ことしの正月、日本人が初詣やお雑煮に夢中になっていたとき、韓国紙・朝鮮日報でこんな記事(2019/01/01)があった。
米ニューヨーク州、3月1日を「柳寛順の日」に制定へ
このニュースを元旦に持ってくるあたりが韓国らしい。
柳寛順(ユ・グァンスン)とは韓国(朝鮮)の独立運動家だ。
柳寛順
彼女は1919年の「三・一独立運動」に参加した後、逮捕されて西大門刑務所に送られ、そこで亡くなったと言われている。
柳寛順について、韓国の小学校歴史教科書にはこう書いてある。
日本軍に連行された柳寛順も激しい暴行と拷問を受け、ソウルの西大門刑務所で若くして殉国した。
「韓国の小学校歴史教科書 (明石書店)」
ただ柳寛順については誇張された報道が多いという指摘もあって、正確なところはよく分からない。
でも、韓国では「ジャンヌダルク」と呼ばれるほどの国民的ヒロインであることはたしか。
柳寛順が参加した「三・一独立運動」は、韓国人にとって最も重要な出来事のひとつ。
これは1919年3月1日、日本統治に反対して朝鮮の人たちが起こした反日独立運動のこと。
反日・抗日の原点と言うべき日で、現代の韓国人にもその精神が受け継がれている。
大韓民国憲法の前文にもそのことが書いてある。
悠久の歴史と伝統に輝くわが大韓国民は、3・1独立運動により建設された大韓民国臨時政府の法統を継承する
日本では日本共産党が心酔しているようだ。
彼女の生きざまは、韓国・朝鮮の人たちの心を今もとらえています。
ことし2019年は三・一独立運動から100周年を迎える。
そこでニューヨーク州で「柳寛順の日」が制定される見通しだ。
ニューヨーク韓人会によれば、これは「州として3・1運動の歴史的意味に共感しているという意味」があるとか。
柳寛順と三・一独立運動は知っていたけど、アメリカで記念日を制定する理由が分からない。
彼女とニューヨーク州にはどんなつながりがあるのか?
朝鮮日報の記事で「州として3・1運動の歴史的意味に共感している」とあったから、ニューヨークで生まれ育ったアメリカ人に柳寛順を知っているか聞いてみた。
するとこんな返事がくる。
「No. who is she? I mean..what did she do?」
このニューヨーカーは柳寛順をぜんぜん知らない。
ちなみにこのアメリカ人はいま韓国に住んでいる。
韓国とニューヨークをよく知っているアメリカ人でも柳寛順は初耳だった。
こうなると、「柳寛順の日」がアメリカで制定される理由がますます分からなくなる。
このあと、別のアメリカ人にも聞いてみた。
彼はテキサス州出身で大学で歴史を学んでいる。
そのアメリカ人の返事も「それはだれだ?何をしたんだ?」。
柳寛順をまったく知らなかった。
でも彼は、アメリカで無名の柳寛順がニューヨークで記念日になることには違和感を持っていない。
アメリカは世界中の移民が集まってできた国だから、それぞれの母国の文化や歴史、価値観が尊重されている。
それがアメリカで最も重要な価値観でもある。
ニューヨーク州といえば、アメリカではカリフォルニア州と同じぐらい韓国系住民が多いところ。
だから先ほどのニューヨーク韓人会など、韓国系コミュニティーの影響力が強い。
それで「ゴリ押し」かどうかは知らないけれど、彼らの運動が成功したのだろうと言う。
反日独立運動に参加した韓国人なら、アメリカで人種や宗教的理由で反対されることはない。
「何も知らない」ということは、摩擦がないということでもある。
だから運動もスムーズにいったのだろう。
ニューヨーク州のほとんどの人が柳寛順を知らなくても、韓国系住民の価値観を尊重することはアメリカの精神にかなっている。
アメリカ本土とは何の関係もないけど、記念日が制定される背景にはこんな事情があるようだ。
でも、そういうことをすると、当然こうなる。
中央日報の記事(2019年01月09日)
日本ロビイスト、ニューヨーク州議会「柳寛順の日」制定の妨害企図
記事の中で、韓国系のキム議員がこの日の意義をこう力説している。
「柳寛順烈士の精神は韓国人の精神であり、さらにはアジア系をはじめ米国に根をおろした全世界の移民者のDNA」
「全世界の若者が柳寛順のリーダーシップを学ぶべきだ」
合っているのは「韓国人の精神」まで。
反日運動の独立運動家がなんで「全世界の移民者のDNA」になるのか。
誇張にもほどがあるゾ。
韓国人の手にかかると、ローカルスターがいきなりグローバルスターになってしまう。
ただ、この日を制定したからといって、日本を悪者にすることはないと言う。
いつもそう言うけど、やってることは違う。
これも結局は「反日の日」になるだろう。
それが分かっているから、現地の日本人などが懸念している。
フィリピンの慰安婦像は2日で撤去されたけど、「柳寛順の日」は制定されるだろう。
残念ながら、韓国系コミュニティーのパワーには勝てそうにないから。
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時事問題、歴史問題を中高生にも分かりやすく楽しく解説出来ていると思うが、一方的な考え方の羅列も見られる。この解説だけでは正しく理解出来ない。当時の治安維持法という悪法の事などきちんと説明すべき。当然今の韓国の日本をおとしめるやり方には心底怒りを覚えるが、歴史はミラーボールのように色んな側面から当てて多面的な考えを醸成するようことが特に中高生をターゲットにするなら必要。過去と同じ間違いを繰り返させない為にも。
コメントありがとうございます。
この記事のポイントは「なんでアメリカで「柳寛順の日」制定の日」が制定されたか?」です。
その背後には多様な価値観を尊重するアメリカの精神があります。
それを説明するには韓国人がを柳寛順をどう見ているかについて触れる必要があります。
韓国側の歴史教科書や議員の言葉を載せたのはそのためです。
これに日本の治安維持法にも触れると、「アメリカの精神」というポイントから離れてしまいます。
「色んな側面から当てて多面的な考えを醸成する」という趣旨には賛成ですので、今後の記事執筆にいかしていきたいと思います。