むかし、中学生の家庭教師のをしていたことがある。
そのときに、ボクのインド旅行の話をしたことあった。
「それでさ、インドのカースト制度ってのは、まだインドに残っているわけよ」
ボクの言葉をきいた中学生はキョトンとした顔をしている。
それで、口をひらいてこう言う。
「カースト制度ってなんですか?」
は?
カースト制度っていったら、インドのヒンドゥー教にある4つの身分制度に決まってんじゃん。
上から「バラモン(僧)・クシャトリヤ(王、貴族)・ヴァイシャ(商人)・シュードラ(奴隷)」の4つの身分があるというもの。
むかし、学校でこんなふうに習った人は多いと思う。
そんな説明をしたところ、その中学生は「カースト制度という言葉は聞いてないし、教科書にものってませんよ」と怪訝(けげん)な顔をする。
「ちょ、教科書を見せてみろ!」と教科書のページをめくっても、「カースト」がのっていない。
そうではなくて、「ヴァルナ」とかいてある。
「え?今では『カースト』って言葉はなくなって、『ヴァルナ』になったの?」
このとき初めてそのことを知って衝撃をうけた。
そんな、歴史の教科書からカーストがなくなるなんて・・・。
「インドはCCBの国で覚えろ」と、中学生のときに教わったのに・・・。
ちなみに、「インドのCCB」とは「カレー・カースト・仏教」のこと。
「カレー・ヴァルナ・仏教」の「CVB」だとゴロが悪いからやだなあ。
このときそんなことを思った。
インドのアジャンターにある壁画
この壁画は奈良の法隆寺の金堂壁画や中国の敦煌莫(とんこう)の壁画ともに、アジアの仏教絵画を代表する作品といわれている。
このアジャンターの壁画が、法隆寺金堂の仏教絵画のモデルになったという説もある。
今では、アプリもウィンドウズもアップデートすることがあたり前の時代。
でもコンピューターだけではなくて、「歴史のアップデート」をすることだってとても大切だ。
古い知識のままだと、「カースト?なんすかそれ?」となってこれからの日本人との話がかみ合わなくなるかもしれない。
今の中学生がつかっている歴史の教科書では、「いいくに(1192年)つくろう鎌倉時代」ではない。
「鎖国」という言葉もなくなりつつある。
「士農工商」はなくなった。
これらの言葉のアップデートは大丈夫ですか?
もうすぐ、「聖徳太子」もなくなるかもしれない。
今度の学習指導要領から、聖徳太子が消えてしまったという。
産経新聞(2017.2.27)にそのことが書いてある。
現行指導要領で「聖徳太子」だが、改定案では小学校で「聖徳太子(厩戸王)」、中学で「厩戸王(聖徳太子)」とされた。
聖徳太子は死後につけられた呼称で、近年の歴史学で厩戸王の表記が一般的だから、というのが見直しの理由とされる。
ここに書いてあるように、前からこのことは言われていた。
「『聖徳太子』は、この人物死んだ後につけられた名前だから、適切ではない。だから『厩戸王 (うまやどのおう)』のほうがいいだろう」
という考えは前からあった。
でも多くの歴史教科書では、「厩戸王」といっしょに「聖徳太子」も書いてあったと思う。
でもこれからは、そんな併記ではなくて聖徳太子が消えてしまうらしい。
産経新聞も聖徳太子の「削除」には反対の立場だ。
しかし、国民に親しまれ、浸透している名は聖徳太子である。厩戸王は、学年の理解度により、併せて教えればいい。
賛成。
むかしから慣れ親しんでいる聖徳太子が、日本人のなかから消えてしまうのは個人的にはけっこうショック。
本当に聖徳太子がなくなってしまうのかはまだ分からないけど、「聖徳太子」とだけで覚えている人は、「厩戸王(=聖徳太子)」にアップレートをしておこう。
今この記事を書いていると、パソコンに「うまやどのおう」と打ちこんでも「厩度の王」とワケのわからない漢字に変換されてしまう。
パソコンもアップデートが必要だ。
中学の教科書からインドの「カースト」と「士農工商」が消えてた。
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