外国人は日本人の麺をすする音が嫌い。でもここまでする必要が?

 

日本人はラーメンを食べるとき、ズルズルと音を立てて麺をすする。

外国人から見た「日本人あるある」の1つだ。

そんな「麺をすする音」を打ち消すフォークが日清から販売されるらしい。

ITmediaにそんな記事があった。

日清食品が、麺類をすする音をカムフラージュする機能を持つフォーク「音彦」の予約受け付けをスタートした。「ヌードルハラスメント」の解消が目的という。

日清食品、「麺をすする音」打ち消すフォーク発売へ 「ヌーハラ」対策

このフォークの考え方は「音姫」と同じ。
トイレで「しているとき」に、別の音を出すというもの。
麺をすすっているときに、このフォークから「風が吹く音に似た電子」が出て麺をすする音を消してくれる。

でもこのフォークは、まだ販売が決まったわけではない。
12月15日までに5000個の注文があったら、正式に発売される。

 

このフォークの目的は「ヌードルハラスメント」を解消するため。

日本人のズルズル音を嫌がる外国人は多い。
そんな外国人に不快な思いをさせないためにこのフォークが生まれたという。

 

個人的には「買いたい人は買ったらいい」としか思わない。
ボクは買わないし、他人にすすめもしない。

外国人が麺をすする音を嫌がることはたしか。

本にもそう書いてある。

日本人や朝鮮半島では、麺類などを音を立ててすするが、欧米人は食事のときに音を立てることをひどく嫌う

「常識の世界地図 (文春新書)」

タイ人やインド人も、音を立てて麺をすするのはNGだと言っていた。

ズルズル音が外国人を不快にさせるとしても、日本人がここまでする必要があるのかどうか?

 

「外国人には不快だ」と言っても、外国人には「日本にいる外国人」と「海外にいる外国人」がいる。
この2つは分けて考える必要がある。

以前、ベトナムを旅行している時に知り合ったスウェーデン人は、「私は日本人の近くで食事をしたくない」と話していた。

このスウェーデン人はタイのバンコクに住んでいた。

バンコクのレストラン食事をしているとき、音を立てて麺をすすっているアジア人がいた。
一緒にいたヨーロッパ人に聞いたら、「あれは日本人だ」と言われる。

彼女にとって、その音は耐えられないほど不快だったらしい。
それで、レストランの店員に頼んで別の席に変えてもらったと。

この言葉を聞いたときは、驚いたというより軽いショックだった。
「麺をすする音は、そんなにイヤなのか?」と。

 

ちょっと前のタイでは「オカマ抱きつきスリ」がよくあった。
今でもあるかもしれない。

 

でも、日本にいる外国人は違う。

今までにアメリカ人・イギリス人・カナダ人・台湾人・タイ人なんかに、このヌーハラ(ヌードルハラスメント)について聞いてみたことがある。

「ヌーハラ」について聞いたら、外国人は「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」という言葉の意味が分からなかった。
これは、「パワースポット」や「コスパ」みたいな日本人がつくった和製英語。
外国人に通じるはずがない。

カナダ人はヌーハラと聞いて、「ヌードになってハラスメントをすることかと思った」と言う。

それにアメリカ人・イギリス人・カナダ人の英語ネイティブに言わせると、麺をすする音は「ハラスメント(嫌がらせ)」ではない。

ハラスメントはもっと重大で悪質。
敵意や蔑視をもって、相手を困らせることを目的にしてた嫌がらせ行為のことだという。
相手が麺をすする音が嫌いだということを知っていて、あえて目の前で音を立てて食べていたら、それはハラスメントになるらしい。

日本人が麺をすすっていても、それは外国人に不快感をあたえるためではない。
日本に住んでいる外国人なら、それぐらいは分かる。

 

ボクが話を聞いた外国人は日本人が音を立てて食べていても、「それは日本の食べ方」と理解していた。

インド人は「ボクたちは手を使って食べるからね。それを『汚い』と思う人がいるかもしれない。でも、それは文化の違いだ」と言う。

前にアメリカ人とフィリピン人とテレビを見ていたとき、CMである俳優がお茶漬けを音を立てて豪快にすすっていた。
2人とも「問題ないし気にしない」と言う。

でも、これをアメリカやフィリピンでやると「マナー違反だ!」と親から怒られる。
日本なら問題ない。

 

