昨日、忠犬ハチ公の話を書いた。
ヘレン・ケラーが忠犬ハチ公のファンだったこと。
ハチのことを知ったリチャード・ギアは「涙が止まらなかった」ということなどなど。
そんなハチは、1923年に生まれて1935年に亡くなっている。
ということで今回は、歴史雑学としてこの時代の日本を見ていこうと思う。
ちょうどこのころの日本は、絶好調から没落していく時期に重なっているのだよ。
忠犬ハチ公の像に触れるヘレン・ケラー(ウィキペディアから)
ハチが生まれた1923年(大正12)に、関東大震災が起きた。
マグニチュード7.9の巨大地震で、約10万5千人の死者・行方不明者を出す大災害となる。
手前が築地で奥が銀座。
関東大震災は「世界史的な大事件」と海外で報じられた。
画像は「NHK 映像の世紀 JAPAN」から。
この時の日本人の様子を見た、あるアメリカ人記者がこう書いている。
「このような大災害に対して、東京が秩序正しく整然としていることは実に驚くばかりです。警官はひたすら市民の救護に全力をつくしています。ほとんど警察がない状態なのに、いまわしい行動もありません」
「NHK 映像の世紀 JAPAN」から
東日本大震災のときも、海外のメディアは同じようなことを言っていた。
おせちもいいけどカレーもね。
関東大震災も大事なことなんだけど、「世界の中の日本」を見た場合、その3年前に注目しなきゃならんことがあった。
1920年に日本は国際連盟に加入した。
そして、常任理事国になる。
国連の常任理事国なんて、今の日本じゃなれませーん。
いつかはなれるかもしれないけど、今のところはその可能性が見えない。
このときの日本は「世界五大国」の1つでもあった。
*他にアメリカ・イギリス・フランス・イタリアがいる。
「国際社会での影響力」ということでいえば、今の日本よりこのときの日本の方がきっと上。
国連の常任理事国で五大国でもあった日本は、まさに絶好調。
そんな時代にハチが「ツー」、ではなくて「ワンっ」と鳴いて生まれたのだった。
飼い主が死んだことも知らずに、渋谷駅で待ち続けていたハチがこの世を去ったのは1935年のとき。
この年日本では、築地市場がオープンしたり大阪野球倶楽部(今の阪神タイガース)がつくられたりした。
わりとどうでもいい。
*関東大震災は江戸時代からあった建物を一掃したといわれる。
その後の復興計画で、今の築地市場が誕生した。
この時代の世界は大変。
1935年に、ヒトラーがヴェルサイユ条約を破棄してドイツの再軍備を宣言しやがった。
そしてはドイツはこの年に国際連盟を脱退する。
日本はその2年前、1933年に国際連盟を脱退していた。
ドイツの”先輩”にあたる。
でも、世界から孤立したことが”日本没落”の始まりになった。
国際連盟脱退
1932年10月、国際連盟理事会は13:1で満州国からの日本の撤兵を勧告。国際連盟総会も1933年2月、リットン報告書に基づく対日勧告案を42:1で採択。日本は3月に連盟脱退を通告した
「日本史用語集 (山川出版)」
ここでは「対日勧告案を42:1で採択」と書いてあるけど、もっと細かくいうと「賛成42、反対1、棄権1」になる。
反対の1は日本で、このとき唯一棄権したのがタイ。
「タイだけは、タイだけは反対しなかった!」ということで、これには日本大歓喜。
日本の歴史上、タイに一番好意をもったのはこのときだろう。
日本とタイの関係がスタートしてから、2017年で130周年になった。
この間、これ以上のことがあったとは考えられない。
日本はこのときの借りを東京条約で返した。
この演説の後、日本は国連を脱退した。
「NHK 映像の世紀」から。
国際連盟を抜けて、日本は世界から”ハブ”にされていた。
そんな時、出会ったのが皇潤ではなくて、ナチス=ドイツだった。
日本やドイツと同じく国連を脱退したイタリアと組んで、「日独伊三国同盟(1940年)」が結ばれた。
もうこの後は、学校で習いましたね。
そのまま第二次世界大戦(太平洋戦争)に突入していく。
「終わりの始まり」だ。
マメ知識的に、1935年には満洲国の皇帝溥儀(ふぎ)が来日して靖国神社を参拝している。
また、ペルシアが「イラン」になったのもこの年。
満州国で皇帝をやっていた溥儀は、中国最後の皇帝としても有名。
そんな溥儀がこの世で最後に食べたかったのは、「チキンラーメン」だったという。
あのころの日本はなあ、
ハチは1923年(大正12)に生まれて、1935年(昭和10年)に亡くなった。
この期間は、日本が国際連盟に加入(1920年)して脱退(1933年)するまでの期間とだいたい重なっている。
ハチが生きていたのは、日本が世界五大国になってそこから転落していく。
そんな時代だった。
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