浜松市には外国人がたくさん住んでいる。
それが浜松の特徴(とくちょう)で、市は「浜松市多文化共生都市ビジョン」をつくって全国にアピールしている。
そんな浜松で、イスラーム教徒との共生が全国的な話題になった。
浜松にすむイスラーム教徒が講演をおこなって、ムスリム(イスラーム教徒)が浜松市で生活するむずかしさについて話をした。
それには、たとえばこんなことがある。
「イスラーム教徒でも食べられるように、ハラールに対応した学校給食があるといい」
イスラーム教徒は豚肉を食べることができない。だから豚骨ラーメンもダメ!
彼らが食べられるものは「ハラールフード」とよばれている。
そんな背景があって、このイスラーム教徒のスピーチが多くの人の関心をあつめた。
静岡新聞の記事(2017/2/7)。
学校生活、給食など苦慮 ムスリムの子に「理解を」
「イスラーム教徒が食べても大丈夫ですよ~」ということを知らせるハラールのマーク。
浜松市のスーパーには、イスラーム教徒のためコーナーがあるところもある。
これは今の浜松でのこと。
でも、いずれは日本のいろんな市町村でもおこること。
これから日本にくる外国人の数は、増えることはあっても減ることはまず考えられない。
今の日本の状況からみて、その要素がみられないから。
外国人は価値観や文化など、いろいろな点で日本人とのちがいがある。
外国人が日本で生活するとなったら、困難があるのはあたり前。
それを日本人にうったえることはまったく問題はない。
そうした外国人の声を日本人の市民に届けることは大切なことだ。
そうすれば日本人の住民も、外国人についての理解が深まる。
スーパーにあるハラールマークの意味や大切さもわかるようになる。
それに外国人がかかえている問題を知ることで、自分たちにどんな協力ができるのかもわかる。
でも日本で住むうえで大切なことは、だれもが日本の価値観やルールを守るということ。
外国人が感じている日本の社会や日本人への不満を伝えることはいい。
でも最終的には日本の学校や市が決めたルールを守らないと、外国人との共生なんてとてもできない。
日本人の価値観より自分たちの不満を優先していたら、日本人の反感をつくってしまう。
日本のルールを外国人である自分たちのルールに変えてしまおうとしたら、多文化共生はムリだろう。
外国人が「反外国人」の空気をつくることにもなりかねない。
日本にあるルールを自分たちのルールに変えようとするなら、日本人の理解や協力をえながらゆっくり進めていけばいい。
あせったり強引に変えようとしたりすれば、日本人の反感をかって逆効果になるだけだから。
イエメンの空港
イスラーム教徒がお祈りをするための場所がつくられている。
愛知のセントレア空港にもあった。
最近、産経新聞にこんな記事があった。
オランダ総選挙、「寛容の国」を包む静かな緊張 極右候補ウィルダース氏に根強い支持
このウィルダースというオランダの政治家は、「移民や難民はオランダから出て行け!」と主張している排外主義者として知られている。
さらにウィルダース氏は、「反イスラーム」の考えかたをしていて、イスラーム教がきらい。
今月の3月15日に、オランダで総選挙がおこなわれる。
「この反イスラームで排外主義者ウィルダースがどこまで国民の支持を集めるか?」
この選挙結果に、今世界中が注目している。
アメリカのウォールストリートジャーナルでもは、「オランダ総選挙、欧州極右に吉と出るか 3月の選挙で欧州各国の先導役になる可能性も」という特集をくんでいるほど。
これからの日本では、たくさんの外国人労働者が働くようになることはまずまちがいない。
その意味でも、この選挙結果には関心をはらってもいいと思う。
オランダ人は、イスラーム教徒をふくめて国内にいる外国人についてどんな判断をくだすのか?
オランダの選挙結果に、アメリカやヨーロッパの国はどんな反応をしめすのか?
ボクとしては、外国人との共生は基本的にいいと思っている。
インドネシア人のイスラーム教徒の友人がいて、イスラーム教徒について教えてもらうこともある。
彼はゴミの分別をしっかり守っているし、仏像には手をあわせる。
「外国人として、日本の文化や価値観を尊重することはあたり前ですから」という考えかたをもっている。
ヒンドゥー教徒のインド人の友人も、ゴミの分別やそれを出す日をはじめ、日本の社会のルールはしっかり守っている。
「日本の考え方やルールがイヤなら、母国に帰ればいい」とハッキリ言う。
インド人が住んでいるアパートにあるヒンディー語の注意書き。
日本での生活で、気をつけないといけないことが書いてあるらしい。
友人のインド人は、ボクよりゴミの出し方にくわしい。
友人の外国人には、「日本の価値観より、自分たちの価値観を優先する」という態度はまったくない。
そんな外国人なら大歓迎。
この記事のはじめにかいたイスラーム教徒についても、「学校給食にもハラールを!」と主張することはいいと思う。
でも最終的には、日本の価値観やルールを守ってもらわないと困る。
そうでないと、日本の社会のルールにしたがって生活している他の外国人までも一緒にされてしまうかもしれない。
いきすぎた自由や権利の主張は多文化共生社会を破壊してしまう。
こんな記事もどうぞ。
移民毎年20万人受け入れ? 多文化共生社会を考えましょ「目次」
オランダの特徴は自由と寛容!同姓婚・大麻・売春・安楽死に木靴
英国の現地人の間でも移民に対する意見が二手に分かれています。こちらでは移民に寛容になり過ぎた故、テロを始めとした問題が絶えません。移民反対の人は、移民1人1人が悪いといっているのでなく、そういった暴力にもう耐えられないと訴えているのです。実際、宗教、人種には共生し得るものとし得ないものがあります。
ハラール肉は生産コストが低いため、大手スーパーもハラール肉であるとラベル表示せずに売り出しています。非イスラム教徒の了解を得ずにです。「寛容」という言葉にとらわれず、ハラールが実際どのような方法なのか知り、それが日本が今まで築いてきた倫理的価値観に合うものなのか、判断すべきです。また、当たり前と思われがちな国の平和は、ごく簡単に、ものすごいペースで崩れていきます。日本にはヨーロッパの後を踏んでほしくないものです。
示唆に富むコメントをありがとうございます。
友人のイギリス人は、移民でもイギリス社会に溶けこんで市民として生活している人は問題視していません。
移民を受け入れすぎて、犯罪や失業者が増えたことを不安視していました。
受け入れの適正人数はあるでしょうね。
日本は少子高齢化で外国人労働者が必要なのは間違いありませんが、受け入れは慎重にしないと、ヨーロッパと同じ失敗になってしまいますね。