話を聞いた外国人の意見をまとめるとこんな感じ。

「ヌードルハラスメント」という言葉は知らない。
そもそも、麺をすするのはハラスメントではない。
日本にいるなら、それに文句を言ってはいけない。
外国人は気にしないような小さいことを日本人が気にしていることに不思議。

 

「外国人は麺をする音を不快に感じる」ということが拡大解釈されて、ひとり歩きしているような気がする。
先ほどのプロモーション動画に出てきた外国人は、かなり大げさだと思う。
あれほどうまく日本語を話す外国人が麺をすする音で、あんなに驚くのは考えにくい。

一般論として、目の前に初めて会う外国人がいるなら、日本人も音に配慮したほうがいいだろうけど。

 

日本にいる外国人にしたら、むしろこっちのほうが嫌かもしれない。
自分は外国人だけど、音を気にしていない。
それなのに、「日本人が麺をすすって食べていることに、外国人がハラスメントだと思って嫌がっている」というイメージが日本に広がってしまう。
そのことを迷惑と思う外国人もいるだろう。

 

海外では話は変わる。
外国で麺をズルズルと音を立てて食べるのはマナー違反。
「郷に入っては郷に従え」で、外国でこれは止めたほうがいい。

日本人が外国に行っても「日本流」を押し通して、現地の人に不快な思いをさせてはいけない。
中には、テーブルを移すほど嫌がる人もいる。

 

話をはじめのフォークに戻す。
外国人に不快な思いをさせないためにこのフォークがつくられたわけだけど、この「風が吹く音に似た電子」というのは、ひょっとしたら日本人を不快にさせるかもしれない。

個人的には、ラーメン屋で「風が吹く音」を聞きたいとは思わない。

それに、このフォークは1本1万4800円もする。
これを買いたい日本人はどれだけいるだろう?

 

 

こちらの記事もいかがですか?

日本と中国のコンビニの違いとは?社会主義らしさはそのままで。

トイレで分かる!韓国と日本のインフラとサービスの違い。

日本を旅行した韓国人、韓日の「お菓子の違い」に怒ってなげく。

外国人に聞いた。なぜ日本ではカードより現金払いが多いのか?

「世界ベストツーリスト」の日本人が、外国でしてはいけないこと

 

4 件のコメント

  • 欧米人は麺をすする音を聞くと
    「鳥肌が立つらしいよ」
    と教えてくれたのは、豪州在住40年の叔父。
    食事の時に音を立ててはいけない!!のは知っているし、不快な思いをさせてしまうなら気を付けたいと思いますが・・・
    14800円も払ってまで、使いたい・・かな?っていうか、麺をすする音って結構大きな音だと思うんですよ。
    それを打ち消す音っていうと・・想像ですがうるさくて食事にならないんじゃないかと思います。
    全く関係ないんですが、韓国のドラマとかで真っ黒なジャジャ麺を食べるシーンが割とよくあるんですよ。
    私は、あのジャジャ麺の食べ方が嫌いです。理由は自分でもわかりません^^;
    長文失礼致しました。

  • コメントありがとうございます。
    基本的には「郷に入っては郷に従え」で、日本ではOKだけど、外国ではNGですね。
    日本でも配慮したほうがいいと思います。
    相手がその音を嫌いだと知っていて、わざと音を立てるのは失礼ですし。
    外国人に聞、「音がイヤならラーメン屋に行かなければ良い」と言ってましたけど。
    ジャジャ麺はボクも食べたことがあります。
    歯や口のまわりが強烈に黒くなった記憶がありますね。
    韓国人の友人は日本人が器を持って食べるのに抵抗を感じていました。
    「肉体労働者のように見える」と。
    快不快は文化によって変わりますね。

  • >相手がその音を嫌いだと知っていて、わざと音を立てるのは失礼ですし。

    日本の、少なくとも麵屋で配慮は必要はないと思います。
    そこにクレームつけるのは逆に文化に対する冒とくとしか思えないし。
    アメリカで店員にチップはおかしいってケチつけてるのと似たようなもんだし。
    サイゼのパスタとかならまた微妙ですけど。。。

    どうして日本で日本人が日本人らしく暮らしていることを批判
    されなければならないのでしょうか?
    (差別、犯罪はもちろん別ですよ。)

    リゾートかどっかに行くべきです。

  • これは個人の行動ですから、その人が好きなようにしたらいいんですよ。
    音を立てるかどうかはその人が決めることです。
    唯一の正解はありませんよ。
    「日本のラーメン屋だから豪快に麺をすすりたい」という人はそうしたらいいだけのことです。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。