これまで何度か日本を旅行して、今年の夏に九州の温泉地に行った韓国人の男性がSNSでこんな報告をしていた。
「한국과 일본의 문화 차이들 중에서도 이것 만큼 큰 것이 없겠다는 생각이 들었습니다…」
(韓国と日本の文化の違いの中でも、これほど大きな違いはないと思いました……)
過去最大級のカルチャーショックを受けた理由は、彼が温泉に入ってリラックスしていると、突然女性が視界に入ってきたからだ。
女性の従業員がシャンプーやリンスを見て、減っていたら継ぎ足している。真っ裸の男たちが集団でいるゾーンに、女性が一人で入ってきて何気なく仕事をしているのに、周囲の日本人は何も気にしていない。
彼はそんな日本の日常風景を見て、これほど大きな韓日間の文化の違いはないと感じたらしい。
この投稿に共感する韓国人は多かった。
・私も同じ経験をしました。堂々と歩いていたら、突然の清掃のおばさんが現れたので、パニックになりました。
・私の場合は、人として扱われていない気がしましたね。
・日本は昔、混浴が多かったそうです。その名残で、今でも男女はお互いに気にしないのではないでしょうか。
・ガラス瓶の牛乳を飲みましたか? あれはとてもおいしい。
・女湯はどうなんですかね。
・韓国でも80年代の前半は、銭湯の男湯で女性スタッフが掃除をしていたと思います。
女湯はどうかって? 女湯に男性の従業員が入ってきたら、犯罪行為になってきっと訴えられる。
数年前、日本に5年以上住んでいるアメリカ人男性と話をしていて、日本でビックリしたことを聞いたら、彼もこの韓国人と同じことを言っていた。
観光地で温泉に入っていたり、ジムのお風呂で体を洗ったりしていると、いきなり女性が登場した。初めて見た時は、「何がどうなってこうなった?」と理解不能になって、心臓がバクバクしたという。
そんな経験をしたアメリカ人男性はほかにもいる。
彼がファミレスやファストフード店のトイレで“小さい方”をしていると、突然ドアが開いて女性スタッフが顔を出し、目が合うと「すみません」と言ってすぐにドアを閉めた。
彼はア然としたが、向こうは向こうで、身長190センチの白人を見て目を丸くしていた。彼にとってこれは無礼な行為で、恥ずかしさよりも屈辱や怒りを感じたという。
アメリカではどうなっているのか?
知人に尋ねると、州によって法律が違うという前提で、自分の出身地のニューヨークでそんな場所に女性が入ってきたという話は聞いたことがないし、おそらく法的には「性差別」になるからダメだろうと言う。
しかし、ここは日本。それを禁止したら店も人手不足で困るし、女性も仕事を失ってしまうかもしれない。そもそも、女性スタッフも見たくないものを見せられて、もっと困っている可能性がある。
「郷に入っては郷に従え」で、それが日本の習慣や文化なら仕方ない。ただ、彼の希望としては、掃除などで男性ゾーンに侵入してくるときは、時間を決めてそれを分かりやすいところに表示してほしいらしい。
それぐらいなら、できそうなものだけど。
欧米とは文化が違うから、彼らが日本のこの慣習に戸惑うことは理解できた。でも、韓国にも裸で銭湯に入る文化があるから、勝手に同じ事情だと思い込んでいたから、韓国人がこれを「韓日で最大の文化の違い」と感じるというのは意外だった。
10年以上前、ボクがソウルでチムジルバンを利用したとき、男女が違う部屋で汗をかいた後、男女が共有スペースでリラックスするのは分かるとして、仮眠室まで男女が一緒だったのは驚いた。知らない女性のいびきを聞くというのはかなり衝撃的。
*この辺の事情は当時も店によって違っていたし、今のチムジルバンはどうなっているのかは知らない。
この件は、日本人男性のあいだでも賛否が分かれている。
若い層では女性の従業員が入ってくることを嫌う人が多く、年齢が上がると気にしない人が増えてくる。
ある銭湯がそんな苦情を聞いて、男湯は男性従業員だけが掃除をすることにしたら、「女性の方がもっと丁寧に掃除をしてくれるから、今まで通り女性の従業員にしてほしい」と言われたという。
こういう人もいれば、「性差別」と怒る人もいる。今は過渡期で、あと少ししたら韓国やアメリカのようになって、「昔は男性のゾーンには女性従業員が〜」という思い出話になる予感。
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これって、性差別と言うより、職業差別じゃないですかね? つまり女性清掃スタッフは「単なる清掃員」であって、銭湯やトイレを使用する側の男性とは立場が違うのだ、と。
自分の親がそのような考え方を口にしていたので、そう感じます。
視点によっては職業差別にもなりますね。
そう言えば、江戸時代には湯女(ゆな)や三助(さんすけ)と呼ばれる職業が、一般の銭湯にありましたね。このうち湯女についてはどうしても売春業と結びつきやすかったので、江戸幕府から度々禁止令が出ています。
一方の三助の方ですが、こちらはなんと昭和初期まで存在して、男湯・女湯を問わず、銭湯客の背中を洗ったり流したりして働いていたとのこと。当時は女湯の女性も、三助(男性従業員)が近くに入ってきてサービスすることをさほど抵抗なく受け入れていたようです。
幕末・明治の記録を見ると、日本では男女が同じお風呂に入っていて、外国人が驚いています。
いまでもその名残があるのかもしれませんが、いずれ消えるでしょうね。