10年ぐらい前のこと。
マレーシアを旅行中、サウジアラビア人の留学生と話をする機会があった。
サウジアラビア人の女性と話をしたのは、これまでの人生でその時だけ。
そのサウジアラビア人はマレーシアの印象をこう話す。
「マレーシアでは、女性がとても自由!女性はTシャツでもジーンズでも好きな服を着ることができるし、自由に外出もできる。サウジアラビアでは女性の車の運転が禁止されているから、マレーシアで女性ドライバーを見たときもビックリした」
「マレーシアでは女性が自由」ということは、「マレーシアではイスラーム教がゆるい」と言うこともできる。
サウジアラビア人から見たらそうだろう。
というのは、サウジアラビアは世界でもっともイスラーム教に厳格な国だから。
イスラーム教の教え(シャリーア)によって、国が統治されている。
マレーシアの女性はこんな感じ。
サウジアラビアの女性はこんな感じ。
サウジアラビア人の留学生が言ったように、サウジアラビアで女性は車の運転ができない。
そんな国は世界でサウジアラビアだけ。
サウジアラビアは世界で唯一、女性が自動車を運転することを法律で禁止している国である。
「ウィキペディア」
でも、これはもうすぐ過去の話になる。
去年、サウジアラビアのサルマン国王が女性に車の運転を許可する命令を出したから。
2018年6月ごろには新しい法令が出て、女性が車を運転することができるようになる。
くわしいことはBBCの記事(2017年09月27日)を見てほしい。
この決定に、アメリカ国務省は「正しい方向の偉大な一歩」と言い、国連事務総長も歓迎した。
でもこれによって、外国人ドライバーはいっせいに失業してしまうわけだけど。
イスラーム教にめちゃくちゃ厳しいサウジアラビアも、最近では変化が見られる。
サウジアラビアってこんな国。
面積:215万平方キロメートル(日本の約5.7倍)
人口:3,228万人
構成
・自国民:73%
・外国人:27%(出身別:アジア20%,アラブ6%,アフリカ1%,ヨーロッパ1%以下)
首都:リヤド
民族:アラブ人
言語:アラビア語(公用語)
宗教:イスラム教
上の数字は外務省のサウジアラビア王国(Kingdom of Saudi Arabia)基礎データから。
サウジアラビアの国旗に、イスラーム教の強い影響があらわれている。
国旗がまた独特だ。地には緑一色を配し「アッラーの他に神はなし。ムハンマドはその使徒なり」と白い文字で記したアラビア語と聖地を守るアラビアの長剣をあしらっている。
「サウジアラビア現代史 (岡倉徹志)」
サウジアラビアの国旗(ウィキペディアから)
国旗の下の剣には「聖地を守る」という意味が込められている。
サウジアラビアには、「メッカ」と「メディナ」というイスラーム教の聖地がある。
サウジアラビアの変化はまだある。
2018年1月12日は、サウジアラビアにとって画期的な日になった。
NHKがそのニュース(2018年1月13日)を報じている。
12日、西部の都市ジッダで開かれたサッカーの国内リーグの試合で、初めて女性の入場が認められました。
「女性のスタジアムでのスポーツ観戦解禁 サウジアラビア」
最近のサウジアラビアは石油安のせいで、経済がうまくいっていない。
そのことに不満を持っている国民はたくさんいる。
「女性のサッカー観戦の解禁」には、そうした国民の不満をおさえるねらいがある。
サウジアラビアではここ数年、女性にいろいろなことが解禁されている。
この勢いで、イスラーム教徒ではない外国人にも観光ビザを出して、自由に旅行させてくれたらいいんだけどね。
マレーシアの国旗。
「MERDEKA」とは「独立」の意味。
おまけ
同じイスラーム教を信仰する国でも、社会のあり方は国によって違っている。
サウジアラビアでは女性のサッカー観戦が解禁されたけど、イランでは今もダメ。
女性がスタジアムでサッカーの試合を見ることが禁止されている。
でも、「どうしても生でサッカーの試合を見たい!」というイランの女性もいる。
そうした女性8人が男装してスタジアムに入ろうとしたところ、見つかって阻止されたこともあった。
くわしいことはこの記事を見てください。
サウジアラビアの下にあるイエメンの様子。
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