慰安婦問題について日韓が合意したことで、良くなりつつあった日韓関係がまた悪くなった。
その決定的な原因は、韓国が釜山の慰安婦像の設置をみとめてしまったこと。
日本はこれに抗議して、駐韓大使を日本に帰国させた。
韓国ではこのとき、「10日ほどで大使は韓国に戻ってくるだろう」と楽観視していた。
でも、もう2か月になる。
この甘い見通しも、ケンチャナヨ(何となかる)精神によるものかもしれない。
「慰安婦像がある釜山の区長に日本が接触した」
3月9日に韓国のSBSがそんな報道をしている。
日本政府の関係者が区長に会って、「慰安婦像を動かしてほしい」と伝えたらしい。
慰安婦像の設置は、日韓合意の精神に反している。
韓国の国内法に反した「違法の像」でもある。
日韓関係をこれ以上悪くしないためにも、日本が像の撤去を韓国側に要求してもおかしくはない。
この日本の要求に対する区長の言葉から、韓国がどんな国なのかよく見えてくる。
「情」、これが韓国人を理解するキーワード。
チョコパイの名称までも「情」。
日本の関係者が慰安婦像の移転を区長に要請したとき、区長はこう言っている。
Record chinaの記事(2017年3月9日)にそのことがかいてある。
日本が釜山・慰安婦像の地元区庁長と極秘に面会、移転に圧力=韓国ネット「まずは謝罪から」「まるで韓国が加害者のよう」
これに対し、朴区庁長は「(慰安婦像の移転、撤去は)韓国と日本の妥協が必要な事案だ。
元慰安婦が生きており、(日本の謝罪を要求する)時代の流れがあるため、区庁に(慰安婦像の設置を)止める力や権限はない。法律はあるが、市民団体や世論のため簡単にはいかない」と述べたという。
「法律はあるが、市民団体や世論のため簡単にはいかない」
この言葉は、韓国という国の特徴をよくしめしている。
法律はたしかにある。
けれど、それにもとづいて行動したら、韓国の市民から怒られる。
だから、区ではそれができない。
韓国ではこんなふうに、法よりも国民感情が優先されることがよくある。
国民情緒(反発や怒り)が、国内の法よりも上位にある。
法的に問題がなくても国民の強い反対があった場合、韓国ではその法を無効にすることができる。
現実的に、法の効力をなくしてしまうことができる。
法と国民情緒がぶつかったら、法が負けてしまう。
区長の言葉から、そんな韓国らしさがみえてくる。
とくに反日感情にもとづく行為に対しては、法は本当に無力だ。
慰安婦像は韓国の国内法に違反し、ウィーン条約にも抵触している。
違法の造形物であっても、政府もこれに手をふれることができない。
国民情緒という最強のモンスターに守られているから。
韓国では、事実上、国民情緒が「法外の法」になっている。
それを国民情緒法という。
中央日報の記事(2005年08月12日)で、国民情緒法についてかいてある。
最近、韓国でこの罪刑法定主義を否定する「国民情緒法」という妙な論理が登場した。
国民情緒に合うという条件さえ満たせば、実定法に拘束されない不文律となっている。憲法上にも君臨する。
釜山の日本総領事館前にある慰安婦像を見ると、この「国民情緒法」がよくわかる。
国民情緒によって認められたこの像は、韓国の政府や憲法よりも上に位置していて、「神聖にして不可侵」になっている。
だから区長も釜山市も韓国政府も、この国民情緒というモンスターにはさからうことができない。
慰安婦像が違法のまま存在している背景には、この国民情緒法がある。
この国民情緒法は、日本にとってもやっかいだ。
韓国政府よりも韓国の国民情緒が上にあるから、日本政府は韓国政府と約束しても、国民情緒がそれを許さなかったら結局は認められない。
慰安婦問題については、2015年に両国政府のあいだで決着している。
でも今になって、「やっぱりあれはおかしい。やり直しだ。破棄するべきだ」なんてことを大統領選挙の候補たちが平気で言っている。
大統領候補者では、国民情緒というモンスターに勝つことは絶対にできない。
でも、日本までが韓国の反日感情(国民情緒)に負けてはこまる。
「日本がそんなことをしたら、韓国人を怒らせてしまう」と、日本までも国民情緒というモンスターにおびえてはいけない。
韓国に過剰に配慮して行動をひかえていたら、反日感情はもっとエスカレートする。
「日本には、韓国の国民情緒法は通用しない」ということを、強い態度を見せることが大切。
結局、それが日韓の友好につながるから。
今の日本で、「早く駐韓大使を韓国に戻すべきだ」という主張がでている。
でも、まだそれは早い。
韓国政府は、まだ釜山の慰安婦像を動かしていない。
具体的な行動をしていない。
韓国に誠意ある行動がない以上、大使を戻すべきではない。
韓国が何もしなくても日本が駐韓大使を戻してしまったら、韓国はそれを学習するおそれがある。
「なんだかんだいって、日本は最後には折れる」
韓国がこんな考えを持ってしまって、良いことはない。
日本まで、韓国の国民情緒というモンスターに負けてはいけない。
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