台湾統治で日本がしたこと:インフラ整備・法を守る精神の定着

 

さて前回、日本の社会と台湾・香港の社会との違いについて書いたわけだ。

香港や台湾の社会では決まりやルールはあっても、けっこう”動かす”ことができる。
「それだとこちらはすごく困ります!」と相手の情に訴えると、規則は規則としても何とか状況を変えられることがけっこうあるらしい。

でも日本の社会は違って、個人的な情と社会や会社のルールはまったくのもの別で、ルール(時間も)はキッチリと守るし守らせる。

もちろんどの社会にも例外はあって、全体的な傾向としては日本の社会ではルールや決まり、台湾や香港の社会では人情が重視される。

独断と偏見で「決まりやルールを守るランキング」を決めたらこうなる。

「日本人>台湾人≒香港人>>中国人」

くわしいことはこの記事をどうぞ。

日本人 vs 台湾人・香港人。社会の違い:ルールを守るか?人情か?

 

香港人のことは知らないけど、「台湾人のルールや決まりを守る精神」ということあれば、日本人として言わせてほしいことがある。

それを台湾人に伝えたのは日本人だったのだ。

 

台湾の中学校の体育館
台湾の旗が見える。

 

日本と台湾の関係を考えたとき、「日本による台湾統治」がとても重要になる。

日本は日清戦争に勝利した後、下関条約で清から台湾を”もらった”。
それで、1895年から1945年まで台湾を統治していた。

その時代を象徴するものとして、「台湾総督府」がある。

 

台湾総督府(ウィキペディアから)
今では台湾を代表する観光名所。

ツアーなら、まず間違いなくここへ行く。
だからこの建物のことを知っておくと、台湾旅行がさらに興味深くなる。

 

日本の台湾統治について高校の日本史ではこう習う。

台湾総督府

台湾統治の官庁。1895年、台北に設置。初代台湾総督は樺山資紀。

当初は軍政をしいたが、1897年台湾総督府官制を定め、民生局後藤新平の下で統治体制を整備。隣保(隣や近所)組織を活用した警察制度、米・砂糖・樟脳・塩などの産業育成のほか、土地調査事業、同化・皇民化政策などを行った。

「日本史用語集 (山川出版)」

この時代、日本は台湾に鉄道、ダム、学校などをつくってインフラを整備をおこなった。

 

台湾の旅行サイト「台北ナビ」にも、この時代のインフラ整備について書いてある。

日本統治時代、台湾の近代化は進みました。水道の設備や、排水の設備、配電設備、はたまた九州から海底電線ケーブルまで引いたそうです。それから、台湾は気候がよくて、米の二毛作を日本が伝授したのもこの時期。日本が戦争でお米が取れなくなっても、台湾からお米を日本に輸送させたんだそう。

総統府

 

日本による統治を、台湾の人たちはどう思っているのか?

台湾の歴史教科書を見てみると、この時代の日本が台湾にもたらした”良いこと”として、インフラ整備だけではなくて精神面もあげている。

それが「遵法精神(法を守る精神)の確立」だ。

教科書にはこう書いてある。

学校や社会教育を通じて近代法治観念と知識を注入し、秩序と法律を尊重することを学ばせ、それに加えて司法は公正と正義を維持することで、社会大衆の信頼を獲得した。この影響で、民衆は分に安んじて己を守り、秩序を重んじ、規律を守るなどの習慣を養い、遵法精神を確立した。

「台湾を知る (雄山閣出版)」

このほかにも、日本が台湾に伝えた”良いこと”の例として「時間厳守の養成」と「近代衛生観念の確立」が書かれている。

 

家の前にはゴミ箱が置かれるようになった。

 

こうした日本の台湾統治で有名な言葉が後藤新平(台湾総督府民政長官)の唱えた「生物学の原則」。
日本人と台湾人では社会の習慣や制度が違う。
そこに住む生物(人間)と環境はセットで考えるべきで、いきなり環境を変えると、大きな反発を招いて混乱する。
日本の価値観を押し付けるのではなくて、まずは台湾の人や社会、自然などをよく調査して、台湾人に合ったやり方で社会を変えていくべきだと後藤は言う。

それで例えばアヘンの禁止にしても、いきなり全面禁止にはしないで、台湾人の抵抗感を減らしながら段階的におこなっていった。

 

ただし注意あれ。
この台湾の歴史教科書に「日本統治時代はとても良かった」と全体的に評価する記述はない。

この教科書を日本語に翻訳した台湾人によると、この教科書で重視されたのは「公平」と「的確」。

記述は公平にして的確であり、他の近隣諸国のように、反日政策に基づいた歴史の書き替えは見られない。

 

「記述は公平にして的確」だからこの歴史教科書では、日本統治時代の良い面だけではなくて負の面にも触れている。

例えば、台湾の先住民がおこした抗日武装蜂起の「霧社(むしゃ)事件」については、こんな説明がある。

日本の警察は親日的な原住民をそそのかして突撃させ、ふたたび多数が殺された。

 

日本による台湾統治を単純に善か悪でまとめることはできない。
感情を抜きにして、公平・的確・客観的に歴史を見ることが大事ですね。

 

日本統治時代の台湾の街
「NHK 映像の世紀」のスクリーンショット

 

おまけ

台北にある道教寺院(廟)「仰天宮」の様子

 

こちらもどうぞ。

台湾 「目次」

日本人と中国人の”法やルールを守る感覚”の違い。中国の人情社会。

台湾人がアニメを見て感じた「日本と台湾の学校との違い」とは?

中国・台湾人が尊敬する「孫中山(孫文)」は日本人名だぞっ!

 

2 件のコメント

  • 繋がり辛かったのですが人気が出てきた証拠なのかと思って半分ぐらい喜んでいました。
    私も詳しくないのでアドバイス出来ませんが今後ともよろしくお願いします。
    教科書にも載っていた霧社事件、台湾の親日ぶりに喜んでいるだけでなくこの様なものも知ることが台湾の人との友好を深める事に繋がるのだと思います。

  • 私も一瞬よろこびました。
    でも、管理画面につながらなくて大変でした。
    いまもまだそうです。

    「親日・反日」の両面を知っておいたほうがいいです。
    どちらかだけだと、その反対にであったときに失望しますから。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    アバター

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。