このおじいちゃんは「レヴィ=ストロース」というフランスを代表する人類学者(民族学者)。
1993年に勲二等旭日重光章を授与されたこの人は親日家で、日本についてよく知っている。
そんなレヴィ=ストロースにとって日本はこんな国だった。
民族学者、文化人類学者として私が非常に素晴らしいと思うのは、日本が、最も近代的な面もおいても、最も遠い過去との絆を持続し続けていることができるということです
「日本賛辞の至言33選 (ごま書房)」
外国人に「日本ってどんな国よ?」と印象をきくと、「新しいものと古いものが共存する国」といったことをよく言う。
日本は世界最古の国といわれると同時に、最先端の科学技術を持っている。
日本について、「長い歴史のある先進国で、過去との絆(きずな)がある」という印象を持つ外国人はいまでもいる。
最近、そんなアメリカ人に会いました。
それがこの4人。
マクドナルドで偶然知り合った。
彼らは全員アメリカの大学生で、自転車で福岡から北海道に向かっているところ。
「へえ。ええっ?」と聞き返してしまった。
このとき彼らから聞いた日本の印象については前に記事で書いた。
今回はこの続きっす。
Q:日本の印象は?
彼らが旅して感じた日本は「とても近代的だけど、おそろしく長い歴史のある国」。
福岡や神戸などは高層ビルが林立する大都会だけど、島根県には出雲大社という古代の神社がある。
大阪で見たあべのハルカスの夜景は宝石箱のようで、その近くには約1400年前に建てられた四天王寺がある。
奈良では世界最古の木造建築物・法隆寺を見た。
1000年以上前にできた木造の五重塔がいまでもあるなんて、信じられない思いだという。
アメリカにも高層ビルはあるし古い建物もある。
でも日本は歴史のスケールがちがうのだ。
アメリカは1776年7月4日に独立した若い国だから、彼らから見て、古い建築物というと2~300年前のものばかり。
この前、別のアメリカ人に「アメリカで一番古い建物ってなんだと思う?」と聞いたら、「フェアバンクス・ハウスじゃないか?それ以上古いものはオレは知らん」と言う。
フェアバンクス・ハウスは1637年から1641年にかけて、清教徒のイギリス移民が建てた個人住宅。
アメリカで最も古い教会といわれる「San Miguel Mission(1610~1626年)」とほぼ同じ。
これがアメリカ最古の教会なのだけど、その1000年前に建てたられた四天王寺と比べると完成度の違いは否めない。
もちろんこれは個人の主観。
「フェアバンクス・ハウスが一番古いんじゃね?」と言ったアメリカ人に、「でもアメリカ先住民が建てたものはもっと古いでしょ」ときいたら、それは普通カウントしないと言われた。
なるほど。それはそうかもしれない。
彼のような白人のアメリカ人に最古の建築物をきいたら、先住民のものはきっとふくめない。
調べたら、アメリカにある最も古い建築物は先住民がつくった「Taos Pueblo(1000 – 1450)」らしい。
以上、アメリカの古い建物情報はこのサイトから。
「新しさ」でいえば、アメリカには世界有数の近代都市がいくつもある。
ニューヨークには行ったことがないけど、東京や大阪でもかなわないと思う。
こういう先進性はさすがアメリカ。
渋谷でもタイムズスクエアには負けるだろう。
ということで、日本を見た現代のアメリカ人も「最も近代的な面もおいても、最も遠い過去との絆を持続し続けている」というレヴィ=ストロースじいちゃんと同じような感想を持っていた。
アメリカは新しい国だし、白人がアメリカ先住民と同じ過去を持っているわけではない。
奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人も白人と過去のキズナを共有していない。
先住民といってもナバホ族とスー族は別の過去を持っている。
日本の場合、万葉集をつくったのも新しい元号を令和としたのも同じ日本人だ。
だから「過去との絆」は日本とアメリカの本当に大きな違いなんだろう。
キズナといえばカンボジアにキズナ橋がある。
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