インドネシアとアメリカでは、クレヨンしんちゃんは“ポルノ”

「いまインドネシアで一番有名な日本人はだれ？」

２、３年前にそんなことを思って友人のインドネシア人に聞いてみたら、「それは仲川遥香（なかがわはるか）ですね」と彼は迷わず即答。
インドネシア版AKB48、JKT48での活躍で人気に火がついて、当時、インドネシアでは飛びぬけて有名な日本人になっていた。

JKT48といえば、前から疑問に思っていたことがある。

AKBメンバーのスカートはめっちゃ短いのだが、あれはイスラーム的にOKなのか？
インドネシアには世界で最も多くのイスラーム教徒が住んでいるから、イスラームの考え方の影響はドでかい。
イスラームの教えと太ももの露出は絶対に合わないと思うのだが。

そんな質問をしたら、「インドネシアはイスラームの国ではありませんよ」と軽いジャブが飛んできた。
彼はイスラーム教徒で、高速道路で富士山へ向かっている途中、「お祈りの時間になりました」と言い出して、SAでメッカのある方向にお祈りを始めたほど熱心な信者だけど、「インドネシアはイスラーム教の国」と見られるのを嫌っていた。
そんな彼でも、インドネシアにはキリスト教や仏教などいろいろな宗教があることから、決して「イスラーム教の国」ではないというから、そんなステレオタイプのイメージを持っていた人は捨てたほうがいい。

でミニスカートについては、AKBに比べたら、JKTのものはやっぱり長いらしい。
イスラーム教の考え方として肌の露出は基本的によくないし、インドネシアで活動するなら、当然、それに配慮しないといけない。
でも同時に、AKBグループならではのかわいらしさをアピールする必要がある。

結果、こうなった。

これ一枚じゃ何とも言えないけど、AKB並みのミニはきっと無理。

日本とインドネシアを単純に比べたら、日本のほうがエロに寛容だ。
つまり、肌の露出については、日本のほうが大目に見られている。

たしかインドネシア人だと思うけど、「ヘビーローテーションのMVは私の国だったら公開できません！」と言う人もいた。

実際、あれを“ポルノ”と見る外国人はけっこういるのだ。

まあヘビロテのMVがポルノ扱いされるのは分からなくもないが、なぜ「しんちゃん」まで？

TOKANAの記事（2014年12月4日）

「クレヨンしんちゃんはポルノ」インドネシア当局の警告に、民衆はブチ切れ！「我々の弟をいじめている」

インドネシアの放送委員会が「クレヨンしんちゃん」をポルノと見なして警告を出した。
しんちゃんがプリっとおしりを出すシーンなどが問題になったらしい。
あれを「ポルノ認定」するインドネシアの見方の根底には、イスラーム教の価値観があるだろう。
これは2014年のことだから、今でもしんちゃんがこんな理不尽な扱いを受けているかは分からない。

で最近、アメリカ人と話をしていたときに「インドネシアでは「クレヨンしんちゃん」がポルノ扱いなんだって。保守的な国だろ？」と言ったら、彼は「haha。マジかよ！理解できないネ」と笑った。
…という予想を裏切って、「アメリカでもあれはポルノになるぞ」と真顔で言われた。
「お尻まる出し」はアメリカ基準でもアウトらしい。

でもそれホントか？
と思って調べてみたらマジだった。

レコードチャイナの記事（2015年3月28日）

「クレヨンしんちゃん」が米国で放送禁止に、原因は「おケツ丸出し」＝中国ネット「あれは成人アニメだろ？」「米国も意外に保守的だな」

「クレヨンしんちゃん」は中国でも人気だから、このニュースにはあちらのネットユーザーも反応した。

・「だから、クレヨンしんちゃんはそもそも大人向けなんだってば」
・「米国では胸を見るのが好ましい。おケツなどは、当然放送禁止になるだろうな（笑）」
・台湾での放送には『18歳以下は保護者と一緒に見て。1人では見ないで』と注意書きがあった」

インドネシアと違ってアメリカの場合はイスラームの影響ではなく、「子供に悪影響をあたえるから」という教育的配慮のはずだ。
アメリカでは子供向け番組では特に規制が厳しくて、日本ならファンサービスのひとつ「胸の谷間」もNG。