今回も「インドってどんな国だ?」ということについて書いていきたい。
日本とインドを比べた場合、インドが特徴はその多様性にある。
インドにはいろいろな民族・文化・言語・宗教がなどがある。
今までにインドの言葉と文化(サリー)について書いてきた。
インドでは国内旅行でも言葉が通じないことがある。
民族衣装であるサリーがインド全土に広がった理由はカースト制度にあった。
そんなことを紹介した。
今回のテーマはインドの宗教。
インドにある宗教について、その割合や特徴など基礎的なことを書いていきたい。
まずは下の動画を見てほしい。
これはインドにあるヒンドゥー教の寺院。
ヒンドゥー教ではゾウを神格化する考えがある。
このゾウも人びとに幸運をあたえてくれると信じられている。
下のゾウはガネーシャというヒンドゥー教の神様。
日本に住んでいるインド人からお土産としてこのガネーシャ像をもらった。
「ガネーシャはいろいろなグッドラックをもたらすから」ということらしい。
お土産に「神様の像」という発想がインド人らしい。
今までにアメリカ人・イギリス人・タイ人・台湾人などからいろいろなお土産をもらったことがあるけど、お土産に神像というのはインド人だけ。
ちなみに、ガネーシャ神は日本とも縁がある。
仏教の守護神である「歓喜天(かんぎてん)」とはガネーシャのこと。
また、ヒンドゥー教の聖職者がアニメ「ドラゴンボール超」に抗議するという騒ぎが起きたこともある。
ドラゴンボール超に出てくるゾウの破壊神が「ガネーシャ神に似ている!」ということで、この聖職者が激怒してしまった。
くわしくはこの記事を↓
日本・インド・東南アジアで人気のガネーシャ。ヒンドゥー教の誕生神話
これはシヴァ神
日本では大黒様になっている。
前回と重なってしまうど、インドの大きさと人口を確認しておきたい。
インドは日本の約8.7倍の面積がある。
そしてこの広大なインドには、日本の人口のほぼ10倍、約13億もの人たちが暮らしている。
ボクがインド旅行に行く前は「インド=ヒンドゥー教の国」というイメージが強かったけど、実際にはそうではなかった。
インドにはいろいろ宗教がある。
外務省のインド基礎データを見ると、その割合が分かる。
ヒンドゥー教徒79.8%、イスラム教徒14.2%、キリスト教徒2.3%、シク教徒1.7%、 仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.4%
(2011年国勢調査)
このうち、インドで生まれた宗教はヒンドゥー教、シク教、仏教とジャイナ教の4つ。
インド人がはじめた宗教ということで、これら4つの宗教には輪廻やカルマといった考え方が共通している。
キリスト教とイスラーム教は外国からインドにもたらされた。
そのせいで、ヒンドゥー教徒のインド人からこんなことを言われたことがある。
「仏教徒の君の方がイスラーム教徒のインド人よりいいよ。仏教はインドで生まれた宗教だから、ヒンドゥー教徒と仏教徒は兄弟なんだよ」
ジャイナ教徒には、服を着ないではだかのままでいる信者もいる。
これがジャイナ教の像。
頭にターバンを巻いているのはシク教徒。
彼を富士山に連れて行ったら、大喜びしていた。
インドでは、ひとつの大きな山を見たことがなかったらしい。
シク教徒は髪を切ってはいけないことになっている。
彼も生まれてから一度も髪を切ったことがないという。
この他にも、インドのムンバイにはパールシーと呼ばれるゾロアスター教の信者が住んでいる。
インドで有名な財閥である「タタ」の創始者はパールシーだ。
パールシー(ゾロアスター教徒)は鳥葬をおこなう。
この写真がその鳥葬をおこなう場所。
ここに死体を運んできて、鳥に死体を食べさせるという。
異教徒はこの中を見ることができないから、外から建物を見るだけになる。
先ほどの外務省のデータにはインドの仏教徒が「0.7%」と書いてあったけど、そのすべてが同じ仏教徒というわけではない。
インドの北部にはたくさんのチベット仏教徒が住んでいる。
インドの中部には、佐々井 秀嶺(ささいしゅうれい)という人がヒンドゥー教徒のインド人を仏教徒に改宗させている。
この仏教はチベット仏教とはまったく種類が違う。
ちなみにこの佐々井師は本当に特別な人。
五木寛之氏は、著書「21世紀 仏教への旅 (講談社)」でこう書いている。
インドの仏教徒たちから、菩薩のように慕われ、敬愛されている
インド仏教界の最高指導者のひとりと認められるまでになっている
インドのカーストの最下層の人びとに布教した日本の僧侶は、佐々井師以外にいないだろう。
もっと日本で有名になってもいい人だと思う。
チベット仏教徒
ヒンドゥー教もインドの地方によって考え方が違う。
この記事のはじめに紹介したけど、ヒンドゥー教では牛を神格化する考えがある。
だから「ヒンドゥー教徒は牛を食べない」と言われているのだけれど、インド南部にあるケララ州のヒンドゥー教徒は牛肉を食べる。
これを聞いたときは、「ヒンドゥー教徒がビーフカレーを食べていいのか?」とビックリしたけど、ケララ州では大丈夫らしい。
でも、まったく問題がないということでもない。
ケララ州でのヒンドゥー教徒から、「牛肉を食べたら、その日はヒンドゥー教のお寺に入ることはできないんだ」という話を聞いたことがある。
インド北部のヒンドゥー教徒とはまったく違う。
インド北部では「イスラーム教徒のヤツが牛肉を食べやがった!」とヒンドゥー教徒が怒って、そのイスラーム教を殴り殺す事件が起きている。
2015年10月22日のHuffpost Japan の記事にそのことが書いてある。
牛を殺して牛肉を食べた、として、デリー近郊の村に住むイスラム教徒男性が、怒った群集に撲殺された「牛肉殺人事件」の余波が、インド全土に広がっている。
なんでケララ州ではヒンドゥー教徒が牛肉を食べてもいいのか?
その理由をケララ州のヒンドゥー教徒に聞いてみたけど、彼らもハッキリとは分からないらしい。
ケララ州には昔から外国人がたくさん来ていて、今もキリスト教徒がたくさんいる。
「だからそうした外国の影響を受けて、ヒンドゥー教徒も牛を食べるようになったんだろう」という話を聞いた。
ガンジス河は「インド人にとっての聖地」というわけではない。
ヒンドゥー教徒にとっては聖地だけど、イスラーム教徒やキリスト教徒のインド人には関係がない。
これはガンジス河の火葬場の動画。
ふつうは火葬場の撮影はできない。
でも、「これだけ離れていれば大丈夫だ」とボートのインド人から聞いたので撮影できた。
ヒンドゥー教徒は火葬した後、ガンジス河に遺灰を流されることを願っている。
でもイスラーム教徒やキリスト教徒は、火葬ではなくて土葬が望ましいとされる。そして、パールシーは死体を鳥に食べさせる。
たぶん北部のチベット仏教徒も鳥葬を望んでいると思う。
インドでは、この世とのお別れの仕方もたくさんある。
タージマハルはイスラーム教のお墓。
ヒンドゥー教徒なら、ふつうはお墓がない。
ムガル皇帝シャー・ジャハンと妻のムムターズ・マハルが眠っている。
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