カリブ人から見た日本「自転車が盗まれないってウソだろ?」

 

前に、アニメの「るろうに剣心」が好きになって日本に来たというトリニダード・トバゴ人のことを書いた。
まあ彼女の場合、団子を食べに来たようなもんだけど。

外国人が「るろうに剣心」にはまり、日本に団子を食べに来る時代

 

このトリニダード・トバゴ人は、日本に4年間いた。
今回は、彼女とジャマイカ人から見た日本について書いていこうと思う。

トリニダード・トバゴ人もジャマイカ人も、同じく「カリブ人(カリビアン)」になる。

カリブ人(カリビアン)とは?

南アメリカのカリブ海沿岸部および小アンティル諸島に分布し,カリブ語族に属する言語を話す人々の総称。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

トリニダード・トバゴというのは、ベネズエラの右上にある小さな島国のこと。

この地図の島国がカリビアン・カントリーになる。

 

ブラジル上にあるのがベネズエラ。

 

そのトリニダード・トバゴ人は自転車を持っていなかった。

浜松市に住んでいる外国人には、自転車を持っている人が多い。

当ったり前のことだけど、自転車があったほうがだんぜん便利。
値段だって高くはない。
彼女は休みになると新幹線でTDLや広島に行っているぐらいだから、「自転車は高くて買えない」ということはないはず。

じゃ、なんで自転車を買わないのか?
理由を聞いたら、「私は自転車に乗ることができないから」という。

 

この答えは予想してなかった。
彼女はトリニダード・トバゴにいたころから、自転車には乗っていなかったという。

「だってトリニダード・トバゴで自転車を買っても、すぐに盗まれるから。だから今まで、自転車を買ったことないし乗ったこともないの」

27年の人生のなかで、一度も自転車に乗ったことがない。
浜松で生活しているボクからしたら、なんか信じられない思いがする。

トリニダード・トバゴで彼女が住んでいたところでは、自転車がなくても生活できたらしい。
だから自転車に乗る必要性もなかったとか。

 

カンボジアではレンタル自転車が日本の中古だったりする。
「〇〇高校」なんてステッカーがあることもあった。

 

日本人のボクからしたら、「生まれてから今まで自転車に乗ったことがない」ということが信じられない気がしたけど、彼女からしたら日本が「信じられない」になる。

「自転車なんて買っても、きっとすぐに盗まれる」というトリニダード・トバゴから日本に来ると、治安の良さが考えられないという。

これは彼女の意見だけど、トリニダード・トバゴ人は物を盗んでも「悪い」とは思わずに、「ラッキー」と思うらしい。
トリニダード・トバゴだけはなくて、外国では「盗まれた側も悪い」とか「盗られた人に責任がある」という考えが強いと思う。

 

彼女の日本の印象は、「とにかく物が盗まれない」ということが強い。
スポーツジムに行くと、忘れ物コーナーにアディダスやナイキのジャージやスニーカーが置いてある。
そのまま置いてあるから、盗もうとすれば簡単に盗むことができる。

「アディダスやナイキをあんなふうに置いといて、なんで誰も盗らないの?それもありえない」

これを同じことをバングラデシュ人からも聞いたことがある。

「バングラデシュ人から見たら、あれは忘れ物じゃないですよ。『宝物』ですよ」

そんなふうに言って笑っていた。

これは弥生時代からの日本の「伝統」かもしれない。
魏志倭人伝にはこう書いてある。

「盗みをする者もすくなく、訴えごとも少ない」

 

タイ(バンコク)でも自転車に乗る人は少ない。

「タイは暑いですから」と友人のタイ人は言う。
でも、タイに住んでいる日本人の意見はちがう。
「あれはね。タイ人は自転車に乗るのがカッコ悪いと思っているからですよ」ということらしい。
どっちが正しいかは分からない。

 

トリニダード・トバゴ人と同じカリブ人のジャマイカ人も、同じようなことを話していた。

そのジャマイカ人も日本で英語を教えていた。
毎朝彼は、自宅のアパートから駅まで自転車で行く。
そして駅に自転車を置いて、電車に乗って勤務先に向かう。

ジャマイカ人は、日本でそんなふうに通勤していた。

一年ぶりに彼がジャマイカに帰ったとき、まわりの人にその話をしても信じる人はだれもいなかったという。

「うそだろ?毎日自転車を駅に置いていて、1年間も盗まれないって。そんなワケないだろ?」

こんな反応ばっかりで、彼が言っていることが本当だとは誰も思わなかったらしい。日本のことを話した彼は、オオカミ少年になってしまった。

「それは仕方ないよ。ボクもジャマイカしか知らなかったから、『そんな国が地球上にあるのか?』って思っただろうし」

と彼は肩をすくめる。

「こんなことは、日本では当たり前のことなんだ。一年間、駅に自転車を置いていいても、本当に盗まれなかったんだよ」

彼の熱意(?)で、だんだんとまわりのジャマイカ人も彼の話を信じ始めたらしい。

トリニダード・トバゴ人にしろジャマイカ人にしろ、カリブ人にとっては、「毎日、自転車を駅に置いても盗られない」という日本は奇跡のように見えるらしい。

 

北海道の右上にジャマイカがある。
トリニダード・トバゴ人はこのあたりの国をまとめて、「カリビアン・カントリー」と言っていた。

 

ちなみに、1492年にアメリカ大陸を「発見した」コロンブスは、キューバを日本だと思っていた。

コロンブスの航海記を読むと、彼は自分の到達した地がインド(現在のインドではなく、その東に広がる大陸全体で、シナなども含んでいた)の一部であると信じ、さらに探検したクーバ島(キューバ)がマルコ=ポーロの伝えるジパング(つまり日本)であると考えていたことが判る。

西インド諸島

おまけ

日本のアニメは南米でも人気らしく、コロンビアにはメイド喫茶があって、店内には所せましと日本のアニメキャラが飾られている。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。