日本語と中国語には漢字がある。
でも日中の漢字には、同じ漢字だけど意味がちがう場合がある。
たとえば「猪」。
日本語で猪はイノシシのことだけど、中国ではブタをさす。
中国語でイノシシは「野猪」と書く。
「野猪」の「野」が取れるとブタになる。
すると「野ブタ。をプロデュース」は中国語でどうなるか?
中国語で豚は猪だから、「野猪大改造」になる。
このへんのことはこの記事をどうぞ。
高校の世界史で習う唐三彩
この唐三彩がつくられていたころの中国(唐)は、日本にとって”先生”のような国だった。
唐 618~907
隋を滅ぼして李淵が建てた王朝。
(中略)都は長安。律令制・均田制・租庸調制を確立。領域を拡大して東アジアに唐文化圏を形成したが、内乱の後、朱全忠に滅ぼされた。「世界史用語集 (山川出版)」
日本が歴史上、中国の影響を一番強く受けていたのが隋唐の時代。
律令制は日本で「大宝律令」になった。
均田制は日本で「班田収授法」としておこなわれた。
租(あわ)・庸(労役または布)・調(布)の税制は日本でもあった。
この時代、日本は中国から多くのものごとを取り入れた。
でも、そのままにはしない。
日本人は中国から伝わったものを、自分たちの好みに合うように変化させていった。
起源は中国だけど、「日本化」させて別のものにする。
これが日本文化の大きな特徴。
その例には着物がある。
着物の「日本化」について、作家の陳舜臣氏がこう書いている。
日本のキモノも、中国の古制とはいうものの、そのとおりではなく、やはり日本ふうにアレンジして保存されたのだ。とくに帯などは、まったく別物になってしまっている。
「日本的 中国的 (陳舜臣)」
日本の文化は中国文化のコピーではない。
変化を加えて日本独自のものにしている。
話を「猪」に戻す。
日本語で猪はイノシシだけど、中国語ではブタになる。
文字が変わると文化も変わる。
今年2018年は戌(いぬ)年ですね。
わんわん。
干支は中国から伝わった文化なんだけど、日本の干支は中国とちょっと違う。
日本には「イノシシ年」があるけど、中国にそんな年はない。
「亥 (い)」は、中国の干支では「ブタ」になる。
だから中国にはイノシシ年はなくて、ブタ年がある。
韓国やベトナムの干支もこれと同じ。
韓国観光公社のホームページにはこんな説明がある。
韓国における十二支は鼠・牛・虎・兎・龍・蛇・馬・羊・猿・鶏・犬・豚の12匹の動物を指し、日本で猪とされている部分が豚となります。
干支で「猪年」がある国は世界で日本だけ。
西遊記に出てくる「猪八戒(ちょはっかい)」は中国ではブタの妖怪になっている。
「猪」は日本だとイノシシで中国ではブタ。
モンストの猪八戒はブタだけど、パズドラの猪八戒はイノシシになっている。
このことで、よく分からなくなっている人が多い。
ヤフー知恵袋にはそんな質問がよくある。
日本で初めて猪八戒をブタと訳したのは、1930年のころらしい。
前に中国で日本の西遊記が放送されたことがある。
でも、日本版西遊記は中国のものとまるでちがう。
「なんで三蔵法師が女になってんだ!」
「沙悟浄が河童ってどういことだ?」
こんな不満が高まって、放送は打ち切りになってしまった。
でも韓国版西遊記よりはきっとマシ。
レコードチャイナの記事(2014年7月15日)から。
三蔵法師がジープを運転し、孫悟空がヌンチャクを持って空飛ぶスケートボードに乗り、猪八戒がサングラスをかけロケット砲をかつぎ、沙悟浄がピコピコハンマーを武器にするというハチャメチャな設定。
ジープを運転・ヌンチャクを持って・サングラスをかけロケット砲をかつぎって、「ランボー」じゃねえか。
イギリスのキットカットも日本で独自の進化をとげた。
あるイギリス人が日本で抹茶キットカットを見つける。
それでSNSでこんな質問を投げかけた。
Anyone (who doesn’t know japanese) wanna guess what flavour this kitkat is?
(意訳)日本語を知らない人で、このキットカットの味を当てたい人はいる?
Either mint or green tea. Is it green tea?
Yup green tea
Omg! Amazing.
I bet they’re a taste sensation.
ミントか抹茶だろ。抹茶かな?
そう。抹茶。
オーマイガー!すげえな。
きっとセンセーションな味がするんだろうな。
外国から来たものを、日本人の感覚や好みに合わせて変えてしまうのが日本文化の特徴になっている。
でも、ときどきやり過ぎ。
日本人のボクから見ても「ひでー」と思うものがある。
「一騎当千」では三国志の豪傑・関羽雲長がセーラー服を着ている。
向かって左から関羽、張飛、劉備
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