでアウェーで一度も勝ったことのないサウジアラビアを2−0で撃破した。
これによって、日本はC組で、勝ち点9(得失点+14)でぶっちぎりの1位になったから、天変地異でも起こらないかぎり、W杯への出場は決まった。日本が強すぎて、むかしの「ハラハラ感」が無くなってしまい、試合に興味を持つ人が少なくなりそうでハラハラする。

C組の2位以下の順位はこんな感じ。

2位:オーストラリアが勝ち点4(得失点+14)
3位:サウジアラビアは勝ち点4(得失点−1)
4位:バーレーンは勝ち点4(得失点−4)
5位:インドネシアは勝ち点3(得失点0)
6位:中国は勝ち点0(同−10)

このうち上位2国は無条件でワールドカップへの出場が決まり、3位と4位はプレーオフに回るが、5位以下だとそのチャンスすらない。つまり、中国の不参加は確定的だ。
アジアの出場枠が4.5から8.5に不自然なほど増えたのは、経済力のある中国をなんとか参加させるためだったのでは?

 

この原因には中国の不振とインドネシアの飛躍がある。
FIFAランキングやこれまでの実績から「格下」と思われていたが、今回の最終予選ではまだ一度も負けがない(すべて引き分け)。バーレーンとの試合は、後半アディショナルタイムに失点しなければ2−1で勝っていた。

アジアのサッカー界で、インドネシアが昇竜拳のように急成長した大きな理由に「帰化」がある。
今回招集されたインドネシア代表のメンバー27名のうち、13人が強豪オランダから帰化した選手だったから、インドネシア代表を「オランダ代表の2軍」と表現するメディアもあった。といっても、彼らは普段はヨーロッパに住んでいて、ヨーロッパで試合をしている人たちだろう。
これは国としてみれば「脱亜入欧」で、選手からしたら「脱欧入亜」だ。
選手たちが魅力を感じた要因には、きっとインドネシアの経済成長がある。

これに日本のネット民の感想は?

・なぜインドネシア?
・インドネシアの公用語ってオランダ語?
甲子園で青森代表なのに関西弁をしゃべってる様なデジャヴ
・これでインドネシアの国内サポーターは喜んでいるのか?
・侍ジャパンで言えばヌートバーが13人いるってこと?
・ラグビー日本代表の悪口はやめろ!
・野球のオランダ代表がキュラソー出身者だらけなのと似ているなw

インドネシアとオランダのつながりは長くて深い。
サッカーオランダ代表でレジェンドとなった選手、ファン・ペルシーさんは祖母がインドネシア人で、「アジアの血」を持っている。

 

ここはオランダの植民地時代の牢獄で、インドネシアの人たちはこの鉄球を足に付けられていたらしい。

 

16世紀の後半にオランダが東南アジアの海域へやってくる。
彼らは現在のジャカルタに拠点を築き、そこをバタヴィアと呼ぶようになる。
この名前は、古代のオランダにいたバターウィー族に由来するという。
1795年から1806年、オランダには「バタヴィア共和国」が存在していた。当時、オランダ人の愛国者派は、自分たちはオランダ人ではなくバターフェン(バタヴィア人)と名乗っていて、それにちなんで国名を付けた。

オランダのインドネシア支配は17世紀はじめのバタヴィアから始まる。
その後、第二次世界大戦時に日本軍によって一時的に駆逐され、最終的には独立戦争でインドネシアに負けるまでの1949年まで続いた。(オランダ領東インド
そんな歴史から、インドネシアでは350年間、オランダに支配されたと考える人が多い。
国名のインドネシアはギリシャ語の「インドス(インド)」と「ネソス(島々)」という単語から成り、「インドの島々(東インドの島々)」を意味する。これはオランダ植民地時代にできたとされる。

インドネシア人にオランダ支配について聞くと、この時代に現在の産業の土台がつくられたというポジティブな評価をしつつも、基本的にはやはり暗黒時代だったと言う人が多い。
しかし、今回インドネシアのサッカー史で、初めてワールドカップに出場したとなったら、国民は喜びを爆発させることは必至。歓喜にわいて社会が混乱し、交通事故などで数人の死者が出る予感がする。
その奇跡が実現したら、植民地時代の見方が変わるかもしれない。

 

 

東南アジアを知りましょ! 「目次」 ②

【鬼畜かよ】オランダのインドネシア支配 → 日本が“解放”

【ペタと独立戦争】インドネシアのために戦い、散った日本人

旅といえば「東南アジア」。その意味は?インドシナとは?

日本とインドネシアの関係①歴史教科書からみた日本「解放と独立」

タイ語のサワディーの意味と由来とは?ヒンドゥー教の卍から

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。