韓国の新聞はなかなか面白い。
韓国の人たちはノーベル賞を熱望しているが、毎年、期待は裏切られて「国民総がっかり」という状態になる。
その現象を中央日報のコラム(2015年10月07日)は、「秋の喪失感を刺激する定例行事」と表現してこう書く。
不幸なのか幸いなのか判別が難しいが、この国民的な剥奪感は、何日か後には基礎科学の育成に対する「瞬間的な関心」と共に消えていくのは明らかだ。毎年そうだったように。
「秋の喪失感を刺激する定例行事」とか「この国民的な剥奪感」といった表現は、日本の全国紙ではまず見られない。
韓国らしい独特な表現だ。
コラム全体から、記者のため息や韓国国民のせつなさが伝わってくる。
さてつい最近、2017年の9月に、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「グローバル市民賞」という賞を受賞した。
それはめでたいのだが、個人的にはこの賞よりも、大統領のスピーチとそれに対する韓国人の反応のほうが、「韓国人らしさ」が表れていて印象的だった。
アメリカでおこなわれた授賞式のスピーチで、文大統領は韓国の「ろうそくデモ」をこう絶賛する。
*ろうそくデモとは、朴槿恵(パククネ)前大統領を退陣に追い込んだ大規模なデモ。このデモによって文大統領が誕生する。
レコードチャイナの記事(2017年9月20日)によると、文大統領はこのデモを絶賛礼賛した。
「韓国国民は『ろうそく革命』で世界の民主主義の歴史に希望を与えた」
「最も平和的かつ美しい方法で危機にあった民主主義を救った」
「ろうそく革命は数カ月にわたって1700万人が参加した大規模な市民運動だったが、平和的・文化的に行われた」
「平和の力を示し、民主主義の危機に希望を与えた『ろうそく市民』にはノーベル平和賞を受賞する資格がある」
韓国国民にノーベル平和賞を!世界にアピールした文大統領に称賛の声
大統領の言葉に感激した国民がネットにこう書き込む。
「かっこよ過ぎる」
「感動した」
「韓国人に生まれて良かった」
「国民が誇りに思う国、国民が誇りに思う大統領」
「文大統領を最後まで応援し続ける」
あの国民的なデモでは、本当にたくさんの韓国人が直接・間接的に参加していたから、参加者を「ノーベル平和賞を受賞する資格がある」なんて大統領が言ってくれたら、韓国人としてモウはたまらない。
でも、もしこれが日本だったらどうだろう?
安倍首相がアメリカで、「日本国民は『ろうそく革命』で世界の民主主義の歴史に希望を与えた」、「日本人にはノーベル平和賞を受賞する資格がある」なんてスピーチしたとしたら?
「日本人に生まれて良かった」
「国民が誇りに思う国、国民が誇りに思う安倍首相」
なんて感激する人はきっと少なく、冷めた目で見る人のほうが多いと思う。
大統領が「市民にはノーベル平和賞を受賞する資格がある」と言うと、「韓国人に生まれて良かった」と国民が応える。
この展開はいつもの韓国っぽくて安心する。
この記事を読んだ日本人はどんな感想をもったのか?
SNSではこんなコメントが書きこまれている。
思い切り皮肉る人。
「孔子平和賞の方がまだ可能性がある」
「ノーベル賞をなんだと思ってんだw」
「モンドセレクション受賞したからミシュラン三つ星の資格があるって言ってるようなものだな」
大統領の今後を心配するやさしい人。
「また数年後に弾劾・投獄されるんだろ」
「大統領自身が、この先のろうそく集会で退任に追い込まれる」
大統領をしていた朴槿恵氏は今、刑務所にいる。
伝統的に(?)、韓国の大統領は辞めた後、ロクな目にあわない。
くわしいことはこのまとめ記事をどうぞ↓
【暗殺、投獄、死刑】悲惨すぎる韓国大統領の末路。朴槿恵も予定調和の大ピンチ
さらには日本にふれる人もいた。
「日本人には真似できない功績だな 韓国がうらやましすぎる」
「デモをやらない日本人こそ平和賞だろ」
たしかに。
平和な国にノーベル平和賞の受賞者は生まれないだろう。
さてさて、今年こそは韓国人のノーベル賞受賞者は出るのだろうか?
それとも、また「秋の喪失感を刺激する定例行事」になってしまうのだろうか?
日本人の受賞者と韓国での反応が楽しみですね。
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