日本が韓国に対して、半導体製造に必要な3品目の輸出規制を強化すると発表した。
といってもこれは安全保障上の理由で、国際社会のルールにもとづいたもの。
といってもこれは韓国経済に大ダメージをあたえることになるから、韓国側は左往右往、心慌意乱(しんこういらん)のパニック状態におちいった。
2019年7月9日の韓国紙・中央日報
同じ日の朝鮮日報
日本政府の対韓輸出厳格化を、青瓦台(大統領府)は韓国への「報復」と判断した。
中央日報の記事(2019年07月05日)
「最近、日本政府が韓国に取った『報復的な性格』の輸出規制措置はWTO(世界貿易機関)の規範と国際法を明らかに違反したもの」とし
青瓦台「日本の輸出規制は報復的な性格」
ということで韓国はいま、日本にこの措置の撤回を全身全霊でお願いしているところ。
日本政府にとっては、この韓国の怒りは想定内のはず。
逆に「我々は日本の措置を支持する」なんて韓国政府に言われたら、底知れぬ恐ろしさを感じる。
日本政府が気になるのは玄界灘の向こうより、国内の反応だろう。
今回の輸出規制を日本国民はどう見たか?
どれぐらいの人が支持しているのか?
これによって今後の政府対応も変わってくるはず。
さいきん2つのメディアが世論調査を行ったから、その結果を見ていこう。
まずはTBSのニュース(7/8)
JNN世論調査、輸出規制強化 6割近く「妥当」
これは見出しがすべて。
JNNが行った世論調査の結果、政府対応を「妥当」と考える人が6割近く(58%)で、これは「妥当だと思わない(24%)」の2倍以上だったことが判明。
国民の3分の2が政府を支持していて、不支持は4分の1以下だったというのは安倍政権にとっては一安心だろう。
ちなみに安倍内閣を支持するという人は58.7%で、輸出規制を支持する人の割合とほぼ同じ。
内閣を支持できないという人は36.9%。
この記事を読むと、いま国民が関心を寄せているのは「年金や医療などの社会保障」、「少子高齢化や子育て対策」、「消費税増税の是非」で、韓国政府の言う「報復的な性格」や「国際法違反」というのはどこ吹く風のようだ。
次はNHKニュース(2019年7月8日)
NHK世論調査 参院選「必ず行く」「期日前投票した」55%
NHKの世論調査によると、韓国への輸出規制を「適切な対応だ」が45%で「不適切な対応だ」が9%、「どちらともいえない」は37%という結果が出た。
これを見ると、国民のほぼ半数が政府を支持していて、不支持は「例外」といっていいほど少ない。
でも、JNNの世論調査「妥当だと思わない(24%)」と9%にはずい分差がある。
やっぱり世論調査は複数を見ないといけない。
ちなみに安倍内閣を「支持する」は45%、「支持しない」は33%とのこと。
今月おこなわれる選挙で最も重視することを尋ねたところ、「社会保障(32%)」、「経済政策(22%)」、「消費税(19%)」という順になった。
「国際法を明らかに違反したこの措置を、日本政府はただちに撤回するべきだ」と韓国側はお怒りなのだけど、日本ではその立場は理解も共感も得られていない。
韓国への輸出規制が強化されるとしても、それで影響を受けるのは関係者だけで、ほとんどの国民にとっては遠い世界での出来事だ。
これは韓国に「関心がないから」ということより、「信頼がないから」ということが大きいと思う。
先月6月に読売新聞が発表した世論調査では、日本で「韓国を信頼できない」と答えた人の割合は74%と過去最高を記録した。
昨年は60%だったから、いまに日本人の間で「韓国不信」が急激に広がっていることになる。
くわしことはこの記事をどうぞ。
慰安婦合意や日韓請求権協定など、「これだけは守ってくれ」と日本が訴えた大事な約束を2つとも破ったうえで、ムン大統領はことし1月、「日本はもっと謙虚にならないといけない」と言いやがりました。
フランスAFPの記事(2019年1月10日)
「日本政府はもっと謙虚な態度を取るべきだ」と発言し、「日本の政治家は問題を政治化している」と不満も示した。
韓国大統領、「日本政府はもっと謙虚な態度取るべき」
こうしたことをふくめ、文政権の実態が少しずつ、確実に国民の間に浸透した結果、韓国は信頼をうしない、「韓国が困っても自業自得」と思う日本人が増大したのだろう。
特にNHKの世論調査で、韓国への輸出規制を「不適切」と思う人が9%しかいなかったというのは、この考え方を反映していると思う。
シェイクスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」の言葉に共感する人は多いはずだ。
もともとあまり好きではなかったが、よく知り合えば知り合うほどますます愛情が薄れてゆく
こちらの記事もどうぞ。
他にも多くの人が言っているようですが・・・、
「政府の対応が妥当だと思わない」には、「その方針で対応することには賛成だが、現在のやり方では手ぬるい」という意味の批判的な回答が含まれている。その一方、「政府対応は不適切だと思う」は、ほぼ全てが「対応そのものが不適切だと思う」という意味の回答だと思われます。その違いが数字に現れているのでは?
調査しているメディアが、自分達の望む方向での集計結果が得られるよう、アンケート質問の形をひねって回答させる、日本のメディアや調査会社がよく使う手ですね。
同じ設問でも解釈によって答えは変わってくる。
だから世論調査を行う側は、自分が望む結果を得るために誘導しやすい設問を設定する。
この記事ではそんなことも伝えたいと思いました。
ですからご指摘はそのとおりです。