日本とタイの「同じと違い」天皇と国王・皇室と王室

 

始めの一言

「私はこれらの優しい人々を見れば見る程、大きくなり過ぎた、気のいい、親切な、よく笑う子供達のことを思い出す。ある意味で日本人は、あたかもわが国の子供が子供じみているように、子供らしい(モース 明治時代)」

「逝きし日の面影 平凡社」

 

 

今回の内容

・日本とタイのつながりって?
・タイに興味があるなら、「ラーマ5世」を知っておこう
・ラーマ5世が尊敬される理由

 

・日本とタイのつながりって?

「日本とタイのつながり」
これを考えたときに、とても大事なことは両国ともに「君主がいる」ということ。

日本には天皇が、タイには国王がいる。
そのことは、日本のタイ王国大使館のHPでもふれられている。

タイも日本も立憲君主制がうまく機能しており、それぞれの国民に王族ならびに皇族は愛されています。日本の皇族とタイの王族は伝統的に友好的な関係にあります。

タイ日関係

 

タイ人が日本に対して親近感をもつ理由として、タイと同じく「王(天皇)がいる国だから」ということがあるという。逆にいえば、これは日本人がタイに親しみやすくなる理由にもなる。

 

でも、大きな違いがある。

タイ旅行にいったらすぐにわかるけれど、タイではいたるところで王の写真を見ることができる。

 

タイに入国する前に、さっそく王様を見かけた。
タイの空港で。

 

上の写真のように飛行機を出てすぐ目にしたり、市内の道路で大きな顔写真を見たりした。

また、タイの学校におじゃましたときは教室の黒板の上に国王の写真があった。
イオンのようなショッピングモールの入り口にも、王の写真と祭壇のようなものがあって驚いた。
その写真に向かって手を合わせて頭を下げてから、ショッピングモールに入るタイ人がいても、それは日常の光景だ。

日本ではこんなことは考えられない。

日本の街中を歩いていて、天皇陛下の写真を見かけることはないだろう。
明治時代には、学校の教室の黒板にうえに明治天皇の絵(御真影)があったけど、今ではありえない。

 

タイでは、一日になんども王や王族の写真を見る。
硬貨にも国王が描かれているしね。

「それぞれの国民に王族ならびに皇族は愛されています」というのは同じだけど、その愛し方は日本とタイとではずい分ちがう。
タイは日本より直接的だし激しい感じがする。

タイでは、「王は神と同じ」という考えがあるらしい。
でも、そう考えたほうがタイ人の行動に納得がいく。
日本人の場合は、天皇や皇室を敬愛している。
けれど、タイ人は王や王家を敬愛するとともに、神として信仰しているようにみえる。

 

タイ人はこんなふうに王を拝む。

 

・不敬罪って知ってますか?

だからタイでは王室を侮辱(ぶじょく)するようなことを言ったりしたりしてはいけない。
不敬罪(ふけいざい)として捕まることがある。
実際につかまった外国人旅行者もいる。

不敬罪

タイの刑法で「王、王妃、王位継承者、摂政」を侮辱する者は禁錮3~15年と定められている。

(朝日新聞掲載「キーワード」の解説)

 

国王を侮辱するような言葉を言ったり、王の写真に落書きしたりしたらこの不敬罪に当てはまる。
でも、それだけではない。
たとえば、フェイスブックで王を侮辱するような投稿に「いいね」をしても捕まることがある。

そのことがCNNのニュース(2015 12 17日)にある。

タイ国王と「愛犬」を侮辱、不敬罪で逮捕 禁錮37年も

(CNN) タイ軍政は16日、同国のプミポン国王(88)を侮辱するフェイスブック上のページに「いいね!」で応じ、愛犬を皮肉る投稿もした男性の工場従業員(27)をタイ2 件王室への名誉毀損(きそん)などを禁じる「不敬罪2 件」に抵触したとして逮捕、訴追したと発表した。

 

日本では、戦前までこの不敬罪はあった。
でも、今は廃止されている。
タイの社会での国王とは、明治時代の日本の天皇に近い存在だ。

タイ人なら、日本で皇室に対して失礼なことは絶対にしないだろう。
2013年に、イギリス人が皇居のお堀で泳いで現行犯逮捕されたことがあった。
こんなことをタイ人がしたら、日本人が許してもタイ人がその人間を許さない気がする。

 

「タイ人ってこんな感じの人たち」ということを説明するときに、タイ人気質とよばれる「マイペンライ(問題ない・気にしない)」という言葉がよくつかわれる。
友人のタイ人に言わせると、飲酒運転をしたり信号無視をしたりするときにこの言葉をつかうらしい。最近はバンコクでも厳しくなったらしいけど。
そんなタイでも、王室と仏教にかんしては「マイペンライ(問題ない・気にしない)」はつうじない。

 

 

歴代の国王の中で、今でもタイ人からとても尊敬されている「ラーマ5世」という王がいる。

次回、そのラーマ5世についてかきます。
タイに興味がある人なら、知っておく価値はあるよ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。