【太平洋戦争と日本】東南アジアの人たちが憎んだこと・ビンタ

 

日本と東南アジアの関係について、日本人は何を知りたいのか?

ためしに「日本 東南アジア」で検索するとこんな言葉が出てきた。

 

「侵略」「進出」「植民地」「占領」という言葉から察するに、太平洋戦争のとき、日本軍が東南アジアでしたことを気にしている人が多いのだろう。
ということで今回はその時代を取り上げようと思う。
あの戦争のとき、日本人が現地の人にしたことで憎まれたこと。
それは「ビンタ」だった。

 

 

日本がアメリカに降伏したあと、フィリピンにいた多くの日本軍兵士が米軍に投降した。
米軍がそうした日本兵をジープに乗せて移動させたときの様子を、新聞記者をしていたある日本人が手記に残している。
日本兵が来ると、現地の住民からは「バカヤロー、ドロボー」という罵声や石が飛んできたという。

二階では、醜い女が醜い顔を引きつらせて、右手で自分の首を斬る真似をしながら「何とかしてパタイ」と叫んでいる。お前等は首を斬られて死ぬんだといってるんだろう。バラバラ と石や土塊が投げられ、警乗兵は銃を構えた。

「比島投降記 ある新聞記者の見た敗戦 (石川 欣一)」

 

戦争中、東南アジアの人たちが心の底から嫌ったことに、日本人のビンタ(スラップ)がある。
たとえばフィリピンではこんな具合だ。

比島人は最もこれを嫌い、日本軍も比島人をスラップしてはならぬと教えたが、習い性になって、よくピシャリとやっては問題を起し、怨恨の種子を蒔いた

「比島投降記 ある新聞記者の見た敗戦  (石川 欣一)」

 

ビンタは当時の日本人には常識で、日本人に対してもよくやっていた。
でも東南アジアでは、こんな日本の当たり前は非常識や無礼でしかない。
これをされたアジアの人たちはその日本人をそうとう恨んだはずだ。

こんな非人道行為はアメリカ軍でも絶対に許されなかった。
上の手記では、捕虜の日本人が同じ日本人にビンタをする瞬間を見たアメリカ軍兵士が、「あんな野蛮なことが日本の陸軍では行われるのか」とおどろいている。
戦争中の日本人は米軍捕虜などにもビンタをしていて、戦後これが「捕虜虐待」として戦争犯罪に認定されたケースもある。

 

ボクがインドネシアに行って現地の人に話を聞いたときも、日本軍がしたヒドイことの例でビンタをあげていた。これはインドネシアの常識でも考えられないような野蛮な行為で、肉体的な痛みよりも精神的に大きな屈辱を感じたという。

また、ミャンマーに行った日本軍兵士の手記を読んでいたときにもこれが出てきた。
その日本人が何かのミスで上官からビンタをされる。
そのあとミャンマー人から、「あの人間はどこの国の人間なのか?」と質問を受けた。
「オレの上官で日本人だ」と言っても、現地の人は信用しない。
「そんなはずはない。同じ国の人間があんなひどいことをするはずがない」と言う。

当時、ミャンマーはイギリスに植民地支配を受けていた。
質問したミャンマー人はその日本人を自分と同じ支配下にある人間で、ビンタをした日本人をマスターカウントリー(宗主国)の人間と考えたらしい。
ミャンマー人の感覚からすると、同じ国の人間に平手打ちをすることはありえない。
これをされたミャンマー人は当然、心の底からその日本人を憎んだ。

 

 

でも安心してほしい。
いまは2019年だ。
ほとんどの東南アジアの人たちは80年も前のことを気にしていない。
いまでは日本への信頼はとても高いし、アジアで日本文化は大人気だ。
それに調査の結果では、約90%の人が平和国家としての日本を評価している。
そのことについてはこの記事を読んでほしい。

日本と東南アジアの関係 ③ いまは親日!友好と信頼が90%

 

かつて日本人が通ると「バカヤロー、ドロボー」という罵声や石が飛んできたフィリピンは、80年後にはこうなっていた。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。