【飲水思源】経済成長に協力した日本へ韓国がしていること

 

むかしむかし、中国に「いんすい しげん」という仏教僧がいた。
というのはウソで、中国には「飲水思源」ということばがある。
「水を飲むときには、その井戸を掘った人の苦労を思いなさい」という意味。

1972年、日中国交正常化のために田中角栄首相が中国を訪問したとき、出迎えた周恩来首相がこのことばを使ったことで日本でも有名になった。

自分が幸せと感じたら、その幸せの理由を考えてしっかり把握したほうがいい。
そうすれば、その幸せは長続きするから。

 

田沢湖にある飲水思源の像

 

話は中国から韓国に変わる。
少し前に、日本に対する韓国の3つの態度、「反日」「克日」「用日」について書いた。
くわしいことはこの記事をどうぞ。

日本に対する韓国の態度:反日や用日ではなく「克日」を頑張れ

「日本にうち勝つ」というのが克日で、韓国の利益のために日本を利用するのが「用日」。
この2つの根本には「反日」がある。
反日感情があるから、日本を越えたいという気持ちが生まれるし、「日本は過去、あれだけひどいことをしたのだから」という甘えから用日という発想が発生する。
結局は反日なのだ。

文大統領になってから、韓国の反日には手が付けられなくなってしまった。
その象徴が徴用工訴訟で、きのうもこんな記事があった。

中央日報の記事(2019年03月26日)

韓国裁判所、三菱重資産差し押さえ決定…日本「極めて深刻」

客観的な事実からいえば、徴用工問題は1965年の日韓請求権協定ですでに解決済み。
でもきょねん、韓国の最高裁判所がこの「封印」を解いてしまった。
日本との約束をひっくり返し、国際法にも違反して、韓国最高裁は三菱重工に賠償を命じてしまう。
そして今回、この判決にもとづいて韓国の原告側は三菱重工の資産を差し押さえた。

それを伝える韓国メディアの報道では、徴用を「強制徴用」、三菱重工を「戦犯企業」と表現している。
「強制」「戦犯」と悪意のレッテル貼りをおこなって、読者の反日感情をあおっているのだから困ったもんだ。
三菱重工は戦争犯罪とは関係ないし、そこで働く韓国人も多いだろう。

 

でもいまの韓国をみていれば、上のニュースごときで驚くことはない。
すでに前例はあるのだから。
韓国の裁判所が新日鉄住金の資産差し押さえを認めているから、今回もこうなると思っていた。

でも、これは想像外。

共同通信社 2019/03/26 11:50

韓国訴訟で確定判決前に資産差し押さえ

機械メーカー「不二越」を訴えていた韓国の原告側が、まだ判決が出ていないのに、不二越の資産を差し押さえてしまった。

原告23人の賠償金などを確保するため、同社資産を裁判所の決定に基づき差し押さえたと発表した。判決確定前の差し押さえは初めて。

 

賠償金がほしいのは分かるけど、「判決前に差し押さえ」ってのは韓国の法律上、問題はないのだろうか?
「反日無罪」で、これぐらいのことなら解釈で何とでもなるのだろうか。

この差し押さえについて記事には、「企業側に賠償協議に応じるよう圧力をかける目的もある」と書いてあるから、“脅迫の材料”につかうのだろう。

いまこの国は日本にこういうことをしている。

 

 

いまの韓国は豊かな国だ。
経済的には、世界でも上から10番目あたりに位置している。

韓国が経済大国になった最大の理由は、1960年代後半からはじまった「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長にある。
この主人公が韓国人であることに異論はない。
でも、それを支えた日本の存在を無視しないでほしい。

過去の歴史を反省した日本は韓国との話し合いを続け、1965年に「日韓請求権協定」を結んで、国交を正常化させた。
そのあと日本は約束を守って、韓国側にばく大な経済協力金をわたしている。
無償で3億ドル、有償で2億ドルという規模で、これは韓国の国家予算の約1.5倍だったという。

この資金をもとに韓国は飛躍した。

韓国はこうした資金を元手に「漢江の奇跡」の象徴とも言われる京釜高速道路をはじめとした各種インフラの開発や浦項総合製鉄をはじめとした企業の強化をおこなった。インフラ整備後は、日本の民間企業によって大規模な投資がおこなわれた。

漢江の奇跡・ジャパンマネー

 

お金をわたすだけではなく、日本はさまざまな技術指導もしている。

現在の韓国で漢江の奇跡は常識中の常識で、これを知らない人はいないと言っていい。
でも奇跡のような経済成長の陰に、日本の協力があったことはほとんど伝わっていない。
自分たちが豊かなことは知っていても、豊かさの理由を知らない人が多すぎる。
日韓関係がうまくいかない原因のひとつがコレだ。

韓国政府が日本の支援を国民にもっと広く伝えていたら、いまのような反日感情はなかったはず。

日本は「漢江の奇跡」を支援したのだから、韓国は日本に感謝するべきだ。
とは言わないけど、「日本は過去の歴史と向き合っていない」とか「反省していない」とかという非難はまったくの見当外れだ。
そしてお金を受け取った後に相手を非難する行為については、ためらいや恥じらいを感じてほしい。

 

新日鉄住金も三菱重工も不二越も、韓国社会の発展に貢献したはず。

いま韓国がやっていることは飲水思源のまさに正反対。
判決前に日本企業の財産を差し押さえ、その後の「取り引き」につかうなんて、本当に何を考えているのか。
見て見ぬふりの韓国政府に対して、河野外務大臣も「国際法違反の状態を放置しているのは極めて深刻な問題だ」とご立腹。

水を飲むときは、一緒に井戸を掘った人のことも思ってほしい。

 

バンコクの地下鉄には、日本の支援に感謝するプレートが目立つところに設置されていた。
タイには井戸を掘った人を思う気持ちがある。

 

 

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2 件のコメント

  • でも、せめて韓国政府は日本がしたことを国民にしっかり伝えてほしいですね。
    それにこの記事は、韓国の経済成長に協力したらいま訴えられている、という不合理を日本人に向けて書いたものですから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。