「戦後最悪」とか「国交正常化以来、最悪」なんて言われるいまの日韓関係。
関係悪化にともなって日本ではいま、韓国への怒りが高まっている。
ためしに「断交」でググると、こんな画面が出てくるのがいまの日本だ。
ネットの世界では、「断交」という言葉と韓国はセットになっている。
もはや韓国を表す枕詞だ。
でも昨日の記事で書いたように、これはネット界での話。
なんだかんだ言って日本と韓国の結びつきは深いから、日韓断交は現実的な選択肢にはならない。
たとえば、韓国には日本企業が山のようにあって、4万人もの日本人が住んでいる。
また日本は1か月だけで、韓国を相手にした貿易で約1400億円の収入を得ている。
国交を断交させたら、こうしたことが「ゼロ」になる。
そうした場合、誰がどう対応し、責任をとるのか?
日本の有力な政治家で「韓国との国交を断絶せよ!」を訴えている人を見たことがない。
このへんについて、くわしいことは下の記事をどうぞ。
つまり、「日韓断交せよ」「いつ」「なぜしない」と言うのはネットの中での話ってこと。
でも、韓国による反日行為を許せない気持ちは、じゅ~ぶん分かる。
それに、日韓断交を叫ぶことは無意味じゃない。
実はこれが日韓関係を破滅から救うのだから。
5日前、韓国では「三・一独立運動」から100周年という記念すべき日をむかえた。
これは日本の支配に対する独立運動だったから、3月1日は毎年、反日ムードが盛り上がる。
とくに今年は100周年だったことで、日本政府内では、この日を特に警戒する見方があった。
国民に対して、韓国への不要不急の渡航をやめるよう求める「危険情報」を出すことを検討していたほど。
これは韓国側にとっても驚きだったらしく、中央日報が記事(2019年03月05日)で詳細を伝えている。
「日本政府、三一節控えて国民に韓国訪問自制要請を検討」
ただでさえ関係は最悪なのに、このうえ日本人が反日デモなんかに巻き込まれてケガでもしたら、日韓関係は臨終してしまう。
日本政府としてはそれだけは困る。
それで万が一のことを考えて、韓国の危険情報をレベル2に引き上げることを検討するよう外務省に指示を出した。
ボールを投げられた外務省は省内で検討した結果、「そこまでしなくていいでしょ」ということになって、危険情報の引き上げは見送った。
なんだからいって、外務省は韓国にやさしいのだ。アルミンにとってのアニーのようなもの。
ただ、注意をうながすための「スポット情報」は出している。
ちなみに、これが外務省の出す危険情報だ。
レベル1:十分注意してください。
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)
今回検討されたレベル2には、ミャンマーとフィリピンの一部やバングラデシュがある。
韓国側が驚くワケだ。
レベル4は内戦とかテロが頻発しているとか、そこにいると死ぬ可能性が高い国。アフガニスタンとかシリアとかがこれ。
レベル5はない。あえて言えば御坂美琴?
たくさんある黄色はレベル1。
薄い茶色がレベル2、濃いのは3。
日本政府は外務省に、韓国の危険情報を引き上げるよう指示した。
これはもちろん、政府が国民の安全を重視したから。
…だけではないようだ。
サンスポの記事(2019.3.4)
在留邦人や日本からの渡航者の安全確保だけでなく、韓国政府への「当てつけ」の側面もあったとの見方も出ている。
政府、韓国に「危険情報」一時検討…経済影響懸念し見送り
今から振り返ると、3月1日には何も起こっていない。
もちろん韓国の各地で反日パフォーマンスが行われたけど、日本人が被害を受けたというニュースはない。
終わってみれば、「レベル2は行き過ぎた措置」と判断した外務省が正しかったことになる。
個人的にも、いくら3月1日とはいえ、フィリピンやミャンマーの中でも治安の悪いところと韓国を“同じレベル”にするというのは、やり過ぎではないかと思っていた。
でも、日本政府が韓国政府への「当てつけ」としてこれを指示したのなら、この“悪意”は支持したい。
日本がいつも、“礼儀正しく真面目”でいる必要はない。
時と場合と相手によっては、これぐらいの「当てつけ」をしてもいい。
こういう方法で、日本はいま韓国に対して不信感や不快感を持っていることを伝えてもいい。
先ほど書いたように、日本と韓国は経済的な結びつきが深いし、民間人の行き来もすごく盛んだから、「日韓断交」なんてのは現実的には無理。
