朝日・毎日は韓国寄りだが、“レーダー照射問題”は違った

 

人と同じように、新聞にも個性(論調)がある。
知ってる人には当たり前すぎてアクビが出ると思うけど、産経・読売新聞は日本(安倍政権)にやさしくて韓国に厳しい。
反対に、朝日・毎日新聞はわりと日本に厳しく、韓国寄りの意見を載せることが多い。

たとえば、慰安婦問題の解決を確認した日韓合意。
日本はこの合意で約束したことをすべて実行したが、韓国はまだ履行していないから、河野外相はその不誠実な態度をこう非難した。

「国と国との約束だ。政権が代わっても責任を持って実施されなければならないというのが国際的かつ普遍的な原則だ」

合意を結んだのは政権ではなくて韓国という国家なのだから、約束は守ってくれないと困る。
安倍首相や菅官房長官も同じ考えで、「慰安婦合意は1ミリも動かない」と何度もくり返した。

産経・読売新聞は日本政府の態度を支持する一方、朝日新聞は社説で政府をこう批判する。(2018年1月10日)

日本側も「1ミリたりとも合意を動かす考えはない」(菅官房長官)と硬直姿勢をとるのは建設的ではない。(中略)韓国側から言われるまでもなく、合意を守るためにその範囲内でできる前向きな選択肢を考えるのは当然だ。

「慰安婦問題 合意の意義を見失うな」

 

韓国メディアも日本の態度を「硬直姿勢」とよく批判する。
しかし、国が一度約束したら、後から内容を変えてはいけないのだ。
こんな感じに、朝日・毎日新聞には韓国寄りの報道が多いが、レーダー照射問題については違った。

 

朝日新聞の社説を見てみよう。(2018年12月27日)

日韓防衛摩擦 不毛な悪循環を避けよ

これも「硬直姿勢をとるのは建設的ではない」と日本に譲歩を求める主張かと思ったら、実はそうではなくて、全体的に韓国を批判している。

はじめ韓国側はレーダーの照射を認めたけれど、あとになって「レーダーの照射はなかった」と説明を一変させた。
社説はこんな態度を「発生から時間が経つにつれて韓国側が説明を変えたのは不可解であり、混乱を深めた」と叱る。

韓国への非難は続く。
ことし10月、釜山でおこなわれた国際観艦式では、韓国側が海上自衛隊側に旭日旗を降ろすよう求めてきたことで、自衛艦は式への参加を見送った。
この出来事について、「最近の韓国軍には、理解しづらい動きが目立つ」「異例の事態が起きた」と書いている。

さらにレーダー照射問題ではこんな背景を指摘。

一連の韓国軍の動きにもし、民族主義的な感情が影を落としているのなら看過できない。

ようするに韓国の反日感情のことで、これが今回の出来事に影響をあたえた可能性を示唆している。
まず間違いなくそれはあるけれど、朝日新聞がそれを「見逃せない」と強調するのは珍しいと思う。

日韓ともに「世論のナショナリズムを高めるような言動は慎むのが賢明だ」と注文するけれど、「一方、日本の側も~」と日本をたしなめることが最後までなかった。
常識的な意味で中立公平の先生になっている。

 

毎日新聞の社説はもっと直接的に韓国を責めている。(2018年12月27日)

海自機にレーダー照射 韓国に明確な説明求める

この社説で「不可解なのは、韓国側の説明が変遷していることだ」「韓国側の説明は不自然」と朝日新聞と同じように韓国の態度を批判する。
事実よりメンツを重視するから、不可解で不自然になってしまう。

毎日新聞が注目したのは、自衛隊機が種類の違う無線で3回呼びかけたけど、韓国側は応答しなかったという点だ。
これについて、「カメラで撮影を試みるほどの距離なのに電波が微弱で聞こえなかったとの韓国側の主張も理解し難い」と一蹴する。

さらに最近、竹島の近くで韓国軍が軍事訓練をしたことを「日本を挑発するような対応」と批判し、今回の問題が起きた原因をこう指摘した。

もしも韓国艦の乗員が海自への嫌がらせをしたのだとしたら、韓国政府の軍部への統制に不安を覚える。

 

朝日新聞と同じく「もし」がついているけど、実際はこれが正解で、自衛隊機に偵察されるのが不快だったから、韓国軍の人間が自衛隊機に射撃用レーダーを照射するという「嫌がらせ」をした。
もちろんその根底には民族主義的な感情、つまり“反日感情”がある。

 

「1ミリたりとも合意を動かす考えはない」と言った日本政府を、硬直的で建設的ではないと批判し、韓国側から言われるまでもなく日本は前向きなことをやるべきだ、と書いた朝日新聞も毎日新聞も、このレーダー照射問題については韓国側を厳しく批判した。
この問題は韓国にとって相当マズイということらしい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。