「ドラゴンが火を吐く理由」は大航海時代にあった?

 

じつは一度、本物のコモドドラゴンを見たいと思っていた。

だから中京テレビのニュース(2018/8/22)を見たときは、「おっ!」と色めき立った。

コモドドラゴン東山動植物園へ、インドネシアから借り入れ大筋合意 名古屋市

マジかよ。
ヤツが隣の愛知にやって来るのか。
じゃあ、一度会いに行かなきゃ。

コモドオオトカゲ(通称コモドドラゴン)は絶滅の危機にひんしていて、インドネシアでは「国の宝」と言われるほど貴重な生き物。
激レアすぎるから、日本で実物を見る機会はなかなかない。

このニュースにネットの反応は?

・ドコノドラゴン?
・コドモドラゴン
かーわいーい
・オトナドラゴンはナゴヤドームに行けば会えるらしい。
・まあ味噌塗ったるがね
・俺の憧れのドラゴンだわ!ちょっと名古屋行って来る。ノシ
・でかくて皮膚も固くパワフルで肉食なのにさらに毒もある中々のチート生物
・イモトと走ってたやつだろ 貴重なんか?
・ここまでdocomoがないって

コモドドラゴンは世界最大のトカゲで、成長すると体長3メートル、体重140キロにもなる。
でも動きは意外と速い。
100メートルを20秒以下で移動することができるという。
島民はこれを自分たちの祖先と思っているらしい。

 

日本初かどうかは分からないけど、コモドドラゴンは昭和17年に日本へ運ばれてきて、天皇皇后両陛下がご覧になっている。
おれをこの記事をどうぞ。

コモドオオトカゲの謎。生息地が広がらない“ほのぼの”理由

 

ところで、こんな疑問を持ったことはありませんか?

 

この質問にはテキトーなものからマジメなものまで、いろいろな答えが寄せられていた。

・噛み付いたりするだけでは、話を聞いた人の印象としてインパクトに欠けるという理由だろうと思います。
・空想上の生物だから何でもあり。
・体質です
・ガス漏れです
・生物が可能な範囲として考えられるならば、火打石のような構造は生物としては難しいと思う。

たしかにアニメやRPGのドラゴンはよく火を吐いている。
ゴジラもその延長と見ていいでしょ。

ウィキペディアにもこう書いてある。

伝説上の生物や怪獣の類は火吹きを行うとされるものが多々ある。ドラゴンはその著名な例である。

火吹き

 

炎なんてもはやあたりまえ。
最近のゲームでドラゴンは、電撃・毒ガス・音波などいろんなものを吐き出している。

ところで、この「起源」は何だろう?
ドラゴンが火を吐くイメージは、いつどうやって作られたのか?

ちょっと前に、大学で歴史を学んでいたアメリカ人からその話を聞いたから、これからそれをお伝えしましょう。
その答えは、じつはさっきの動画にあったのだ。

 

話は大航海時代にさかのぼる。
15世紀~17世紀前半の大航海時代、ヨーロッパ諸国は地球上の新しい場所を求めて航海をしていた。
インド航路を開拓したバスコ=ダ=ガマ、アメリカ大陸に到達したコロンブス、世界一周のマゼラン(彼は途中のフィリピンで亡くなる)なんかは学校で習ったはず。

このときにインドネシアでコモドオオトカゲを見つけたヨーロッパ人は驚いた。
外見は西洋人がイメージするドラゴンによく似ている。
それで「コモドドラゴン」となったのだけど。
さらにチョロチョロと舌を出す様子が火を吐いているように見えた。
そこから「ドラゴンは火を吐く」というイメージが西洋人の間でできていったという。

個人的には、ドラゴンが火を吐くイメージはもっと昔からあったと思ったのだけど、そのアメリカ人が言うには、それは大航海時代のあとからできた。
コモドオオトカゲを見て、「炎を吹くドラゴン」の像ができたという。

ただネットで探したけれど、この説が正しいと証明するものは見つからない。
だから「ソースは友人」なのだけど、「体質です」とか「ガス漏れです」よりは信頼できるはず。

 

これは1603年の銅版画(大航海時代 増田義郎 講談社)。
ヨーロッパ人が想像したニューギニア人。
当時のヨーロッパ人はこれを現実と信じていた。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。