それに日本国民の生命と財産を守る安全保障のうえでも、韓国をとの連携を欠くことはできない。
でも、日韓関係を切ることはできないけど、韓国の反日は止まらない。
慰安婦問題にレーダー照射問題、天皇陛下への「謝罪要求」など、関係を悪化させる出来事は全て韓国側がつくり出している。
なかでも特に問題なのは徴用工訴訟だ。
つい昨日も、日本経済新聞にこんな記事(2019/3/4)がのっていた。
三菱重の資産、差し押さえ着手へ
韓国最高裁の不当な判決によって、日本企業の財産が奪われてしまう。
日本政府に「謝罪しろ!」と叫ぶような反日とは違って、これは完全に一線を越えている。
こんな事態が起きたら、日本政府は韓国にダメージをあたえる対抗措置をとらざるをえない。
そうなったら、韓国もそれに対抗する措置をとるはず。
結果、韓国への投資をやめて撤退する日本企業が出てくるだろうし、韓国へ行く人も減るだろう。
当然、その逆も起こる。
日本企業の財産が本当に差し押さえられた場合、日韓関係は「過去最悪」を超えて、表現不可能な異次元レベルに悪化するはず。
そんな破滅的状況を前にしても、韓国側の危機感はイマイチだ。
政治的には殴り合いレベルだけど、一般的にはけっこう無風。
訪韓日本人は増加していて、韓国紙の聯合ニュースは「韓日関係悪化どこ吹く風」という記事を出していた。
今日の中央日報の記事(2019年03月06日)でも、韓国の法務部関係者がこんなのん気なことを言っている。
「日本人入国者の大部分が観光客。韓日関係悪化にも韓国を旅行地として選択する日本人が減っていないと把握される」
韓日関係悪化にも韓国訪れる日本人観光客増加
この安心感がヤバイ。
韓国にある日本企業の財産が取られてしまったら、こんなことは言っていられなくなる。
…と思うのだけど、韓国側はケンチャナヨ(大丈夫)精神のせいか危機感が薄い。
たとえば、韓国政府は徴用工訴訟に対する対応をいまだに発表していない。
日韓関係の破滅を避けるためには、韓国の目を覚ますしかない。
それにはどうするか?
現実的には無理でも、「日韓断交」とネットに書くのもそのひとつ。
とにかく日本の怒りを韓国に伝えることが有効。
「遺憾の意」や「極めて遺憾の意」を言うだけでは足りない。
韓国側に危機感を感じさせるようなものでないと意味がない。
日本で韓国への怒りが高まっていることを受けて、韓国メディアも最近は、対日認識を改めるような記事も増えている。
たとえばこれは朝鮮日報の報道(2019/03/03)。
日本の与党・自民党は、韓国人の短期滞在ビザ免除協定の廃止、半導体の材料および防衛産業関連の物資輸出禁止といった案を提起した。
韓日は運命共同体、対決ではなく協力の道を模索すべき
こうした案が本当にできるかどうかは別として、「日本にはこんな声もある」ということを韓国側に伝えることは効果的だ。
ということで一般レベルでは、日韓断交を叫ぶことが、結果的に日韓関係を救うことになる。
非常事態のときには、異常な方法で対応することが有効なのだ。
おまけに書いとくと、中央日報にも最近、「あれ?」と思うような記事(2019年02月25日)がのっていた。
「韓国、日本より中国が協力国というのは古代史的観点」
30年以上韓国に住んでいて、外信記者クラブの会長だった韓国通のイギリス人ジャーナリスト、マイケル・ブリーン氏が韓国人の歴史認識について以下のような話をしている。
「理解できるが、客観的なものではない」
「韓国人は善、日本人は悪という単純なものではない、より複雑なものだ」
「記者として取材してみると金大中世代は、本人も含めて(日帝強占期に)そこまで否定的でなかった。その後の世代がそうなっている。教育のためだと考える」
ビックリするほど、全くそのとおり。
さらにブリーン氏の「韓国人がアイデンティティーを抗日または反日の枠で探すところから抜け出すべきだ」という助言には拍手しかない。
韓国社会でこういうことを言っても無事なのは、きっと外国人だけ。
でも、こんな耳の痛いことばを、韓国の主要メディアが伝えたいうのはあまり記憶にない。
やっぱり韓国国内でも、行き過ぎた反日にブレーキをかける動きが進んでいるようだ。
日本が安易に韓国側にゆずっていたら、こんな声は上がってこなかっただろう。
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