4人組の女性アイドルグループが初ライブをおこなった。
するとその後すぐに、事務所から解雇されてしまった。
そのグループは「かみつき!MAD-DOG」という。
事務所をクビになった理由が前代未聞で、ライブ中にカブトムシを食べたから。
アイドルといっても、メジャーなアイドルではなく、地下アイドルとして活動していたらしい。
くわしいことは「j-castニュース」の記事(2018/3/20)を見てください。
ライブでは、普段から「バッタ」や「ウシガエル」などの昆虫を捕まえて食べるというメンバーの1人が「利き虫」なる企画を実施。目隠しをして何の虫を食べているか当てるという内容で、メンバーは食用のカブトムシ(成虫)を食べ、見事言い当ててみせた。
これは別にいいと思う。
ライブ・ぱでカブトムシを食べたって。
もともと地下アイドルは、ふつうのアイドルではできない過激なことをするのが売りなんだろうし。
「かみつき!MAD-DOG」というアイドルグループのコンセプトは 「今のアイドル界に噛みつく狂犬でいよう!」というもの。
だから、ステージでカブトムシを食べただけで解雇されるのは気の毒な気がする。
まー、事務所とどんな契約を結んでいたかは知らないけれど。
パキスタンやサウジアラビアといったイスラーム教の影響の強い国で、「アイドルがライブ中にトンカツを食べたら、事務所を解雇された」というのなら理解できる。
でも、この場合はクビになるだけではすまない。
警察につかまって、下手したらむち打ち刑だ。
イスラーム教徒の場合、何を食べていいかはすでに決められている。
カブトムシなら良さそうだ。
イスラム教では、アリやハチを食べることは禁じられているが、バッタを食べることは明確に許可されており、ハディースにも預言者ムハンマドがバッタを食べ、遠征を行ったことが記されている。
中国で見たサソリのから揚げ。
これは食べれた。
それに「かみつき!MAD-DOG」のライブ・パフォーマンスは、国連の考え方に合っている。
今回はこれを言いたかった。
人口増加にともなう食糧危機を考えて、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食をすすめる報告書を発表した。
食用の昆虫を育てることは、牛や豚などの家畜よりもエサが少なくてすむ。
それに、温暖化ガスを減らすことができて環境にもやさしい。
昆虫は栄養価が高く、人類にとっては理想的な食料になると言われている。
去年、日本経済新聞はこんな記事(2017/4/22)をのせていた。
世界では少なくとも20億人が約1900種類の昆虫を食用にし、特に山間部では魚類に代わるたんぱく源となっている。(中略)昆虫食に詳しい名古屋女子大の片山直美教授(栄養学)は「昆虫は繁殖力、環境適応力に優れ、大量生産も容易。食糧として有望」と強調する。
食糧難救う? 国連が推奨
ライブでカブトムシを食べることは、どれほどの”罪”なのか?
しかも、「かみつき!MAD-DOG」が食べたのは食用のカブトムシだった。
画像を見ると、なかなかきつい。
これはたぶんムリ。
「昆虫食通販ショップ – TAKEO」で売っている。
6gで1,280円だから、かなりの高級品。
カンボジアのクモフライ
これは食べられなかった。
ここ数年、テレビや雑誌なんかで昆虫食をよく見るようになった。
アンジェリーナ・ジョリーはイギリスBBCのテレビ番組で、生放送中に、カンボジアのクモをフライにして食べていた。
“You want to share a spider?” – Angelina Jolie cooks bugs in Cambodia https://t.co/5mSi3VNErT pic.twitter.com/OZ12DjpyJD
— BBC News (World) (@BBCWorld) 2017年2月20日
カンボジア人の話では、クモはビールによく合うらしい。
クモのフライはカンボジア人にとって身近なスナックだと聞いたのだけど、CNNニュース(2017.03.25)ではちがう。
カンボジアのタランチュラの場合は事情が異なる。タランチュラは珍味とされており、大きなものは最大で1ドル(約112円)で売られている。最低日給が約6ドルの国にあっては大金だ。
これは最近、知り合いのアメリカ人が挑戦した韓国の昆虫食。
たぶんポンテギ。
カイコのサナギをゆでたり蒸したりして作るおつまみ。
「It smelled okay. They werent freshly roasted」ということで、臭いは気にならなかったらしい。
そろそろ普通の日本人も、昆虫食に挑戦するときが来ているような気がする。
なんせ昆虫食は人類を救う未来食だから。
文化人類学者のマーヴィン・ハリスは「食と文化の謎(岩波書店)」でこう書いている。
「わたしたちが昆虫を食べないのは、昆虫がきたならしく、吐き気をもよおすからではない。そうではなく、わたしたちは昆虫を食べないがゆえに、それはきたならしく、吐き気をもよおすものなのである」
問題は虫ではなくて、人間の感じ方にあるらしい。
今度、タイかカンボジアか長野県に行ったら、コオロギでも食べてみようと思う。
おまけ
カブトムシを食べて事務所を解雇されたけど、本人たちはけっこう前向きだ。
この件が無くても当たり前のように生き残りますけどね https://t.co/ujkPqrFMqM
— 抹茶らて利休@かみつき!MAD-DOG (@MacchaRateRikyu) 2018年3月19日
虫を食べるアイドルはたくさんいる。キャーキャーいいながら。しかも既製品を。しかしかみつき!MAD-DOG雨はアイドル加入前から野生の虫を採取して調理して趣味で食べてた。これはすごい。それがお前らとはちがうんだよ。 pic.twitter.com/JDFfkDFezb
— 仁平かずみ@かみつき!MAD-DOG (@nihe_kakumei) 2018年3月15日
これがその動画。
自己責任で見てください。
生放送でタランチュラを食べたアンジェリーナ・ジョリーと、何がどうちがうのか?
MAD-DOGかみつき! の動画から。
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「飢え」が変えた食文化。日本と世界(ドイツ・カンボジア)の例
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