韓国の3・1独立運動とは。朴大統領の日本への言葉「千年恨」

 

今日、3月1日は韓国にとって「聖なる日」。

その理由は1919年のこの日、日本が統治していた朝鮮半島で「三・一(独立)運動」が起こったからで、いってみたら韓国の「誕生日」だ。

まずは辞書的な意味でこの「三・一運動」を確認しよう。

三・一運動

1919年3月1日から始った日本統治下における朝鮮の全民族的な反日独立運動。「独立万歳」を叫んで決起した

「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」

 

韓国人にとっては、日本に対する独立運動がおきた3月1日は、特別だいじな日。
この日は、国の祝日として指定されている。

先ほどこの日が「韓国の『誕生日』のようなもの」と書いたのは、韓国の憲法にこんな言葉があるから。

悠久の歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統及び

大韓民国憲法

韓国人は、この日を「韓国が建立された日」と考えている。
国の誕生日とかいても間違いではないだろう。
韓国が誕生したのは、1919年か1948年かでもめていたし。

 

韓国の人たちは、この「3・1運動」をどうみているのか?

それを知るなら、韓国人が韓国人のために書いたものを読むことがいい。
韓国の歴史教科書の記述から、それをさぐることが手っ取り早い。

中学生の歴史教科書にはこう書いてある。

3・1運動直後、国内で民族運動に新たに火がついたように、国外でも民族運動が大いにおこった。満州や沿海州で、上海やアメリカの各地で韓人たちは万歳デモ運動を展開し、独立をなし遂げる新しい闘争を誓った。

また、より多くの闘争をしようと国境を越えた人々がここに集まり、国外の独立運動が大いにおこった。3.1運動が民族をあげて展開された

「躍動する感の歴史 明石書店」

 

韓国では3.1運動を独立運動のはじまりとしている。
ただ単に「独立運動がおきた」と、点としては考えていない。

「3.1運動からその後の民族運動がはじまった」とし、線(独立運動)の起点としてとらえている。
こういう視点は、本当に韓国人のものだ。

 

北朝鮮との国境のちかく

 

毎年3月1日には、韓国で「三・一独立運動」の記念式典がひらかれている。

この式典は、日本の支配に反対する運動がはじまったことを記念するもの。
だからここでの大統領の演説では、韓国の日本への見方がしめされることになる。

2013年の3月1日の韓国大統領の演説では、「日本を千年恨む(千年恨)」という衝撃的な言葉がうまれた。
このときの記念式典で、朴槿恵(パククネ)大統領はこう言っている。

「(日本と韓国の)加害者と被害者という歴史的立場は、1000年の歴史が流れても変わることはない」

韓国の大統領がおこなった演説のなかでは、ここ数年でもっともインパクトがある言葉だろう。

朴大統領のこの言葉が韓国人の琴線に触れた。

琴線(きんせん)に触(ふ)・れる

《琴線は、物事に感動しやすい心を琴の糸にたとえたもの》良いものや、素晴らしいものに触れて感銘を受けること。「心の―・れる」

デジタル大辞泉の解説

 

このあと韓国では、この演説から生まれた「千年恨」という言葉がブームとなる。

その後、韓国内では「千年恨」という言葉がブームとなり、韓国・北朝鮮連合軍による対馬「奪還」作戦を描いた小説『千年恨、対馬』がベストセラーとなった

(ウィキペディア)

さらに、「千年恨」は2013年の韓国の流行語大賞にもなった。
まあ、「日本死ね」よりはいいかな?

 

 

「千年恨」という言葉は、韓国で大流行した。

でも日本人にしてみたら、「は?」という感じの人が多かったと思う。
JBpressでは、「千年恨の韓国とは、もう付き合っていられない」とさじを投げている。

われわれの回答は1つしかないだろう。「じゃ、1000年待っています。それまでお好きにどうぞ」

「千年恨」に付き合ってはいられない

「では、千年後に会いましょう」
「千年でいいんですか?延長してもいいですよ」

ネットにはそんな書き込みが多くあった。

さて、今年の「3・1節」の式典では、韓国からどんな言葉が飛び出すのだろう?

 

 

今年は、韓国の大統領代行がこんな演説をした。

朝鮮日報の記事(2017/03/01)から。

日本政府に「歴史の直視を」=韓国大統領代行

「両国の未来志向のパートナー関係の出発点で必要条件は、正しい歴史認識と未来世代の教育」として、「政府は確固たる原則を持ち、歴史問題に断固として対応する」と強調した。

また、「日本政府も歴史をありのまま直視し、未来世代の教育と過去の過ちを反省することに一貫して取り組まなければならない」と述べた。

この演説の言葉を見て、「おだやかな表現の演説だなあ」と思った。

「正しい歴史認識と未来世代の教育」
「歴史をありのまま直視」
「過去の過ちを反省すること」

こんな言葉だったら、韓国はふだんから言っている。
3月1日という特別な日に、日本に向けて発した言葉としては強いインパクトを与えるものではない。

千年恨はもう出しちゃったし、そろそろこれ言葉がなくなってきたか?
それか現在の日韓関係を考えたら、「今は日本を怒らせてはいけない」と配慮したのか?

とにかく静かな3月1日になりそう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。