タイ、ミャンマー、カンボジア、スリランカ、インドを旅行していると、「ガネーシャ」という神様を見かけることがある。
カンボジアやミャンマーではよくわからないけど、インド、スリランカ、タイではとても人気があって、よく店の入口にガネーシャの絵がはってある。
ガネーシャとは象の姿をしたヒンドゥー教の神様のこと。
ガネーシャ
インドでは現世利益をもたらす神とされ、非常に人気がある。「富の神様」として商人などから絶大な信仰を集めている。
(ウィキペディア)
これは日本に住んでいるインド人からもらったお土産のガネーシャ像。
「ガネーシャはいろいろなグッドラックをもたらすから」と話していた。
お土産に神様の像というのはインド人らしい発想だと思う。
でもキリスト教徒やイスラーム教徒には、このプレゼントはしないだろう。
ガネーシャはだいたいこの辺の国で見られる。
ガネーシャの力は偉大で、いろいろな願いごとをかなえてくれるらしい。
仕事の成功や商売繁盛という面では、神道の「えびす様」に似ている。
「学問の神」でもあるから、その意味では「天神さま(菅原道真)」と同じ。
さらにガネーシャは、「芸術の神」でもある。
タイで芸術系の大学に行きたい人は、このガネーシャに合格祈願をすることがあるという。
*ちなみにギリシャ神話では、「muse(ミューズ)」という音楽や芸術の神がいる。
このmuseという神から、「music(音楽)」、「amusement(娯楽)」、「museum(博物館)」などの言葉がうまれた。
ガネーシャは仏教の守護神である「歓喜天」の起源にもなっている。
これは大聖院 (宮島)の歓喜天
画像:FullyFunctnlPhil
今の日本でガネーシャは、「パズドラ」のキャラクターとしてとても有名らしい。
画像を見たら、本物のガネーシャと同じように片方のキバがちゃんと折れている。
タイに行ったら、バンコク国立博物館にあるガネーシャをぜひ見てほしい。
ボクがここに行ったとき、案内してくれたガイドの話ではこのガネーシャは甘いものが好きらしく、デザートに鼻をのばしている。
「なんでタイでガネーシャは人気があるのか?」
ガイドにそんなことを聞いてみた。
するとこんなことを言う。
ガネーシャはいろいろな願いをかなえてくれる。
それにこの神の姿はタイ人の好みに合っている。
象はもともとタイ人から神聖視されていた。
それにガネーシャは人間的で可愛げがあるから、タイ人は親しみを感じるのだろう。
「ワットサマーン」というお寺に、タイでもっとも大きいガネーシャがいる。
そのガネーシャは高さ16m幅は22mあるらしい。
本場のインドでは車のお守りにもなっている。
このガネーシャはインドで生まれている。
ガネーシャの誕生神話はいくつかあるけれど、よく言われるのがこれから書く話。
ガネーシャ誕生の話としてはもっとも有名なものだ。
シヴァ神と妻のパールヴァティー
ヒンドゥー教の最高神にシヴァ神がいる。
その妻はパールヴァティーという。
パールヴァティーは、夫のシヴァのことでとても困っていた。
パールヴァティーがお風呂に入ると、シヴァがのぞきに来くるという。
「 風呂ぐらゆっくり入りたい」と思ったパールヴァティーは、シヴァがお風呂に入って来られないように門番をつくりだす。
自分の体の垢を集めて丸め、人の形をした像をつくる。
その人形に命をあたえてできたのがガネーシャになる。
そしてパールヴァティーは息子のガネーシャに、「私がお風呂に入っている間は、だれもここを通してはいけません」と命令してお風呂に入る。
そこに何も知らないシヴァがやってくる。
ガネーシャは母のパールヴァティーに言われたとおり、シヴァをそれ以上先には進ませなかった。
止められたシヴァは怒り出す。
そして相手がパールヴァティーの息子とは知らずに、シヴァはガネーシャの首を切り落としてしまった。
お風呂から出てきたパールバティーは、首のないガネーシャの体を見つけてなげきき悲しんでしまう。
話を聞いたシヴァはガネーシャを生き返らせることを決め、部下にこう命令する。
「今から外に出て、最初に見つけた生き物の首をここに持ってこい」
シヴァにそう言われた部下は外に出ると、たまたま象を見つける。
部下はその象の首を斬って、頭をシヴァに持って行く。
そして首のないガネーシャの体に象の頭をくっつけて、今のガネーシャの姿ができたという。
以上の話は「インドの神々 (ジャパンミックス)」を参考にしたもの。
ミャンマーで見つけたガネーシャ
ボクがインド人からガネーシャ誕生の話を聞いたときは、みんなこの話をしていた。
話す人によって少しの違いはあったけれど、全体としてはこれと同じ。
それにしてもかわいそうなのは、頭を斬り取られてしまった象だろう。
何の罪もないのに、いきなり首を斬られてしまう。
象にしてみたらあまりに理不尽だ。
上の話はあくまでもヒンドゥー教の神話。
歴史的には、インドの地方にあった象を神とする信仰がヒンドゥー教に取り入れられたものとされている。
彼は土俗神で,後代にシバ神話と関連づけられた新しい神であるが,古代の動物崇拝theriolatryのなごりと考えられる。
世界大百科事典 第2版の解説
ちなみに、象の神であるガネーシャの乗り物はネズミになっている。
象がネズミに乗るというあり得なさも、ヒンドゥー教らしい。
でも、「象がネズミに乗る=ガネーシャは不可能を可能にする=どんな願いもかなえてくれる」という考えもあるらしい。
こじつけに聞こえるけど。
インドでは街中で象が歩いていた。
おまけ
ヒンドゥー教の聖職者が、アニメの「ドラゴンボール超」に登場するゾウの破壊神に怒った。
神聖なガネーシャ神によく似たこのキャラがドラゴンボール超では悪者になっていて、聖職者がヒンドゥー教への冒とくと感じて抗議声明を発表し、海外メディアに取り上げられた。
まあドラゴンボールの孫悟空も起源をたどると、ヒンドゥー教の猿の神「ハヌマーン」にいきつくかもしれない。
ハヌマーンが中国に伝わって、「西遊記」に出てくる孫悟空のモデルになったといわれるから
そうなると、この話は「ハヌマーン対ガネーシャ」というヒンドゥー教の神同士の戦いになってしまう。
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