韓国初の”慰安婦の日”。文大統領・日本政府・ネットの反応は?

 

もともと韓国には、1年のなかで反日感情が高まる日があった。
それが3月1日と8月15日だ。

1919年3月1日、日本の統治下にあった朝鮮半島で独立運動(3・1運動)が起きた。
1945年8月15日、日本がアメリカに降伏したことで韓国の独立が回復した。

どちらも日本の支配に関係することだから、今でも3月1日と8月15日は、韓国で反日愛国の雰囲気が盛り上がる。

 

そして2017年にまた、韓国民の反日感情を刺激する日ができた。
それが8月14日の「慰安婦の日(日本軍慰安婦被害者をたたえる日)」。

慰安婦の日は去年11月に韓国の国会で成立し、国家記念日に指定された。

もちろんこれは、2015年に結んだ日韓合意の精神に反している。
その意味で慰安婦の日は”反日デー”でもある。

だから日本政府は反発し、菅官房長官は「極めて強い違和感を覚える」、「日韓が未来志向の関係を発展させようとする努力に水をさす」と批判した。

でも日本が「違和感を覚える」とか「努力に水をさす」と言っただけでは、韓国は変わらない。
それは絶対に。

 

こうした慰安婦像は韓国国内で100体以上ある。
2019年の慰安婦の日には、いくつになっているのか?

 

今年2018年8月14日、日本の違和感をよそに、韓国は初めて慰安婦の日を迎えた。
記念式典に参加した文大統領はスピーチで、慰安婦問題について「両国間の外交的解法で解決される問題だとは考えない」と言う。

だが待ってほしい。
2015年に、慰安婦問題の「最終的な解決」を確認したのは韓国政府だ。
3年後にはそれを公式の場で堂々と否定する。
日本人よ、これが韓流政治だ。

 

でも、そう言い出すことは知っていた。
文氏は大統領になる前から、日韓合意を否定するようなことを何度も言っていたから。

それに、今回は初めての慰安婦デーだ。

大統領として、国民の反日感情を満たす演説をしないといけない。
同時に日本との付き合いもあるから、あまり日本の反感を買ってもいけない。
韓国はいつも反日と用日の両立を目ざしている。

つまり文大統領には、「日本を不快にさせるけど、激怒させない」という演説テクニックが求められる。
それで今回、文大統領はどんなスピーチをしたのか?

 

 

今回のスピーチで印象的だったのが、文大統領は日本だけではなくて、世界に向けて発信した点だ。

朝鮮日報の記事(2018/08/15)に大統領の言葉が載っている。

「日本を含む全世界が、全ての女性に対する性暴力と人権の問題について深く反省すべき」として、このように語った。

慰安婦:文大統領「日本を含む全世界が深く反省すべき」

 

文大統領が日本に対して「真の反省」や「心からの謝罪」を求めることはよくあったけど、今回は、世界に深い反省をうながしている。
「全世界」ということは、韓国も入っているはず。

韓国大統領が慰安婦の日という”反日デー”に、こんなことを言うとは思わなかった。

しかも文大統領は今回の演説で、日韓合意については直接触れていない。

日本に対しては、「この問題が韓日間の外交紛争につながらないよう願う」と少し弱気なことを口にしている。

こんな文大統領の態度に、日本政府はどう反応したのか?

 

 

日本政府は文大統領の演説をあまり気にしていないようだ。

大統領の言葉について、外務省幹部は「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意に反する」と受け止めたうえで、「日韓合意をしっかり履行するように」と韓国に伝えている。

でもこれは、あたり前で最低限のことでしかない。
あまりに形式的で儀式的だ。

日本は怒るどころか、読売新聞の記事(2018年08月14日)によると、文大統領に一定の評価をしているという。
文大統領は日本を強く批判しなかったし、反省や謝罪を要求しなかったから。
まあ、これも韓国の打算なんだけど。

日本政府関係者は「両政府ともに関係改善を進めたいと考えており、文大統領は演説で配慮したのではないか」と指摘した。

政府「日韓合意に反する」…文氏の式典出席に

「日本に配慮した文大統領に、日本が配慮した」ということらしい。

 

慰安婦の日はヤフーのトップニュースになっていた。
かなりの日本人がこの日を知ったはず。

 

文大統領の立場はむずかしい。

「慰安婦の日」である以上、国民の反日愛国の期待に応えないといけない。
でも、言い過ぎて日本政府を怒らせてもいけない。

そのバランスを取るのがむずかしいのは分かるけど、文大統領には1ミリも同情できない。
自分が慰安婦の日を制定して、反日のハードルを上げてしまったのだから。

日本政府は韓国にやさしくても、ネットの反応は違う。
解決を確認したにもかかわらず、「両国間の外交的解法で解決される問題だとは考えない」と言う文大統領に冷たい視線を送っている。

・遺憾砲とかふざけた対応しないで厳しい対応をお願いします
・完全な合意違反だな。
・日本政府はなんらかの制裁措置とったほうがいい。
・国際間の合意を守らないのは国と認められない。
・後からこんなん言われたら、これからは何も約束できない。
・外交関係に関するウィーン条約22条2項違反の水曜集会と慰安婦像はやめろ
国際条約を守れ
・「慰安婦問題」とは何か?
慰安婦問題とは「韓国が慰安婦を性奴隷とし日本を貶めている」問題である。
・自分らで外交紛争にしておきながらその言いぐさ、つき合い止めるしかないな
・やればやるほど国同士の約束も守らない国だと宣伝して信用失うだけ。

 

相変わらず日本のネットは、韓国の約束違反に厳しい。
個人的にも、韓国は都合が良すぎると思う。
新しい反日デー(慰安婦の日)をつくって日韓合意を否定しておきながら、「この問題が韓日間の外交紛争につながらないよう願う」と言う。

火を点けて「燃えるな」と願っても、それは無理じゃないか?

 

 

いまの韓国は北朝鮮に対して、経済制裁を加える一方で関係の改善もねらっている。

そんな韓国政府の態度に、朝鮮日報の記事(2018/08/17)で北朝鮮が厳しいことを言う。

北朝鮮は16日「制裁圧迫と関係改善は両立し得ない」と主張した。韓国政府に、北朝鮮制裁の解除と南北経済協力の推進を迫ったのだ。

北朝鮮が文政権を圧迫「制裁圧迫と関係改善の両立はできない」

 

たまには日本もこれぐらいのことを言ったらどうか?
「日韓合意をしっかり履行するように」の言葉に加えて、たまには「反日と関係改善はし得ない」と韓国に迫ってもいい。

そうでないと、来年の慰安婦の日は今年よりひどいことになりそう。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。