インドの言語。お札に17の文字・カースト差別で言葉も消失

 

インドという国は、デカくて多くて深い。
面積は日本の約9倍あって、人口は約13憶5千万人と世界で2番目に多い。
そして歴史を見れば、世界四大文明のひとつインド文明がある。

 

 

デカい・多い・深いという要素が複雑にからみあって、インドの多様性が生まれる。
インドにくわしい日本人はこれをインドの特徴にあげている。

インドを一言で表現する言葉としてよく使われるのが、『多様性』という言葉である。
まことにインドを表す言葉としてこれ以上の言葉はない。
人種、宗教、言語、文化、文明等、あらゆる分野で多様性という言葉が適用される

「インド人とのつきあい方 清好延」

 

多様性とは「何でもあり」「バラエティー豊富」ということで、日本はまさに反対。
日本各地を旅行したインド人が「日本ではどこに行っても同じ。人・建物・言葉が変わらない」と驚いていた。
こういう同質性の高さが日本の特徴だ。

 

インドの多様性を象徴するものに「言葉の多さ」がある。

おおざっぱに言えば、インドで使用される言語は州によってちがう。

インド国内では現在多数の言語が各地の州公用語として各州の州政府によって制定されている。

インドの言語

だからインドでは、日本でいう「国語」がないと聞いた。

 

この100ルピー札には合計17の言語がある。

表にはヒンディー語・英語。
裏には、アッサム語・ベンガル語・グジャラート語・カンナダ語・カシミール語・コンカニ語・マラヤーラム語・マラーティー語・ネパール語・オリヤー語・パンジャーブ語・サンスクリット・タミル語・テルグ語・ウルドゥー語の表記がある。

ヒンドィー語はインド唯一の公用語だけど、実際にはこれを読めないインド人も多い。

 

2013年に行われた調査によると、インドには870の言語がある一方で、過去50年間で230の言語が消失したことが分かった。
この調査をするのに4年かかったということからも、インドの大きさや複雑さが見てとれる。

そしてこれもインドらしいのだけど、長門さん、ではなくて言語が失われた理由に「カースト差別」がある。

AFPの記事(2013年9月5日)にそのことが書いてある。

これまで多くの人から犯罪者の烙印(らくいん)を押され、インドのカースト制度の下層民とされてきた遊動民族の間でも言語が喪失しているという。

インド、50年で200以上の言語が消滅 調査結果

 

使っている言語によってカーストが分かると、差別や不利益を受けることがある。
こういう理由で自分たちの言語を、自らの手で封印してしまうというのは悲しい。
言語を喪失するということは、伝統や歴史、文化も失うということだ。
…なんていうセンチメンタルな感想は、カースト差別の苦しみを知らない日本人が言っていいかどうか分からない。

多様性豊かなインドと同質性の高い日本は本当に対照的で、価値観や基準がぜんぜん違うから。

 

 

こちらの記事もいかがですか?

不思議の国インド。カンニングで40人死亡・MRIの磁力が死因に。

インドはどんな国?③宗教の基礎的な知識。割合や特徴などなど。

インド人が驚いた日本人。カースト差別と闘う佐々井秀嶺という仏教僧。

インドのダリット(不可触民)とは? 仕事や生活など。

インド 「目次」

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。