日本・中国・台湾、漢字の意味の違いから誤解やトラブル発生

 

10年以上まえ、初めて台湾へ行ったときのこと。
夜市でいろんな店を見ながら歩いていると、「青蛙下蛋」という文字が目に飛び込んできた。
「蚤(のみ)」と似ているけど、「蛋」は卵のこと。

「青蛙下蛋ってカエルの卵か!台湾人はそんなものを食べるんだ」とカルチャーショックをうけた。
でも、海外でカエルはそれほど珍しい食材ではなくて、ベトナムやカンボジア、中国のレストランでカエル料理を見たことがある。

それに日本人も明治時代はカレーにカエルを入れていたのだから、あり得ないものでもない。

日本人の食文化:江戸は犬肉を、明治はカエル入りカレーを食べていた

 

台湾に行ったことのある人なら知っていると思うけど、「青蛙下蛋」は蛙の卵ではなくてタピオカ・ドリンクのこと。
タピオカがカエルの卵に似ていることから、こんな名前が付けられたという。

 

そのときボクはこれを見てもタピオカとは気づかず、「台湾のカエル、卵でけえ」と感心した。

 

同志はたくさんいる。

 

日本人・台湾人・中国人は漢字の民で、漢字がわかるから意味を誤解することもある。
このまえ台湾人が「真面目」という日本語の漢字を見て、なんでこれが「シリアス」という意味になるのかさっぱり分からなかった。

 

これは伊豆の修善寺にあったもの。
台湾人なら問題なく読めるし意味もわかるらしい。

 

中国旅行で長距列車に乗っていて、中国人の乗客と筆談していたとき、自分の職業を「ティーチャー」の意味で「先生」と書いたら相手にまったく通じなかった。
あとで中国人の日本語ガイドに聞いたら、「それではわかりませんよ」と言われる。
中国語で「先生」は「~さん、~様」という意味で、英語なら「ミスター」になる。
「わたしの職業はミスターです」と言われても相手は困るしかない。

日本と中国の漢字の違いをネットで探すといろいろ出てくる。

中国語の「手紙」は日本語では「トレットペーパー」
「汽車」は自動車
「老婆」は妻
「湯」はスープ
*中国人が日本で「男湯・女湯」を見たら衝撃を受けるかも。
「娘」は母
「愛人」は妻、「老婆」も妻
「猪」はブタのこと。

 

さて、「withnews」にこんな記事(2019年07月20日)があった。

「京アニ」火災、中国から寄せられた声 「加油」めぐりすれ違いも…

京都アニメーションの建物に火がつけられて、死者34人という戦後最悪レベルの放火事件が起きた。
「涼宮ハルヒの憂鬱」や「フルメタル・パニック」を見たボクとしても、なんというか、ことの大きさに言葉が出てこない。
この事件には世界中のアニメファンが悲しんで、「京アニ」に応援メッセージを送っている。

中国版ツイッター「微博」には、「#日本京都動画発生爆炸」というハッシュタグがつけられた記事が7000万近いページビューを集めたという。
ネット上では「眼涙止不住(涙が止まりません)」、「不要再有人去世了(これ以上の犠牲者を出てほしくない)」、「お祈りには国境はない。平安を祈ります」といったコメントが寄せられた。

ただ、中国語で「がんばれ」を意味する「加油」(ジャーユー)を見て、文字通り「油を加えろ」とかん違いする日本人もいて、ちょっとしたトラブルが発生したという。
でもこれは善意の言葉だし、「加油」の意味を日本語で説明する人もいるから大事にはらないはず。

こういう事件があると、中国人は「がんばれ」の意味で「加油」と被害者を応援するらしい。
そういえば日本で大地震が起きたときも、台湾人がよく「加油」とメッセージをしていた。

このニュースに日本のネットの反応は?

・なんにせよありがとう
・中国はオタクめちゃめちゃ多いから特にそうだろうな
・なかなか微妙な話だな(´・ω・`)
・お祈りとか言われると就活の嫌な記憶が蘇る。
・国によって言葉が違うだけだし、神経質になり過ぎじゃねえかな
・中国ってアニオタ多いからなニコニコ動画みたいなのは本家より人気あるね
・そうかまだ「加油」知らない人たちも居るんだな。

ちなみに、上の記事では「加油」の語源にも触れていた。

清王朝の時代、科挙試験に参加する受験生を励ますため、受験生らに照明用の灯に油を加えた学者がいたことから、「加油」が使われるようになったとも言われています。

語源には諸説あって、これはそのひとつ。

「徹夜でがんばる」を英語で「Burn the midnight oil」と表現するから、「もうひと踏ん張りする」という意味で油を加える(燃やす)と考えることは海外では他にあるかもしれない。

 

「團體」は台湾の漢字で、いまの日本では「団体」

 

中国語で「先生」は「~さん、~様」という意味になると教えてくれた中国人ガイドは、日本人から「がんばって」、「がんばってください」と言われて落ち込んだと話していた。
日本人観光客を案内して、ツアーが終わるときに「これからもがんばってください」とお客さんに言われることが何度かあった。
この場合の「がんばって」は、中国人の感覚だと「あなたはもっと日本語を勉強する必要がある」「知識が足りない」という意味になるという。
がんばって案内したのに、最後でこう言われるから「自分はまだダメなのか」と落ち込んでいた。

でも先輩ガイドに話したら、「それはおまえの誤解だ。日本人の『がんばって』は「応援しています」ということ。その客は不満があるんじゃなくて、満足したということだ」と言われた。
能力不足を指摘されたと思ったら、じつは全然ちがった。
ただこのかん違いによって、彼の日本語能力や歴史や文化の知識が増えたから結果オーライだ。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

「飢え」が変えた食文化。日本と世界(ドイツ・カンボジア)の例

ヨーロッパ 「目次」

日本 「目次」

東南アジア 「目次」

 

2 件のコメント

  • 「加油」という言葉がこれほど日本人によく知られるようになったきっかけは、2018年2月に台湾の花蓮で発生した地震の際に安倍晋三首相から送られた「台湾加油(台湾がんばれ)」というメッセージだったと思います。
    もはや、日本人に最もよく知られた中国語の一つになっているんじゃないでしょうか。
    (私もこの発言やその2年前の台南地震の際の応援メッセージで知りました。感覚的にはよく分かる。料理の時に油を注いで火を強くする、ファイト!がんばれ!そんなイメージですよね。)
    とは言え、「そんな中国語は知らないよ」という人がいることも、これまた不自然ではないのです。別に知らなくてはいけない言葉でもないですしね。

  • 私が「加油」を知ったのは被害市日本大震災で、やっぱり災害のときですね。
    ネット時代になって、知識のギャップがすごく広がったと思います。
    興味のあるものを取捨選択する傾向があるため、自分の興味のあるものには深い理解があるけど、そうではないものはさっぱり知らない。
    だから、自分が「知ってて当たり前」のものでも、他人は知らなくて当たり前という状態が生まれる。
    「加油」という言葉も縁のない人には未知の言葉でしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。