あすは決戦の日。
第50回衆議院選挙が行われるまであと24時間を切ったから、いま日本中で候補者たちがラストスパートをかけている。
選挙活動になると、ネット上に大量の「即席庶民」が登場する。
候補者は選挙活動の途中、タスキをかけた姿で「コンビニでお弁当を買って食べました」、「きょうのお昼は(有名チェーン店の)牛丼です」、「美味しいラーメンをいただきました」といった報告をSNSで熱心にする。
いつもは高級料亭で食事をしていても(たぶん)、いまはそれを我慢して、一般人と同じ地平に立つ。「欲しがりません勝つまでは」の精神がまだあるのだ。しかし、ネットの反応を見ると、この「庶民アピール」にあざとさを感じ、批判する人はとても多い。
庶民派アピールはアメリカでもある。大統領選挙を来月にひかえ、先日、共和党のトランプ氏がマクドナルドで仕事をして、フライドポテトを揚げる場面を公開した。
これはこれで、日本と同じ理由で叩かれたけど。
イギリスには「All is fair in love and war」ということわざがある。
恋と戦争では手段を選ばない、つまり、恋と戦いで勝つには何でもあり、といった意味。
選挙に勝つためにも、いつもと違うステージに立った姿をネットでアピールし、殺到する批判には「あざとくて何が悪いの?」と受け流すタフな精神が必要だ。
さて、そのイギリスが植民地支配をしていたころ、インドで初めて本格的な選挙が行われた。(1920 Indian general election)
現在、インドは約10億人の有権者をもつ世界最大の民主主義国家で、そこで実施される総選挙は「世界最大の民主主義の祭典」と呼ばれている。
友人のインド人(20代・女性)は3年前にやって来て、いまは静岡県の会社で不満を言いながら働いている。
彼女が以前、街でごく平凡な選挙ポスターを見かけたとき、それが何なのか理解できなかったという。
彼女がインドにいた時に見た政治家は、金のネックレスやブレスレット、指輪などを付けていてゴージャスな外見をしていた。
でも、日本の選挙ポスターにいる候補者は一般人と変わらないスーツを着ていて、飾りモノもなく、政治家の「オーラ」がまったく感じられない。
インドは世界最大の民主主義国だから、地方によって常識や感覚は違うけれど、彼女からすると、日本の選挙ポスターには「普通の人」が並んでいるだけだから、説明されないと意味や目的がまったくわからない。
このへんは日本とインドの価値観や文化の違いによる。
「庶民」を強調して、有権者に共感や親しみやすさを感じさせないと、日本では選挙戦で勝つことはできないのだ。選挙ポスターで、キラキラした飾りは日本人の感性では受け入れられない。やはり、SNSにアップするのはコンビニ弁当や牛丼がいい。
しかし、例外もある。
自民党の小泉進次郎氏は選挙期間中に、新幹線のグリーン車でデパ地下の弁当を食べる動画をSNSに投稿した。「庶民」をアピールすることなく、普段と変わらない様子を見せたから、ネットでは好感の声が上がった。
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